「生き甲斐」を知った日本でのインターン (Biya Girma HIRPOさん×株式会社丸八テント商会) ~JICA元長期研修員インターン生へのインタビュー~

【写真】Biya Girma HIRPOさん 名古屋工業大学大学院工学研究科卒業 アディスアベバ大学 エチオピア建築・建築・都市開発研究所所属 エチオピア連邦民主共和国 出身JICA元長期研修員インターン生(現在、大学講師)
Biya Girma HIRPOさん 名古屋工業大学大学院工学研究科卒業 アディスアベバ大学 エチオピア建築・建築・都市開発研究所所属 エチオピア連邦民主共和国 出身

今回はJICA研修員として、名古屋工業大学大学院工学研究科に留学していたMr. Biya Girma HIRPO(ビヤ)さんとインターンシップ先の(株)丸八テント商会の原駿一郎さんにお話を伺いました。
2回シリーズの第1回目は元JICA研修員ビヤさんへのインタビューです。
(聞き手:JICA中部 研修業務課)

以前、ビヤさんは日本の高齢者の人たちがとても元気で活動的なことにとても驚かれていましたよね。(株)丸八テント商会(以後「丸八テント」)でも文化の違いなど、インターンシップ期間中に何か驚きの経験はされましたか?

丸八テントのオフィスで働くビヤさん

インターンシップを始めてから、とても驚かされたことは2つあります。一つは、日本人のインターン生たちは勤務時間が17時までなのにもかかわらず、皆19時と遅くまで働くことです。そしてもう一つは、お客様からお電話がかかってくるや否や、皆が一回目の電話音で、電話を取ろうとすることです。

丸八テントでは、箱根の美術館プロジェクトを任されるなど、テント建築物の設計や2D・3D図面作成を担当されていましたね。まさに、丸八テントでの「現場」で具体的に学んだことを教えてもらえますか?

ポーラ美術館内の天井の工事を完成させた丸八チームで

 詳細さの水準: 業務のどの工程においても、慎重に計画し、設計図/施工図に落とし込んでいきます。現場では、まさに描かれた設計図/施工図のとおりに進めるので、大きな修正が必要ありません。日本で建設工事がスケジュール通りに進むのは、このおかげだと思いました。
 ゴミ収集: 自分の国の建設現場では、ごみがたまり、汚れているのですが、ここ日本では、毎日仕事が終わると、ごみを集めてごみ箱に入れます。おかげで一日の終わりには、現場はいつも綺麗な状態になっていました。
 安全第一!: 丸八テントでは毎朝、仕事を始める前に「ご安全に」とかけ声をかけていますが、それが実際に、従業員皆の怪我予防への注意喚起になっていました。その一方で、ほとんどの従業員の方が喫煙者でしたので、皆さんの健康や会社の生活が心配になりました。

ビヤさんは、所属していた名古屋工業大学では、工学修士(社会工学専攻/建築・デザイン分野)を修め、卒業後は母国のエチオピアの大学で教える予定ですよね。丸八テントでのインターンシップも含めて、日本の生活があったからこその、新しい視点や何かご自身の成長などがあれば、(たくさんあるかと思いますが)一つだけ教えてもらえますか?

テントの素材でバックを作る練習

丸八テントは、私自身が「ビジネスでの成功」をどうとらえるかということに、大変大きな影響をもたらしました。エチオピアでは、起業をするモチベーションというのは、早くお金持ちになるためというのが主です。しかし、(丸八テントで学んだことは)自分の目的や目標、貢献といったものが、主なモチベーションでなければいけないということです。その目的を持って取り組んでこそ、初めて特定の分野で抜きん出るようになるのです。この姿勢は、まさに達成したいことがあるときに役立ちます。私は「生き甲斐」という、人生の目的や意義を見出す日本のコンセプトが大好きになりました。

ビヤさんは、インターンシップ期間中には、コロナ禍における緊急事態宣言により、いわゆる「リモートインターン」も経験されましたよね。この逆境の中、何か予想外に学ぶことはありましたでしょうか?

帰国後、JICAの短期研修参加者向けに、母国エチオピアから丸八テントでのインターン経験談を話したビヤさん

科学技術の進歩のおかげで、リモートインターンシップというのは、学生にとっても、また、自宅や母国等、違う国からでも勤務できるようになるなど、絶好の機会となりました。私も緊急事態宣言期間には、リモートインターンを経験しましたが、実はエチオピアに帰国後もインターンシップ活動を続けようと考えています。とはいえ、物理的にもその場にいる必要がある仕事もあるため、一部、リモートインターンでは活動が制限される面もありますね。

JICA研修員の中で、インターンシップをしようと思っているメンバーに向けて、何かアドバイスをもらえますでしょうか?

ポートメッセでの展示会にて

私のアドバイスとしては、
 インターン先企業を探す際には、自分の研究分野と関連があるところを是非探してください。企業が何に取り組んでいるのかが理解できないと、業務をつまらなく感じてしまう方もいると思います。
 日本語能力の向上も是非努力してください。
 インターン先では、誰とでもコミュニケーションをとり、いろいろな活動に積極的に参加してみてください。
 例えば、会社で広く使われているソフトウェアを学ぶなど、担当分野のスキルや知識を向上させてください。
 会社側が、将来皆さんと働くことを検討できるように、皆さんの可能性を示し、是非何かに貢献してみてください。

※次回は、ビヤさんのインターンシップを受け入れてくださった株式会社丸八テント商会さんにお話を伺います。お楽しみに!