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- 法整備を通じて母国の発展へ ― カンボジア人留学生の挑戦 ― (リム・シーシー・メイメイさん・JICA長期研修員)
今回は、2024年10月に名古屋大学大学院法学研究科に入学したカンボジアの長期研修員、Lim Sysy Meymeyさん(以下メイメイさん)にお話しを伺いました。
メイメイさんは、JICAが実施する「法・司法分野の中核人材育成」の長期研修員として来日しました。
自己紹介をお願いします。
Lim Sysy Meymey(リム・シーシー・メイメイ)と申します。カンボジア出身です。「法・司法分野の中核人材」プログラムにより来日し、現在は名古屋大学大学院法学研究科に所属しています。
日本を留学先として選んだ経緯を教えてください。
私はカワイルカで有名なカンボジアのクラチエ州で生まれました。幼少期から、家族や周囲の人々から、「日本は電化製品や車などの分野で、高い技術力を持つ国である」だと聞いて育ち、日本に対して高い関心を持つようになりました。転機は大学時代、カンボジアの大学で言語選択の際に日本語を選んだことがきっかけです。在籍していた大学には、日本法教育研究センター(CJL)(注)が設置されており、1~2年生次には日本語や日本の歴史・文化について、3年次以降は日本語で日本の法律を学びました。同センターには日本人教員に加え、日本への留学経験を持つカンボジア人教員が在籍しており、日本が途上国に対して民法や民事訴訟関連の法整備支援をしていることを知りました。さらに3年次には名古屋大学への交換留学を経験し、法律分野での研究をさらに深めたいと考えるようになり、名古屋大学大学院への進学を決めました。
修士課程での研究内容を教えてください。
現在は、行政法分野におけるカンボジアと日本の比較研究に取り組んでいます。具体的には、カンボジアにおける土地紛争を題材に、行政法上の課題について研究しています。カンボジアには、日本の行政手続法に相当する一般法が存在しないため、日本の制度や理論を学ぶことで、自国の法制度の発展に資する研究を深めています。
日本での生活で印象的だったことを教えてください。
日本での生活でまず印象的だったのは、街の清潔さです。道路にほとんどゴミが落ちていないことに強い印象を受けました。一方で文化の違いに戸惑うこともありました。来日当初、チューターに挨拶をしても反応がなかったことに少し寂しさを感じたことがあります。カンボジアでは、一度会えば自然に挨拶を交わす関係になるからです。一方で、現在は日本での生活にも慣れ、忙しいときには私自身も同じように振る舞うことがあり、環境への適応を実感しています。
日本で生活する中で好きになったものはなんですか。
日本で好きになったものは数多くありますが、特に印象に残っているのは三重県でいただいた松阪牛のすき焼きです。そのおいしさは今でも忘れられません。また、日本の四季の中では冬が好きです。もともと寒い気候が好きで、カンボジアでは見ることができない雪を体験できたことは非常に新鮮でした。四季の変化と、それに寄り添った生活の楽しみは、日本における生活の大きな魅力だと感じています。
大学で共に学ぶ友人について教えてください。
大学院では、さまざまな国から来た学生と共に学んでいます。ウズベキスタン出身の友人とは、日頃から「研究はどうだったか」と情報交換を行い、お互いに良い刺激を受けています。モンゴル出身の友人はとても思いやりがあり、日々支えとなっています。来日当初はホームシックを感じることもありましたが、一人の時間を楽しむことや、母国の家族と電話で話したりすることで乗り越えてきました。今では安心して充実した学生生活を送っています。
日本語の勉強方法で工夫したことはなんですか。
特にスピーキング能力向上のために、日常的にさまざまな工夫をしています。友人との会話に加え、ドラマや音楽を使ったシャドーイングを継続しています。たとえば『九条の大罪』や『初恋』といった作品、そしてYOASOBIや宇多田ヒカルの楽曲を繰り返し視聴・聴取し、発音や表現を真似る練習をしています。楽しみながら学習を続けることで、自然と表現力が身についてきたと感じています。
最後に、帰国後のキャリア・人生目標を教えてください。
修士課程修了後は、博士課程に進学し、研究を継続したいと考えています。そして将来的には、カンボジア内務省において国家公務員として勤務し、自国の法制度の発展に貢献したいと考えています。具体的には、社会の変化に対応した法整備の推進と、地方公務員の能力強化に取り組むことを目標としています。
インタビュアー所感
カンボジアの国家公務員として、母国の法制度をより公平なものにしていくことが夢だと、 流ちょうな日本語でインタビューに答えてくださったメイメイさん。修士論文では、日本の行政法とカンボジアの民法の比較という高度な専門知識が求められるテーマに挑戦し、今後は名古屋大学大学院博士課程での研究継続を目指している点が印象的でした。また、言語や環境の壁を乗り越え、文化の違いに前向きに適応し、日本での生活を楽しむ姿に、強い意志と柔軟性を感じました。このようなメイメイさんの姿勢から、長期研修事業の意義とその成果を改めて実感する機会となりました。
(注)日本法教育研究センター(CJL)
名古屋大学大学院法学研究科が運営する海外拠点で、アジア各国に設置されています。日本語による日本法教育や法学教育支援を通じて、各国の法整備を担う人材育成や、法律分野における研究・交流の拠点として機能しています。
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