ジェンダーに基づく暴力に苦しむ母国の人々のために

2021年12月17日

【研修員情報】
氏名:KIBIRIGI Rachel
氏名カナ:キビリジ・レイチェル
出身国:ウガンダ
ABEバッチ数:第6バッチ(2019年来日)
本邦大学名・学部:神戸情報大学院大学・情報技術研究科
インターンシップ先企業名(夏期):辻プラスチック株式会社
インターンシップ先企業名(修了時):ソフトバンクグループ株式会社
応募時所属先:Arc.mark Limited

ICTでの課題解決-暴力の被害者たちを救いたい

ウガンダのIT企業で働いていたKibirigiさんは、ICTを女性のエンパワーメントやジェンダー問題の改善に活用したいと、「ICTでの課題解決」を掲げる神戸情報大学院大学に留学を決めました。現在Kibirigiさんは、防犯対策用の緊急通報ボタン(注)とそれに連動する緊急通報システムを構築することを目標に勉学に励んでいます。Kibirigiさんは、自身のプロジェクトを、母国ウガンダのRukiga語で「助けて」を意味するNJUNAと名付けました。試作機開発前にはオンラインでの調査を行い、ウガンダ人女性の声を取り入れ、指導教員からもGBVに関する日本人活動家や組織を紹介してもらうなど、実現化に向けて邁進しています。

(注)緊急通報ボタン:犯罪に遭遇した際に緊急通報する目的の携帯用ボタン。ボタンを押すと事前に女性が通知送付先に設定した家族、信頼できる地域の知人、最寄りの警察署へ女性の位置情報ともに緊急通報情報が送信し、助けを呼ぶことのできるシステムが搭載されている。同ボタンは防犯ベルとは異なり、アラーム音が鳴ると犯人に気づかれて装置を破壊されるなどの可能性もあることから、犯人に気づかれないよう助けを呼ぶことができる。またボタンを押すと音声録音、証拠分析のためのライブビデオストリーミング、位置追跡などの機能が作動する。

NJUNA-被害を事前に防ぎ、最小限に留めるために

緊急通報ボタンにはGPS、証拠分析のための周囲のライブビデオストリーム、録音機能付きオーディオが搭載されており、デザインにも工夫しています。そして、一度緊急通報ボタンが押されると、事前に女性が通知送付先に設定した家族、信頼できる地域の方々、最寄りの警察署に、女性の居場所ともに緊急通報が送信される仕組みになっています。

同時に開発したスマホ用アプリは、女性への暴力や被害者が多く出ている地域の特定と注意喚起、被害者を守るためのシェルターや公的機関の情報などを網羅し、被害を未然に防ぐ役割を果たします。

来日当初は、国連や政府と協力してNPOの立ち上げを目指していましたが、現在はより持続的かつ自立して運営できるよう、自ら会社を興して、このプロジェクトを推進することを目標にしています。

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神戸情報大学院大学にてNjunaシステムについて最終発表するKibirigiさん(2021年8月)

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Njunaシステムのアーキテクチャ

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日本文化に親しむKibirigiさん(2019年)