安全で環境に優しい微生物製剤で蚊媒介感染症問題に挑む

2022年5月27日

【企業情報】
企業名:株式会社九州メディカル
所在地:本社:〒803-0814 福岡県北九州市小倉北区大手町13-4
バイオ本部:〒108-0075 福岡県久留米市百年公園1-1 福岡バイオインキュベーションセンター104号
事業内容:調剤薬局事業ならびにバイオ事業
インターン受入人数:1人
企業ウェブサイトURL:http://www.kmed.co.jp/

「安全・安心な微生物」を利用した製品開発に取り組む

株式会社九州メディカルは1987年(昭和62年)に北九州市で創業、調剤薬局事業をベースに成長し、1995年にバイオ事業に進出しました。
バイオ事業では、海洋など自然環境の中に無数に存在する微生物の中から人々の暮らしに有用な微生物をスクリーニングし、その特性を踏まえた不快害虫駆除剤、機能性飼料、微生物資材などの製品を開発、販売しています。
2009年には、動物用医薬品および殺虫剤の生産販売の事業許可を持つPT. Harvest Ariake Indonesiaを設立、JICAの2019年度第一回中小企業・SDGsビジネス支援事業-案件化調査(中小企業支援型)-にも「安全で環境に優しい微生物製剤による化学薬剤耐性ボウフラ対策と蚊媒介感染症予防の案件化調査」(パラグアイ)で採択されるなど、海外への事業展開も積極的に行っています。

遠かったアフリカが近づくきっかけとなったインターンシップ

同社はバイオ事業の次なる展開先としてアフリカに関心をもち、2019年8月に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)のサイドイベント「日本・アフリカビジネスEXPO」にも出展しましたが、アフリカからのEXPO参加者とは会場で名刺交換は行ったものの、その先に話が進むことはありませんでした。
アフリカへの関心が薄れかけていた2020年、JICA九州からの紹介でコートジボワール出身の長崎大学熱帯医学・グローバルヘルス研究科に在籍するGNAMIAN Nouveau Kanzin Alainさん(ABE第6バッチ、2019年度来日)と出会いました。Gnamianさんは自国で薬剤師をしていたため、専門性の近さからも話が通じやすく、2021年7月には同社にて5日間のインターンシップが実現しました。インターンシップでは、同社で開発中のバイオ製品(マラリア原虫を媒介するハマダラカ類の幼虫殺虫剤)を将来アフリカ市場で販売していく際に母国でのネットワークを生かして関わってもらうことを見据え、Gnamianさんに同社および同製品の特性を学んでもらうことを目的とし、また蚊自体についても知識を得られる機会を設けました。また、インターンシップ初日にはGnamianさんにコートジボワールに関するプレゼンテーションを行ってもらい、同社社員にとっては、遠い存在だったアフリカが身近に感じられるようになる機会となりました。

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インターンシップにて試験結果の分析の様子 左より同社下川氏、Gnamianさん

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コートジボワールのマラリア発生状況についてのプレゼンの様子 左より同社下川氏、Gnamianさん、犬塚氏、前田氏

マラリアの撲滅に向けて

2021年9月にコートジボワールに帰国し、保健省のCenter for Diagnosis and Research on HIV and others infectious diseases(CeDReS)に復職したGnamianさんとは、その後も「マラリアの撲滅」という同じ目的のもと、自社製品のコートジボワールでの販売に向けて連携を進めています。
2022年1月にはGnamianさんを介して、同保健省傘下のマラリアプロジェクトチーム:Malaria Research and Control Center(CRLP)of National Institute of Public Health(INSP)とのオンラインミーティングの実現に至り、現在は、INSP所属研究機関での自社製品試験の実施に向けて調整を行っています。

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1月に実施されたオンラインMTGの様子。上段左より時計回りで同社下川氏、前田氏、Prof. YAVO William(Head of CRLP)、GnamianさんとCRLPの職員(Dr. TANO Konan Dominique、Dr. KONATE Abibatou、Dr. BEDIA-TANOH Akoua Valerie:順不同)