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自国の課題解決を目指して、新たなビジネスの立ち上げ!:ビジネススキル研修を実施しました。

ABEイニシアティブ(以下、ABEイニ)及びSDGsグローバルリーダープログラム(以下、SDGs-GL)留学生を対象に、ビジネススキル研修と自国の開発課題解決を目指すビジネスプランの提案会を行いました。
参加留学生は、出身国が抱える課題を予め洗い出し、研修で学んだスキルや手法を駆使して、自国課題を解決するビジネスプランを描くことを、最終ゴールとして目指しました。
研修では一般的なマーケティング理論、各種分析手法、ビジネスモデルの構成要素等に関する基礎知識の習得および演習を行い、ビジネスプランを描く上で不可欠なスキルを学びました。研修最終日の提案会では、事前に選抜された12名のビジネスプランが披露され、課題の深刻さと解決方法の有効性を示しながら、事業価値の高さを訴えました。今後、企業との連携も模索しながら、それぞれのビジネスプランの実現を目指していきます。

本会は以下の内容にてオンライン形式で、全4日間の研修となりました。
1日目・2日目: ビジネススキルの研修
3日目: 事業提案の演習
4日目: ビジネスプランの提案会 (12名のビジネスプランによるコンテスト)

1日目・2日目:ビジネススキルの研修

2024年12月14日と15日の2日間で開催し、外部講師によるオンライン研修で、ビジネスプランを描く上で不可欠なスキルや検討手法を学びました。

  • 事業の外部環境を分析する手法(PEST分析、3C分析、SWOT分析)
  • マーケット戦略を明確にする手法(STP分析 / 狙うべき事業分野の定義付け)
  • 顧客が達成したい価値を定義づける手法(Jobs to be Done)
  • ビジネスモデルを可視化するフレームワークテンプレート(Business Model Campus)
  • を動かすプレゼンテーション手法(Logical Thinking & Presentation)
留学生は、大学院でそれぞれの専門分野の研究を行っていますが、自らが事業を企画しビジネスプランを描いた経験は少なく、普段の研究分野とは異なる内容を興味深く学んでいました。研修の進め方も、講師による一方的な説明にならない様に演習の時間を設け、参加留学生に都度課題を与えその場で回答させる、”双方向”の研修となりました。活発な議論を伴うプログラムになり、留学生も緊張感を保ちながら参加でき、外部講師からも「今後のビジネスプランに期待が持てる。」という講評を頂戴しました。

画像1:マーケット戦略の講義の中で、狙うべき事業分野の定義づけ手法

画像2:顧客が達成したい価値を定義付ける手法Jobs-to-be-Done(JTBD)を学ぶ演習

画像3:ビジネスモデルを可視化し把握するためのフレームワークテンプレート

自国課題を解決するビジネスプランの提出

参加留学生は、1日目と2日目で学んだスキルや手法を駆使して、自国課題を解決するビジネスプランを描き、3日目の研修前までに事前提出を行いました。今回は58名からビジネスプランの提出があり、多くの留学生が自国の社会課題をビジネスチャンスと捉えていることが示されました。

3日目: 事業提案の演習

2025年1月25日には、事前に提出されたビジネスプランの中から、モデルケースになりそうな提案を外部講師が選択し、提案発表の演習を行いました。事業内容や分析手法などビジネスプランの内容自体や、発表者のプレゼンテーションの仕方に対し、外部講師や他の参加者からの評価・意見を得ることで、より訴求力が強く説得力が高いプランに向上しました。

画像4:ビジネスプラン発表までの日程

画像5:プレゼンテーションの必須要素を説明

画像6:人を動かすプレゼンテーション手法

4日目: ビジネスプランの提案会

研修最終日となる2025年3月7日の提案会では、優秀なビジネスプランを提出した12名によるピッチコンテストを実施し、本研修の講師を務めた吉野賢哉氏やヤマハ発動機株式会社の吉光翔平氏をはじめとする審査員に対し、自身のビジネスプランを披露しました。提案会には、発表者以外の70名の留学生や、企業・団体からも22名の聴講者が参加され、自国課題の解決に取組む研修員に対する興味の高さが示されました。

画像7:ピッチコンテストで発表された12名のビジネスプラン

画像8:ピッチコンテスト集合写真―1

12名の発表者は、各自のビジネスプランを最後までレベルアップして当日の発表に臨みました。発表内容はどれも素晴らしく優劣つけ難い内容でしたが、最終的には以下の3名が優秀提案として選出されました。

最優秀者:OBI Kelechiさん(ナイジェリア) 医療廃棄物処理事業提案

優秀者:Habyarimana Patrickさん(ルワンダ)稲作と魚養殖の融合による生産性改善提案

優秀者:Nzyoki Kimanthiさん(ケニア) ナイロビ川の水質改善提案

最優秀者に選ばれたOBI Kelechiさんは、「大変光栄に感じております。今回のトレーニングを通じて、アフリカに事業拡大する上で必要となる視点や、そのための日本企業へのアプローチの仕方についても、学ぶことができました。今後、アフリカのベンチャービジネスを目指す日本企業とネットワークを更に広げ、提案した『医療廃棄物の処理ビジネス』が実現できるよう引続き尽力していきたいと思います。」と抱負を語っていました。

研修に参加した留学生は、本研修で学んだスキルや考え方の理解を深め、自身のビジネスプランを更にレベルアップさせ、日本企業・団体と連携しながら自国の課題題解決に貢献するとともに、将来日本とアフリカの架け橋となって活躍してくれることが期待されています。

<対象プログラム>
アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)


アフリカの産業人材、ビジネスにおいて日本とアフリカの架け橋となる人材の育成を目的として、アフリカの若者を対象に日本の大学での修士号取得と日本企業などでのインターンシップの機会を提供するプログラム。
【参加研修員推移】

  • 研修1日目、2日目:75名
  • 研修3日目:60名
  • ビジネスプラン提出者:58名
  • 研修4日目:(発表者12名+聴講研修員)82名