JICA経済開発部 仕事のやり方から世界を変える「カイゼン」

2023年1月31日

JICAの技術協力と「カイゼン」

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アフリカでは、現在まで9か国でカイゼンの普及・展開プロジェクトが進められており、そのほかに研修などで25か国に技術協力を行っていいます。

「カイゼン」は、日本の製造業の生産現場で発達した品質・生産性向上のための手法です。

JICA-Netマルチメディア教材「カイゼンの概要と導入・普及展開」では、1)カイゼンの概要、2)カイゼンの普及展開、3)カイゼンに関する人材育成、4)アフリカを中心としたカイゼンの具体的事例を紹介・説明します。

JICAは1983年からアジアを皮切りに、日本の品質・生産性向上についての技術協力をスタートしました。アフリカでは、2006年から段階的に協力を始め、現在まで9か国でカイゼンの普及・展開プロジェクトが進められており、そのほかに研修などで27か国に技術協力を行っています。2018年には、カイゼンの普及展開のため「カイゼン・ハンドブック」を作成しました。本映像教材では、同ハンドブックの構成に沿って、カイゼンの概要や事例等を紹介し、カイゼンの理解や導入促進を図ります。

多言語で実用に即した教材

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日本で生まれたカイゼンは、生産性や競争力で多くの課題を抱えていた国々に、好意的に受け入れられました。

カイゼンの本質とは、単なる管理手法にとどまらず、組織の全員が常に高い次元の品質や生産性を追求する姿勢、つまり、仕事の質の改善を身につけることにあります。

本教材では、日本で高度経済成長期においてカイゼン活動が大きな力となった歴史、そしてカイゼンが海外に普及・発展していった経緯を振り返りつつ、カイゼンの本質・特徴・具体的アプローチ等を、図説を交え解説しています。各国での特徴的な取り組みも含め、効果的にカイゼンを理解することが出来るよう作成しました。

現在普及展開が進むアフリカ・中南米を意識し、言語は日・英・仏・西と用意しています。さらに各言語版とも30分のフル版・6分のダイジェスト版があり、活用状況に応じ選択することが可能です。

コロナ禍で現地での撮影を行うことが出来ず制約がある中で、リモートインタビュー等を駆使し、教材を仕上げました。また、各国で独自に発展していく中で、例えば同じフランス語でも国によって当てはめる用語が異なる状況もあり、より普遍的に用いられる言い方を探る等、工夫を重ねました。

様々な分野で活かせるカイゼン

教材は、カイゼンに関心のある組織や企業、JICAの関連プロジェクトや課題別研修、関連イベント等で、導入資料として活用していただくことを想定しています。様々な活動の中でカイゼン事例が取り入れられているJICA海外協力隊の派遣前訓練や、民間セクター開発分野の能力強化研修等では、既に教材の活用が進められています。さらに、カイゼンは全ての産業にも貢献する汎用性を持ち、例えば既に医療の現場で多くの使用実績があります。そのため、今後もより多くの産業で役立てられることが期待されます。

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エチオピアの工場の作業場。2010年ごろと比べ、工具はきれいに整理整頓されていました。さらに、昔とくらべ、会社の業績も大幅にアップしたそうです。

カイゼンというと古くからの取組みと思われる方々もいらっしゃると思いますが、アフリカ等では新しいアプローチとして受け入れられている側面もあります。また、統計的品質管理を源流としてデータを重視した科学的アプローチであるため、近年のデジタル化の進展と親和性が高いという指摘もあります。カイゼン自身もまた、日々カイゼンを続けているのです。

本間徹
JICA国際協力専門員(民間セクター開発)

このページで紹介している教材

カイゼンの概要と導入・普及展開

「カイゼン」は、日本の製造業の生産現場で発達した品質改善・生産性向上のための手法です。本映像教材では、1)カイゼンの概要、2)カイゼンの普及展開、3)カイゼンに関する人材育成、4)アフリカを中心としたカイゼンの具体的事例を紹介・説明します。「カイゼン」の普及展開のため、JICAは2018年に「カイゼン・ハンドブック」を作成しました。本映像教材では、同ハンドブックの構成に沿って、カイゼンの概要や事例等を紹介し、カイゼンの理解や導入促進を図ります。カイゼンに関心のある組織や企業、JICAの関連プロジェクトや課題別研修等で、導入資料として活用していただくことを想定しています。