2014年から実施している「ABEイニシアティブ」（アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ：African Business Education Initiative for Youth）は、アフリカの若者に日本の大学院修士課程にて就学、及び日本企業でのインターンシップの機会を提供することにより、アフリカ地域にてビジネス展開をしている日本企業が求める現地人材の育成や、今後、ビジネスにおける日本とアフリカの架け橋となりうる現地人材を発掘し、同地における日本の経済活動の促進、それに伴うアフリカ経済の活性化に寄与することを目的としています。
今般、JICAの長期研修プログラムであるABEイニシアティブにて、現在日本で修士課程に就学している研修員を対象に、ビジネススキルに関する研修を実施しました。本研修では、座学による各種分析等の理論の学習と、企業への研修員からの事業提案会を行い、座学の研修には、69名の研修員、事業提案会には企業7社と、ABEイニ生263名の研修員が参加しました。

本会は以下の内容にてオンライン形式で、全１０日間の研修となりました。
１日目・２日目: ビジネススキル研修
３日目: ピッチ演習
４日目: 企業向け事業提案会 (全7社、計7日)

１日目と２日目は、3月28日と29日の2日間で開催し、外部講師によるビジネススキルのオンライン研修を行いました。研修は外部講師を招き、ロジカルシンキング、PEST分析、SWOT分析、STP分析とBMCの作成等を行いました。参加した研修員は、実在する日本企業の経営者目線で前述のツールを用いた自社事業の分析を行い、研修員同士がそれを相互に評価し合い、学び合う会となりました。研修員は、大学院にて各人が様々な専門分野の研究を行っていますが、今回のビジネススキル研修では普段の自身の研究分野とは異なるビジネスに関する理論を学ぶことができ、母国で事業を興すためにまたとない機会となりました。

研修３日目は、企業への事業提案を希望する研修員による、提案発表の演習を行いました。参加者はそれぞれが母国で興したい事業について、研修１日目と２日目で学んだ各種分析手法を用いた発表を行いました。事業内容、分析手法について、研修講師及び、他の研修員からの評価・意見を得ることにより、ビジネスの現場でより良い表現方法で伝わる事業発表の仕方等を練習する貴重な機会となりました。出身国や専門分野の異なる研修員からの客観的なフィードバックを受けることにより、各自が準備した発表内容に新たな視点が加わり、提案事業の内容と精度を上げることができました。

研修４日目は、アフリカ諸国に進出を予定している、あるいは既に事業展開済みの日本企業に対して研修員が新規の事業提案を行い、企業の方からアドバイスや意見を頂く機会となりました。実際に事業を興す際に必要となる様々なリソース、市場規模の算出、対象のアフリカ諸国現地での実際の需要度の考察等、多岐に渡る視点で企業の方々からコメントをもらうことができました。
参加された日本企業の業種は、メーカー、IT、ロジスティック、コンサルタント等、多岐に渡っており、アフリカ諸国出身者から、アフリカ諸国の実情に基づいた率直な意見を聞くことにより、自社の既存の製品・サービスのニーズ、競合、価格設定等について、活発な議論をすることができる場となりました。アフリカ市場について研修員と話し合うことは、活字で読むこととは異なる相互のコミュニケーションとなり、日本企業の方々にとっても知見を深める機会となりました。自社の事業内容が、アフリカ諸国で提供できる価値の新たな発見にもつながり、双方にとって有意義な研修となりました。

開催日(全てオンライン形式)

・アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ（ABEイニシアティブ） ：
アフリカの産業人材、ビジネスにおいて日本とアフリカの架け橋となる人材の育成を目的として、アフリカの若者を対象に日本の大学での修士号取得と日本企業などでのインターンシップの機会を提供するプログラム。