【授業実践紹介】「SDGs-私たちが生きる地球のためにできること」(広島市立二葉中学校)

2021年1月5日

広島市立二葉中学校 中山舞先生

広島市立二葉中学校で英語を教える中山舞先生は、2019年の夏、JICA中国の教師海外研修でラオスを訪問し、現地での知見を活かした授業を実践されました。
そして今年は、JICA地球ひろばが主催する「国際理解教育/開発教育指導者研修」に参加され、全国で継続的な授業実践に取り組まれている先生方との意見交換やディスカッションを重ねました。
その研修での学びを活かし、11月から同校の1年生を対象に、SDGsへの理解を深め、その実現に自分たちに何ができるかを考える授業を展開されました。

2020年12月9日(水)、この学習の第6時となる道徳の授業で、中山先生は3枚の写真を提示しました。

一人の力も結集すれば、世界はきっと変わっていく

グループでアイデアを出し合おう

教室に貼られたクラスの目標

「ココは日本のある場所です?どこだと思う?」

放置された冷蔵庫、古タイヤを運ぶ男性など、3枚の写真はいずれもゴミが散乱した風景です。考え込む生徒に、実はいずれも富士山の写真であることを告げた中山先生は、世界遺産に登録されている富士山は、ゴミや環境保全の問題で自然遺産への登録ができなかった経過を説明しました。

その後、道徳の教科書に載っている、登山家の野口健さんのエッセイを音読しました。
ゴミだらけのエベレストを目にしても最初はゴミ拾いに参加したくなかったこと、嫌々ゴミを拾う野口さんが目にした日本語表記のゴミの数々、そして登山メンバーから「日本人はエベレストをマウントフジにするのか」と言われた衝撃。生徒は教科書を読みながら、野口さんがゴミ拾いに積極的になれなかった理由や痛烈な言葉を浴びせられたときの気持ちを想像していきました。
その後、一人ひとりが意識を変え行動に移すことで世界が変わっていくと感じた野口さんは現在に至るまで、富士山の清掃活動を行っています。

そこまで読んだ生徒へ、中山先生はワークシートを配り、問いかけました。
「野口さんが国内の問題に気づき、行動に移したのと同じように、まずは私たちの日常にある様々な問題を意識してみよう」。
生徒は朝から晩までの自分の生活を思い返し、毎日の出来事がSDGsの目標とどのようにつながっているかを考えていきました。朝ごはんを残したこと、蛇口の水を出しっぱなしで歯を磨いたこと、ゴミを分別できないときがあるなど、日常の些細な出来事が世界課題とつながっていることが分かります。

さらに中山先生は「一人の力は小さいけれど、結集したら大きな力になる。これらの問題を解決するために、今すぐできるアイデアを出し合ってグループで決めよう」と生徒に提案しました。水の使い方を見つめ直す、食べ残しを出さない工夫、ペットボトルなど分別できるものは分別して捨てる、といった発表や、「授業中、うっかり居眠りしてしまうのはゴール4『質の高い教育をみんなに』の目標に合っていない。授業に集中するように頑張る!」といったユニークな意見も上がりました。
教室の後ろには、手書きの「よりよい毎日を過ごすための1-7の目標」ポスターが掲示されていました。男女仲良く差別をしないこと、人の嫌がることをしないこと、健康で笑顔の毎日を過ごすこと。
二葉中学校1年7組のみんなが考え、合意したクラスの目標は、いずれも国連が定めたSDGsの各ゴールに密接につながる内容でした。

世界を変える前に自分達の毎日を変えること、SDGs達成に最も大事なことを35名の生徒から教わった時間でした。