アフリカの発展を牽引する人材育成に貢献してきた10年

2023年5月16日

2013年の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)で発表された「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)」が開始されてから、今年は10周年の節目の年。この10年間の歩みの中で、JICAはアフリカ全54カ国から1,600名以上の参加者を受け入れてきました。

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ABEイニシアティブプログラムでは、アフリカの若者を対象に、日本の大学院の修士課程で学ぶ機会に加え、来日中日本企業でのインターンシップを始めとした日本企業との交流やビジネススキル等について学ぶ機会を提供するだけでなく、プログラム修了生への帰国後のフォローアップ活動にも力を入れており、参加者は帰国後も、日本企業やプログラムの修了生とのネットワーキングの機会が提供されます。過去の研修生自身も積極的に日本企業とのネットワークを育み、「Kakehashi Africa」という日本企業とアフリカの連携促進を目指すネットワーク組織を立ち上げています。

アフリカの産業・ビジネスの発展に貢献し、アフリカに事業展開する日本企業の「水先案内人」として活躍する人材の育成を目指して進めてきた本プログラム。本プログラムのインターンシップやそのほかの日本企業との交流機会がきっかけとなり、ABE修了生が卒業後に日本企業に就職したり、ビジネスパートナーとして日本企業とビジネスを始めたりするケースも増えてきています。

アフリカ各国から発信された参加者の声やその後の活躍

ABEイニシアティブの創設から10年を迎えたことを機に、アフリカ各地で新聞などのメディア媒体を通して、改めてABEイニシアティブの取り組みを紹介。人材育成に関心のある現地機関や国内の若者に向けて、ABE修了生の声やその後の活躍を届けました。

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マイケルさん:ザンビアの新聞「Daily Mail(2023年3月17日発行)」より

【画像】半年間の長期インターンシップを行った(日本)企業は、再生可能エネルギーの会社でした。私は、地上設置型と屋根上設置型の太陽光発電所の設計を学びました。また、シミュレーションソフトを使った風力発電所の設計や、再生可能エネルギープロジェクトの事業開発についても学びました。
ABEイニシアティブによる10年間の取り組みを通して、人材育成やアフリカの経済開発への取り組みを支援・促進し、アフリカ諸国に大きな利益をもたらしたことに感謝しています。
【新聞記事から一部抜粋・要約】

ロビーナさん:ウガンダの新聞「New Vision( 2023年3月16日発行)」より

【画像】ABEイニシアティブを通じて、長崎大学で公衆衛生学を学び、大阪のサラヤ(衛生・環境・健康に関わる製品やサービス提供する企業)本社でインターンシップを経験。帰国後は、Saraya Manufacturing Uganda Ltd.で衛生インストラクターとして働いていました。
その後、新型コロナウイルスが流行し、ABEイニシアティブに参加したことが、私にとってこれほどまでに大きな財産になるとは思いもよりませんでした。
インターンシップでは、高い衛生観念の下、高品質の製品開発手法に刺激を受けました。現在は、衛生管理者として、キッチン、食品、環境、そしてもちろん健康のための衛生製品の開発に携わり、日本で学んだ知識を伝えることで、チーム全体の能力の向上に努めています。
【新聞記事から一部抜粋・要約】

アッスムさん:ガボンの新聞「L’UNION (2023年3月29日発行)」より

【画像】私は関西学院大学でMBAの修士号を取った後、YASUDA Industryという日本の会社でインターンシップを経験しました。日本の中古車とスペアパーツの販売を専門とするYASUDA Industryグループは、ガボンに支店を持つことを希望しており、現在、支店の開設準備に関わりながら、ガボンの産業振興・発展を目指しています。
【新聞記事から一部抜粋・要約】

ムスタファさん・フォジアさん:ジブチの新聞「La Nation(2023年3月28日発行)」より

ABEイニシアティブの取り組みは、すでにジブチでも目覚ましい成果を上げています。ジブチにおけるKakehashi Africaの代表でもあるムスタファさんは、帰国後起業し、コンサルタントとして複数のJICAプロジェクトに参画しています。フォジアさんは、日本企業の清水建設に就職し、バルバラ地区(人口増加著しく学校が不足している首都郊外エリア)の学校建設プロジェクトに貢献しています。
【新聞記事から一部抜粋・要約】

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ムパソさん:マラウイの新聞「The Daily Times(2023年3月24日発行)」より

【画像】理数科教育におけるカリキュラム開発の修士課程を修了したムパソさんは、現在、教師教育開発局にて、(JICAの技術協力プロジェクトとして開始された)中等理数科教育強化計画プロジェクト(SMASSE)において、数学と科学のナショナルトレーナーとして働いています。教員向けの研修では、マイクロスケール(小型サイズ)の実験キット導入し、経済的に実験が行われる有益なキットとして、参加教員にも好評を得ました。
日本留学中、最も大きな学びの機会となったのは、2つの日本企業での勤務したことと語るムパソさん。日本のワーキング・カルチャーから、マラウイの経済発展を支える重要な学びを得られたことに、とても感謝しています。
【新聞記事から一部抜粋・要約】

フェイスさん・グレゴリーさん:タンザニアの新聞「The Citizen( 2023年3月9日発行)より

ABEイニシアティブ1期生のフェイスさんと2期生のグレゴリーさんは、日本で修士課程を修了した後、2018年にタンザニアで「Fay Fashion Tanzania」という高品質で実用性と機能性に優れた革バッグを製造する会社を設立しました。日本とタンザニアの文化にインスピレーションを受け、丈夫でお洒落なバッグを作ると同時に、一般にファッションの新しい定義を考えさせる機会になることを望んでいます。フェイスさんのインターンシップ先である日本のレザーバッグ会社とは現在も良好な関係が続いており、近い将来、さらなるコラボレーションを計画しています。
【新聞記事から一部抜粋・要約】

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TICAD8では、アフリカのオーナーシップや人への投資、アフリカと国際社会の連帯の重要性が強調されました。JICAは「人材育成」を特に重視し、ABEイニシアティブの取り組みをJICAの対アフリカ協力における最優先事項の一つとして、これからも取り組みを継続していきます。

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