ウガンダ:成功の種をまく!農業ビジネス分野における、日本企業とJICA長期・短期研修の修了生による交流会をウガンダで開催

今般、JICAウガンダ事務所が主催した農業ビジネススタディツアーに日本企業4社が参加、ウガンダを来訪されました。同ツアーの一環として、2023年12月7日ウガンダ共和国の首都カンパラにて、日本企業とウガンダ出身の農業分野のJICA長期・短期研修修了生5名との交流会が開催されました。このような日本企業とJICA研修の修了生との交流会は昨年に続き2回目となり、日本企業のウガンダにおける農業ビジネスの可能性について白熱した議論が交わされました。

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集合写真

JICA研修の各修了生による発表では、ウガンダに適用できそうな日本の農業技術や知見として、農業のデジタル技術や小型農業機械の導入、農家同士のつながりを強化するための農業協同組合の設立、農作物の市場流通システムの強化等について言及がありました。加えて、ウガンダへの事業展開を検討している日本企業へのアドバイスとして、言葉や慣習の壁を乗り越えるために現地のビジネスパートナーを見つけること、市場を知るための事前の徹底した調査の実施や技術展示会への参加などが挙げられました。修了生の発表を受けて日本企業からは、ウガンダにおける灌漑農業の現状や農業機械へのニーズ、市場調査の実施に関する質問が多数上がり、日本企業にとって現場におけるニーズや課題を深く理解する機会となりました。また修了生からは日本企業のビジネス進出に対する自らの貢献できることなども発表され、日本企業の将来のビジネス展開支援につながるような関係の構築が促進されました。

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ABE修了生による発表(左)Agri-Net修了生による発表(右)

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日本企業による修了生への質問

続いて日本企業4社からJICA研修の修了生に対し、各社の事業概要やウガンダでの事業展望アイデアが共有されました。本イベントに参加した日本企業にとっては、ウガンダにおける農業の現状や課題、ビジネス環境を理解するために今回ウガンダを訪問したことから、議論を通じて修了生から企業のビジネス展望と結び付けた助言が得られたことで、有意義な機会となりました。また修了生との名刺交換を通じて、ウガンダでのビジネス展開に不可欠な水先案内人を得る、貴重な機会となりました。一方修了生にとっても、JICA研修後の学びの社会還元および日本とウガンダをつなぐ“懸け橋”としての役割を実践する契機となりました。

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日本企業による事業紹介

プログラム最後のネットワーキング・セッションでは、ウガンダの農業ビジネスの発展や日本企業のウガンダでのビジネス展開の可能性について、活発な意見が交わされるなど、参加者間で親交を深める機会となりました。

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井上JICAウガンダ事務所長の挨拶

JICAは引き続きABEイニシアティブを筆頭に、JICA長期・短期研修プログラムの修了生のサポートを続けながら、ネットワーク強化と日本企業との連携を促進し、アフリカと日本の架け橋となるより多くの人材育成に尽力します。

実施概要

会議名: 農業ビジネス分野に関連した日本企業とJICA長期・短期研修修了生とのネットワーキングイベント
開催日: 2023年12月7日
主催: JICAウガンダ事務所
場所: ウガンダ共和国カンパラ市 Fairway Hotel

参加者

JICA研修修了生

Mr. AYELLA Paul(ABE第3バッチ修了生):オンラインによる発表
Ms. NAKIYAGA Solome(2022年度課題別研修「「アフリカ地域 稲作振興のための中核的農学研究者の育成」修了生)
Mr. SSENYONGA Peter Balyejusa (Agri-Net FY2019修了生)
Ms. TUMWEBAZE Maria Agnes (ABE 第4バッチ修了生)
Mr. SSEMWOGERERE Jonah (2021年度課題別研修「天水稲作のための稲栽培・種子生産及び品種選定技術」修了生)

日本企業

西村 隆氏(三光通商株式会社)
大山 幹雄氏(MOL Shipping (Kenya) Ltd.)
塚田 佳満氏(NPO法人未来の担い手支援機構)
乗富 大輔氏(Ebara Pumps East Africa)

プログラム概要

  • 歓迎挨拶 JICAウガンダ事務所
  • 参加者全員による自己紹介
  • ABE、Agri-Net、課題別研修の修了生による発表と質疑応答
  • 日本企業発表
  • 閉会の辞 JICAウガンダ事務所 井上事務所長
  • ネットワーキング夕食会

背景・目的

JICAは、アフリカの産業人材や行政官、若手研究者等の育成を目的とした長期研修事業や、途上国が抱える課題解決に資するような政府人材の育成を目的とした短期の課題別研修を実施しています。今回開催された交流会では、長期研修(ABEイニシアティブ、Agri-Net)、課題別研修(KCCP)のプログラムの修了生のうち農業関連の修了生を集め、ウガンダを訪問していた日本企業とのネットワーキングを構築するために開催されました。

対象プログラム

  • アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ):
    アフリカの産業人材と日本企業のアフリカビジネスをサポートする「水先案内人」の育成を目的として、アフリカの若者を対象に日本の大学での修士号取得と日本企業などでのインターンシップの機会を提供するプログラム。
  • 食糧安全保障のための農学ネットワーク(Agri-Net):
    開発途上国における農林水産分野の高度人材育成を目的として、日本の大学での修士/博士の学位取得を目指すプログラム。
  • 課題別研修(Knowledge Co-Creation Program):
    日本が有する技術や知見、経験の共有を通じて途上国が抱える多様な課題の解決に資する研修プログラム。本交流会には「天水稲作のための稲栽培・種子生産及び品種選定技術」及び「アフリカ地域 稲作振興のための中核的農学研究者の育成」で学んだ帰国研修員が参加。

※今年2023年は ABEイニシアティブ10年目の節目の年となります。