JICA経済開発部 中小企業が経済を発展させる―日本の中小企業振興の経験を紹介―

経済発展に大きく貢献する中小企業

中小企業は、経済発展の大きな牽引力です。日本の企業の99.7%が、中小企業で占められています。かつて農業や繊維産業が中心だった日本が機械産業中心の産業構造に転換した際には、中小企業振興策が大きな役割を果たしました。
今回制作したJICA-Netマルチメディア教材「日本の中小企業振興の経験」(英語)では、日本でどのようにして繊維産業から現在の産業構造に変化を遂げたか、また中小企業振興のために行われた政策を解説し、日本の経験を共有することで、各国に合った中小企業振興の検討の重要性をお伝えします。

日本の中小企業振興策の見どころをコンパクトにご紹介

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教材では、3つのセクションに分けて、日本の中小企業振興策を解説していきます。

教材は3つのセクションに分かれています。
セクション1では戦前編として、機械産業への転換がスタートした1930年代半ばの状況と政策を、セクション2では戦後編として、貿易自由化に向けて競争力強化を目的とした中小企業振興政策や中小企業診断士システム、生産性運動について紹介しています。
また、1960年代に経済成長が達成された後、政府は新しい主導産業として、知識集約型産業への転換をめざすビジョンを示しましたが、期待された成果が出たとは言い難い状況でした。セクション3ではその時の教訓と、中小企業振興のキーポイントをお伝えしています。

本教材は日本の中小企業振興政策の主要な取り組みと効果に焦点を当て、20分程で端的に解説するように制作いたしました。国際大学国際経営学研究科准教授である舟橋學専門員による講義に、中小企業診断士の資格を有する石田美帆職員による当該部分の解説を加え、内容の理解促進に繋げることに努めています。
また、新潟の株式会社武田金型製作所様に撮影協力をいただき、実際の部品製造の現場を映像としてお届けすることでより理解を深められるように工夫しました。
初めて本分野を学ぶ際の導入教材として活用いただける内容となっています。

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新潟の株式会社武田金型製作所様に撮影協力をいただき、実際の部品製造の現場を映像として取り入れました。

日本の経験を参考に

本教材は、JICA研修の参加者、JICA職員、その他の関係者、現地大学関係者を主な対象として、課題別研修等のJICA研修での導入講義、JICAチェア講義の補足教材、現地大学での活用を想定しています。
同様に産業転換を目指す国々において、日本の施策例が必ず適用できるとは限りませんが、本教材がその国に合った方法を検討する際の一つの参考となれば幸いです。

JICA経済開発部 民間セクター開発グループ

このページで紹介している教材

「日本の中小企業振興の経験」

日本における産業構造転換に中小企業が果たした役割と、政府による政策を取り上げ、戦前から戦後にかけて日本が機械産業中心の輸出構造に転換した経緯及び効果があった施策を解説するとともに、その後の中小企業の高付加価値化のために実施された知識集約型への転換政策の教訓についても説明します。日本の経験を共有することで、自国に合った中小企業振興の検討の重要性を伝えます。
このビデオシリーズは、JICAの協力戦略 "JICAグローバルアジェンダ "のラインナップに沿って、開発課題別にまとめたものです。
この動画教材は、JICA研修の参加者、研修員、JICA職員、その他の関係者に対して、日本の開発課題に対する取組みとそのプロセスを紹介することを目的としています。