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- JICA経済開発部 豊かな海の恵みを守る-日本の水産資源管理-
2022年3月8日
水産資源の持続的な利用のために
海洋環境の破壊や乱獲などにより、水産資源を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
世界で水産物の需要が増大し、伸び続けてきた漁獲量(注)は頭打ちとなっています。こうした中、限りある水産資源を持続的に利用していくために、水産資源の管理が国際社会全体の課題として叫ばれています。
中央による一方的なルールの執行ではなく、漁業協同組合が中心となって、行政と協力しながら資源を管理する日本の共同資源管理は、国際的にも高い評価を受けています。今回、限りある水産資源を持続的に利用していくことの重要性について、水産関係者に対し、日本の水産資源管理の考え方、特徴、優良事例を通じてわかりやすく理解できるよう、JICA-Netマルチメディア教材「日本の水産資源管理」を制作しました。
(注)養殖を除く漁業の漁獲量
日本の共同資源管理の知恵と経験
日本の漁業協同組合は、沿岸の水産資源を秩序だって利用するための漁業ルールを定めるとともに、漁民の生活や地域の暮らしを守る中心的な役割を担っています。教材では、まず日本の漁業組合の成り立ちやその役割について、和歌山県加太の漁業協同組合を取り上げて解説します。次に一般的な水産資源管理と日本の共同水産資源管理の違いと特長を説明し、後半では、共同水産資源管理の事例として、乱獲によって漁獲量が低迷したナマコの資源管理を、ナマコの代わりとなる新たな漁業を開拓することで可能にした沖縄県久米島を紹介します。
久米島では、乱獲によってナマコの漁獲量が低迷しました。
加太漁協及び久米島での水産資源管理の取り組みは、行政や漁民がともに水産資源を持続的に有効利用する活動であり、水産資源管理を学ぶ上での先進的な優良事例です。
オンライン講座の事前学習として活用
日本の水産資源管理の仕組みを映像や図でわかりやすく解説
2021年11月22日及び23日に開催したJICA水産分野留学生向けオンライン講座「日本の水産開発経験」の事前学習として、本教材を活用しました。オンライン講座には、水産分野のJICA長期研修員約30名が参加しました。
教材は、水産資源管理の仕組みや機能を、平易な言葉や図表、映像で分かりやすく解説しながら、先進的な取り組みとともにその際の留意点についても触れています。そのため、利用者からは特に難しいといった反応はなく、スムーズに講座を進めることができました。
共同資源管理は、予算や人員などの行政資源が乏しい環境でも導入可能なことがJICAプロジェクトを通じ一部地域で実証されており、開発途上国への応用性が高い制度です。今後も、長期研修員向け連携プログラム、研修事業、イベント等を通じた勉強会で本教材を活用していきたいと考えています。
また、JICA研修員だけでなく、途上国の行政官、水産分野研究者や水産分野専攻日本人学生等幅広く活用してもらい、水産業の持続的な発展と次世代への継承のために役立てていただければ幸いです。
本田 勝
JICA経済開発部
このページで紹介している教材
日本の水産資源管理
日本の水産資源管理制度は、伝統的な資源利用の慣習を現代的な共同管理制度へと発展させたものです。本映像教材では、この制度がどのような仕組みで機能しているかにつき、実例を参照しながら説明していきます。
共同資源管理は予算や人員などの行政資源が乏しい環境でも導入可能であることから、開発途上国への応用性が高い制度と考えられています。本教材は本邦で学ぶ途上国からの研修員や留学生に日本の水産資源管理制度についての基本理解を深めてもらうことを目的に作成されたものです。
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