JICA沖縄 沖縄における公衆衛生の歴史

2019年3月27日

課題別研修でマルチメディア教材を活用

2019年1月17日・18日、JICA沖縄の課題別研修「公衆衛生活動による母子保健強化」、「地域保健システム強化による感染症対策」の2つのコースにおいて、JICA-Netマルチメディア教材を活用しました。研修の基礎的な内容がカバーされており、複製をして研修員に配布することで、インターネット環境が不安定な参加国の研修員が帰国後も視聴できることが便利だと感じたため、複製を依頼しました。

この教材では、第二次世界大戦後の沖縄県における、保健医療改善の軌跡を学ぶことができます。医療施設や人的資源の不足、高い乳幼児死亡率、風土病の蔓延など様々な問題を、どのように克服してきたのか。特に、沖縄の保健衛生の歴史を語る上で欠かすことのできない存在である「公衆衛生看護婦」について、学びを深めることができます。戦後から現代まで、それぞれの時代に応じた保健行政の取り組み、関係者の尽力の様子がうかがえます。

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公衆衛生看護婦として奮闘した女性たち

保健課題改善のケーススタディ、および沖縄県を紹介する教材として

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研修における教材上映の様子

真剣な様子で教材を視聴する研修員の様子から、研修に向き合う態度が培われたように感じました。途上国の保健課題改善のケーススタディとして作成されたこの教材は、研修員が自国の現状との類似点を見出し、解決策を講じる上で非常に有効です。また、すでに亡くなられた方々も講師として出演されており、貴重なお話を伺う機会としても、大変有意義に活用することができました。途上国におけるUHC(Universal Health Coverage)の構築・強化に携わる方々に向けた教材であると同時に、沖縄県についての保健衛生分野における歴史も学ぶことができるので、日本や沖縄県を紹介したいという場合にも、大いに活用できるのではないかと感じました。
JICA-Netマルチメディア教材は、視聴するだけで研修の事前学習や基礎学習を深められるという点で、非常に有意義であると感じています。今後も積極的に活用していきたいと考えています。

仲間 尚子
JICA沖縄

このページで紹介している教材

「沖縄の保健医療の経験シリーズ」1、2編

第一編「沖縄の疾病構造の変遷と行政の取り組み」では、戦後復興期における沖縄の疾病構造の変遷(急性感染症、慢性感染症、生活習慣病、老人病)を座標軸とし、沖縄の保健医療行政がそれぞれの時代に応じた保健人材確保と住民の健康増進に尽力した軌跡に焦点を当てています。
第二編「沖縄の公衆衛生看護婦」では、離島や僻地を含む沖縄の全市町村に駐在し、地域住民に密着した保健医療看護活動を行った公衆衛生看護婦(保健婦)の制度とその活動を採り上げています。