ガスメーター設置で資源を節約~JICA×中部企業の海外展開vol.1

【写真】小野田成良さん株式会社ヘリオス・ホールディングス 代表取締役
小野田成良さん

バングラデシュをはじめ、メキシコ、インドネシアと、JICA事業を活用し、各国に販路を広げる株式会社ヘリオス・ホールディングス。
代表取締役小野田成良さんにJICAの民間連携事業活用の利点をお伺いしました。

海外での設置事業が主力

10年前、バングラデシュを視察した際、現地の政府関係者からガスの使い過ぎが深刻な問題になっている事を聞きました。ガスは当時、定額制の使い放題で、住民の節約意識も乏しい。そのうえ、ガス管の老朽化によるガス漏れも多く発生し、ガスメーターの設置が喫緊の課題になっていました。
2012年にアジア開発銀行発注によるガスメーター8600台の入札に参加しましたが、インフラ整備は重要施策であり、交渉相手は政府や世界の大企業ばかり。地方の中小企業は相手にされません。書類作成の煩雑さなどにも追われ、失注という苦い経験を味わいました。

見える化で使用量が4割減

【画像】JICAの民間連携事業に応募し、13年に採択されました。本事業を通じて、日本製ガスメーターの有用性を実証できました。JICAの事業でスタートアップしたことで、現地での調整もスムーズに運び、その後の事業化への大きな足がかりになりました。
バングラデシュでの当社のガスメーター設置台数は現在26万台で、追加で12万台の設置を進めています。今後のさらなる追加設置に向けても活動しています。
日本製の高品質なガスメーター、日本基準の設置工事によるガス漏れ防止、使用量の見える化で節約志向が高まり、定額制の時に比べると使用量は4割ほど削減できました。事業を通じて天然ガス資源の節約にも貢献できたと思います。

広がる異業種との協業

【画像】バングラデシュの実績をもとに、17年にメキシコ、19年にインドネシアに進出しています。いずれもJICAの基礎調査を活用してガスメーターの設置事業を進めています。海外進出に際し、企業の状況に合わせて支援してくれるJICA中部は非常に頼りになる存在でした。
 ガスメーター設置事業を通じて、住人とも関係を築くことができました。この良好な関係をビジネスに結びつけようと、いろんな企業と協業も進み、新規事業も動き出しています。JICAの民間連携事業をきっかけに、ビジネスの舞台は海外に移りました。この10年の展開は自分でも驚いており、大きな可能性を感じています。
(文・写真/中部経済新聞社)


※本記事は、2020年3月17日付中部経済新聞に掲載された内容を再編集したものです。