JICA人間開発部 新型コロナウイルス感染症に立ち向かう-日本の公衆衛生対策とJICAの取り組み-

2021年11月22日

コロナ禍における日本の経験と知見

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「三密」回避の有効性は、WHOからも認められ、全世界に知られるようになりました。

2019年末から、全世界で新型コロナウイルス感染症が拡大し猛威を振るっています。日本は他の先進国や途上国と比較しても感染者数・死者数を一定程度に抑えており、世界でも評価されています。その背景には日本の保健医療制度や国民の衛生観念があると考えられています。

今回、日本の新型コロナウイルス感染症対策における経験や知見を整理し、JICA-Netマルチメディア教材「新型コロナウイルス感染症等の公衆衛生危機に係る日本及びJICAの取り組み」として取りまとめました。

日本の対応からJICAの取り組みまでをコンパクトに紹介

本教材は、新型コロナウイルス感染症をはじめとする公衆衛生危機に対する日本の対応の特徴や、JICAが行っている取り組みについて紹介しています。

最初に、日本の医療制度や、コロナ禍で最前線に立ち、疫学調査と受診・入院調整を行った保健所の役割、そして新型コロナウイルスの感染拡大に対する日本政府や国民の対応について解説します。次に、地方自治体における新型コロナウイルス感染症に対する具体的な取り組みとして、長崎県の例を取り上げています。

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長崎県では、流行拡大に備え、ドライブスルー方式の地域外来・検査センターを県内三か所に設置しました。

長崎県では、新型コロナウイルス感染症に対し、県や市の保健所、県医師会や長崎大学病院のそれぞれが持つ医療資源を集めて、地域の特性をいかした体制の在り方を模索し対応していきました。感染拡大前に長崎県や長崎大学病院が行った体制整備や、早い段階から積極的に進めてきた検査体制、病院での感染予防策、医療従事者の精神的なケア等、教材では、予防、警戒、治療の三つのポイントから長崎県内の対応を見ていきます。

最後に、長崎大学と連携しながら行ってきた感染症に対するこれまでのJICAの取り組みと、今後のアプローチとしてJICA世界保健医療イニシアティブを紹介します。

最前線で働く人々の姿を伝える

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公衆衛生対策の最前線である保健所は、コロナ禍でも重要な役割を果たしました。

本教材には、新型コロナウイルス感染症対策の最前線である保健所や医療施設での撮影やインタビューをふんだんに取り入れています。普段見ることができない公衆衛生対策の最前線の現場で働く人々の様子や取り組みを感じ取っていただけると思います。

本教材作成中には、感染状況の悪化に伴う緊急事態宣言の発令がありました。計画していた時期に撮影を行うことができなかったり、医療施設に撮影スタッフが立ち入ることができなかったり、感染症禍ならではの苦労がありました。

また刻一刻と変化していく日本の新型コロナウイルス感染症の現状や政府の対策など可能な限りではありますが、反映させるように工夫しました。撮影に当たっては現場で働く医療スタッフにお手伝いいただくなど、協力機関の皆様のご協力に感謝しています。

本教材は、各種JICAの研修事業等で活用することを想定していますが、視聴した各国の研修参加者が、新型コロナウイルス感染症対策にとどまらず、自国の保健医療制度作りや感染症対策事業に役立てることを期待しています。今後、途上国、特にユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進を掲げる保健省行政官や地方自治体関係者等が本教材を活用し、日本の経験と知見が生かされるよう願っております。

(注)感染状況は刻々と変化し、各所にて柔軟に適切な対策・対応がとられています。本教材で取り上げている感染状況やその取り組みについては、シナリオ作成時のものとなりますこと、ご了承ください。

伊藤美和 水野美結
JICA人間開発部 保健第一グループ

このページで紹介している教材

新型コロナウイルス感染症等の公衆衛生危機に係る日本及びJICAの取り組み

世界における新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、日本のこれまでの経験・知見を整理し共有します。

新型コロナウイルス感染症の発生を受けて、日本は感染者数及び死者数を一定程度に抑えており、その対策は世界でも評価されています。本教材は、そうした日本の対応の特徴及び、JICAの取り組みについて紹介しており、各種研修事業等で活用頂くことを想定しています。