一般財団法人日伯協会 アマゾンを再生する日本の力-森をつくる農業「アグロフォレストリ-」-

2020年12月22日

神戸市で開催された移住ミュージアム企画展で上映

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海外移住と文化の交流センター(神戸市)

2020年8月1日~11月1日、神戸市立「海外移住と文化の交流センター」内移住ミュージアムで、企画展「アマゾンを救う日本人パワー!!アマゾンに日本人は何をもたらしたか?」が開催されました。
この企画展は、一般財団法人日伯協会と神戸市が主催したもので、アマゾンに移住した日本人移民たちの様々な苦難を乗り越えた歴史をたどるとともに、近年アマゾンの違法伐採の摘発に威力を発揮した日本の人工衛星や、アマゾンを救う農法として注目されている日系森林農法アグロフォレストリー等、アマゾンの環境保全の重要性と日本の貢献を紹介し、日本人の底力を再認識するものです。
今回アグロフォレストリ-を紹介する展示の一つとして、JICA-Netマルチメディア教材「アグロフォレストリー 森をつくる農業-アマゾン熱帯林との共存-」を上映しました。

森をつくる農業「アグロフォレストリー」

アグロフォレストリーは、ブラジル東部にあるトメアスーに移住した日系農家が、川沿いに暮らす現地の人の生活から着想を得て生まれました。多彩な作物を混植することで森を再生し、生態系を維持しながら、農家の生活にも経済的安定をもたらすことができる農法です。
「アグロフォレストリー 森をつくる農業-アマゾン熱帯林との共存-」では、その具体的な取り組みや発展の歴史、世界市場への進出、JICAの技術協力等について紹介しており、初めてアグロフォレストリ-とい言葉を聞く人にも、仕組みや成果を理解しやすい教材となっています。
大規模な開発が進み、森林伐採が大きな問題となっているアマゾン。また、世界的にも地球温暖化が叫ばれている中で、環境にやさしく経済的にも持続可能なアグロフォレストリ-に一段と注目が集まっています。

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コショウを植えた列の間に交互に植えられたバナナとカカオ。成長の早いバナナの大きな葉がカカオの苗を守るのに役立ちます

展示の理解を深める補助教材として

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教材は会場内で終日放映されました。

以前よりJICAがブラジル・アマゾン、セラード開発に深くかかわっていることを知っていましたので、今回の企画展について情報を提供してもらうのが最適と考え、協力をお願いしました。JICA-Netライブラリについては、JICA職員の案内で知りました。会場では、パネル32枚、アマゾンの紹介写真15枚、アマゾン開発の画像7枚、JAXA提供の衛星画像2枚を大ボードに展開し、「アグロフォレストリー 森をつくる農業-アマゾン熱帯林との共存-」は終日会場で放映され、特に人目を引く役割を果たしました。

展示期間中は期間通算1178人もの人々が訪れました。この種の企画展では通常1500人を超える見学者がありますが、厳しい環境下にも関わらずこれだけの見学者を得ることができたのは、大成功であったと思います。来場者からは、アマゾンの重要性が良く理解できたとのコメントが得られ、アマゾンの環境保全のために日本が行っていることを、日本の人たちにも十分理解してもらうことができた感触を得ることができました。今後の企画展でも、機会があれば、積極的にJICA-Net教材を活用していきたいと考えています。

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大学生のグループが見学に訪れました。

三田 征彦、細江 清司
一般財団法人日伯協会

このページで紹介している教材

アグロフォレストリー 森をつくる農業-アマゾン熱帯林との共存-

熱帯雨林の減少が世界的に危惧される中、森林保全と農業経営を両立させる「森をつくる農業(アグロフォレストリー)」技術が注目されています。アグロフォレストリーとは、熱帯雨林にカカオ、コショウ、パッションフルーツ等の熱帯作物を混植し、森林生態系を維持しながら農業経営を行う技術です。生産された農産物は加工され、外国市場へも輸出されています。JICAは長年にわたりアグロフォレストリー技術の開発や普及面で支援をおこなっています。本教材はアマゾン地帯のアグロフォレストリーの歴史や技術を具体的に紹介し、関係者の理解を深めることを目的としています。