エスワティニのビジネスマインド変革を目指して

2021年12月17日

【研修員情報】
氏名:Phiri Zanele Penelope
氏名カナ:フィリ ザネレ ペネロペ
出身国:エスワティニ
ABEバッチ数:第6バッチ(2019年来日)
本邦大学名・学部:国際大学・国際経営学研究科
インターンシップ先企業名(夏期):株式会社秀農業
インターンシップ先企業名(修了時):実施なし
応募時所属先:Sothern Africa Nazarene University(SANU)
現在所属先(修了生のみ):同上

農業に、社会起業家としての観点を

エスワティニ出身のPhiriさんは、来日前はSouthern Africa Nazarene Universityで学生たちにインターンシップなど実務活動に関するプログラムのコーディネーターとして働く傍ら、家業として農業にも携わっていました。日本での経験により、ビジネスの収益性だけでなく、無農薬のいちごや野菜の栽培技術を母国エスワティニで広めることを通して、若者や知的・身体的障害を持つ方々の自立を支援することに繋がるのではないかと考えるようになりました。

日本企業と関係構築する中での学び

Phiriさんがビジネスの収益性だけでなく、社会的責任について興味をもつようになった理由は二点あります。一点目は大学院の授業の一環で知り合った日本の中小企業が企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility, 以下CSR)を重視し、利益追求以外の活動もしていることに感銘を受けたことです。二点目はJICAが提供する起業家育成研修(注1)で、自らの農業事業計画に持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, 以下SDGs)や社会起業家としての視点を取り入れる重要性と手法を学んだことでした。2020年夏頃に、いちご栽培農家でインターンシップを実施し、車イスの方でも従事できる高設栽培(注2)の方法を習得し、新たな事業計画立案に至りました。母国エスワティニでは、自らの収益を第一に考える傾向が強く、CSRや社会的利益の視点を持っている人は多くありません。Phiriさんは「自分自身のチャレンジを通じて、母国エスワティニの所属先の大学の生徒にも教えられるものが多いと信じています。また中長期的には母国のビジネスマインドを変えていきたいです。」と熱い思いを語ってくれました。

Phiriさんは滞日中に上述の考えを具現化し、帰国後に無農薬のいちごや野菜の栽培技術を母国に広め、若者や知的・身体的障害を持つ方々の自立を支援することを目的とした事業を立ち上げられるよう奔走しました。結果、その事業計画は、母国エスワティニのスタートアップ支援事業として日本の企業から評価を受け、事業立ち上げのための経済的支援を得ることができました。まずはエスワティニのNPOなどと連携して協力者を募り、農場作りを開始しています。

(注1)将来的に起業を志望するアフリカ人留学生を対象に、JICAが起業に必要なスキルやマインドセットの習得を目的して実施する短期プログラム。
(注2)地面より高い位置に棚を組み、いちごなどの作物を栽培する方法。土壌病害の心配が少なく、栽培作業の負担が軽減されるなどの利点があると言われている。

他のアフリカ人留学生のお手本として登壇も

また、Phiriさんは2021年10月28日にエスワティニ、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、南アフリカ、レソトの6か国合同で行われた南部アフリカ地域のABE生らを対象としたオンラインネットワーキングイベントにてエスワティニ代表として登壇されました。日本で得た経験を活かした事業立ち上げや日本企業との連携について、他のABE留学生のお手本としてオンラインや会場での参加者にも新たな種まきをしてくれたPhiriさん。

日本での出会いの一つ一つを確実に自分自身の糧にし、社会貢献も目指すPhiriさんの事業成功を願っています!

【画像】

株式会社秀農業での夏期インターンシップ時のいちご栽培の様子(2020年9月)

【画像】

インターンシップの経験を活かし、母国エスワティニにて高設栽培方法で植えられたいちごが開花しました(2021年10月)

【画像】

オンキャンパス・ディレクターとしてオリエンテーションを実施(2020年11月)

【画像】

株式会社サンパワー・国際大学共催のサンパワーソーシャルビジネススタートアップピッチで入賞し、国際大学キャンパス内にて表彰を受けたPhiriさん。(2021年4月)