JICA農村開発部 アフガニスタンで役立つ稲作技術-農機具作成の支援-

2019年12月2日

アフガニスタンの稲作振興支援プロジェクトで使用

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ドバイの会議での上映の様子

アフガニスタン国民(約3,000万人)の約80%が従事する農業の発展は、アフガニスタンの安定的な社会復興・開発を進める上で最も重要な課題の一つです。JICAは、コメ生産性向上による生産量増加を通じた国家稲作振興戦略達成への貢献とアフガニスタン国産米の品質向上を目指し、アフガニスタンで「稲作振興支援プロジェクト(RIPA)」を実施しています。
2019年10月、ドバイで本プロジェクトの2020年の活動計画策定に関する会議が開かれました。本会議の中で、日本の農機具の現地導入可能性確認のための現地製作可能性を検討するために、プロジェクト対象の8県の普及マネージャー等を対象として、2種の農機具作成に関するJICA-Netマルチメディア教材「農業技術パッケージ(JICA筑波)-唐箕の作り方と使い方-」「農業技術パッケージ(JICA筑波)-水田用手押し回転式除草機の作り方と使い方-」を紹介しました。

途上国の技術指導に役立つ実用的な教材

JICA-Netマルチメディア教材「農業技術パッケージ(JICA筑波)」シリーズは、途上国での技術指導の際の助けになるよう、様々な農機具の使用や作成方法を誰でもわかりやすく理解できるように作られた映像教材です。今回使用した「農業技術パッケージ(JICA筑波)-唐箕の作り方と使い方-」では、稲や豆などを収穫した後に、収穫物を籾殻、わら、未熟粒等を選別する道具である唐箕を、「農業技術パッケージ(JICA筑波)-水田用手押し回転式除草機の作り方と使い方-」では、水田の雑草を取り除くための手押し回転式除草機を取り上げています。どちらも仕組みが簡単で作りやすく、作成コストも安いため、途上国で使用するのに適しています。

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唐箕は、江戸時代から日本で使われている農機具です。

会議では、アフガニスタンの農業牧畜灌漑省と対象8県の普及マネージャーら計20名が映像を鑑賞しました。また、複製したDVDを配布し、現地で作成を進めていくための議論を行いました。 稲栽培や収穫処理での道具や機器利用が進んでいないアフガニスタンでは、労働負担削減や作業効率の向上に役立つ技術の導入は重要度が高くなっています。本教材は唐箕と手押し回転式除草機の作成方法がステップ毎にビデオで示されており、アフガニスタンの地方の大工や工場でも利用しやすいと感じました。

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教材では農機具の作成手順を部品ごとに丁寧に説明しています。

現地での農機具作成では、トータルで約250名が関わる見込みです。今後研究員や普及員への技術研修会や稲作農民を対象とした普及イベント等で、農機具製作の様子を映像で見せることで、マニュアルや口頭の説明では伝わりづらいことも細部まで伝えることができ、作業の一連の流れを把握することが容易にできるのではないかと考えています。本教材は、JICA-Netマルチメディア教材の中でも実践的な使用や作成の習得に特化した教材のため、今後もプロジェクトに欠かせない手段として大いに期待しています。

中原 正孝
アフガニスタン稲作振興支援プロジェクト専門家(リーダー)
(農村開発部第3グループ第2チーム付)

このページで紹介している教材

農業技術パッケージ(JICA筑波)-唐箕の作り方と使い方-

本教材は、対象者の方々が途上国農民に対し技術指導をする際に使うことを想定しており、見ただけで「唐箕の作り方と使い方」を習得できる、大変分かりやすい内容構成になっています。マニュアルでは指導の難しい各種技術も、視聴覚教材とすることで、多様な人々が容易に理解することが出来ます。
唐箕は、稲や豆などを収穫した後に、収穫物を籾殻、わら、未熟粒等を選別する道具で、稲作栽培の盛んな日本で古くから使われてきた農業機械です。手回し式で風を送り選別することで、自然の微風を使う方法に比べ作業効率が格段に良く、また仕組みが簡単な上、軽量で持ち運びが可能なため、多くの開発途上国で行われている稲や豆の選別作業の省力化に大きく貢献することでしょう。

農業技術パッケージ(JICA筑波)-水田用手押し回転式除草機の作り方と使い方-

本教材は、対象者の方々が途上国農民に対し技術指導する際に使うことを想定しており、見ただけで「水田用手押し回転式除草機の作り方と使い方」を習得できる、大変分かりやすい内容構成になっています。マニュアルでは指導の難しい各種技術も、視聴覚教材とすることで、多様な人々が容易に理解することが出来ます。