インターン事例(1) 日本のビジネスを実践の場で体験できた5日間−ビジネス成功の秘訣、短期間でも多くの気づき

ABEイニシアティブの主な取り組みとして、JICAでは「修士課程およびインターンシップ」プログラムで2017年までに900人の研修員を受け入れる。このうち第1バッチ(注1)149人が、2015年7〜9月にかけて民間企業でのインターンシップを体験。受け入れた企業は65社に上った。

同プログラムには、すべての研修員が参加する「夏季インターンシップ」と、企業推薦の民間人材研修員(注2)を中心に参加する「卒業後インターンシップ」の二つのインターンシップがある。うち第1バッチが体験したのは「夏季インターンシップ」。研修員、企業の双方に感想を聞いた。

(注1)来日した年度ごとの研修員グループを指す。
(注2)日本企業から推薦を受けて応募し、研修員として来日した人材。原則として、企業見学、修了後のインターンを推薦企業で実施することが求められる。

タンザニアから参加しているムエマ・ゴドフレイさん(政策科学研究科専攻)、ケニアから参加のアントニー・ンディラングさん(経済学専攻)がインターンを経験したのは、中古車輸出、ECサイト運営を行う株式会社ビィ・フォアード(東京都調布市)。同社では、2015年の夏のインターンシップで合計7人を受け入れた。

研修員の感想:ムエマ・ゴッドフレイさん

  • ABEイニシアティブは、修士課程での学習とインターンシップを組み合わせた内容で、理論と実践の双方に基づいておりとてもバランスの良いプログラムだと思う。
  • インターンでは、日本式の仕事やビジネスの進め方を学びたいと考えていたが、実際にビィ・フォアードで過ごした5日間は素晴らしい時間だった。
  • ビジネスの成功には、規律を厳格に守ることが必要で、中でも時間を守ることはどのような場面においても最重要であることを学んだ。
  • 専門性やチームワークも成功のためには非常に重要なスキルであるほか、市場での競争に勝つには、品質の維持がとても大切との考えを持つようになった。

役職などの立場に関係なく互いを尊重することもインターンシップ中に経験するなど、「期待していた以上のことを学ぶことができた」と語る。

研修員の感想:アントニー・ンディラングさん

  • 非常に短期間のインターンシップだったが、日本式のビジネスマナーやマネジメントを含む業務プロセスから多くのことを学べた。
  • 日本での中古車販売では、輸送時に車を傷つけることのないよう非常に慎重に取り扱われている様子を知ることができた。
  • 今回のインターンシップで学んだ日本の企業文化や経営技術などを生かして、ケニアおよびアフリカの消費者と、企業の事業拡大につながる支援をしていきたい。
  • 日本の生活では、「おもてなし」に代表されるホスピタリティー、あらゆることをスムーズに進めることができるよう構築されているシステム、細部にまで気を配るところなどに感銘を受けた。

「今回のインターンシップは非常に短期間だったが、予想していた以上に多くのことを学ぶ機会になった」と話した。

受け入れ企業ビィ・フォアードの感想

  • 同社は、取引実績のある124ヵ国のうち、41ヵ国がアフリカの国で、さらに公式エージェントオフィスを置く13ヵ国のうち8ヵ国はアフリカにある。また、ECサイト運営の経験を生かし、アフリカ進出を考えている企業に対するコンサルタント事業も展開している。
  • 売り上げベースでは全体の7割をアフリカ市場が占めている同社では、「現場レベルでの人的交流、文化交流ができたら」と考えていたところ、ABEイニシアティブの始動を知り、インターンの受け入れを決めた。
  • 事業内容などについて説明をしている中で、非常に的を射た質問があったほか、マーケティングにつながるような情報も得ることができ、研修員に伝えられたことよりも、学べたことの方が多かったとの感想を語っている。

今後も同社のビジネスを通じて、研修員をはじめ現地の人々がビジネスを広げ、豊かになっていくプロセスを支援していきたいといす。また、2015年8月に来日した第2バッチの研修員についても、積極的に受け入れを考えたいとしている。

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インターンシップでは、現場での業務にもチャレンジした