【出前講座レポート】ことばと文化の教育を通じたキルギスでの国際協力

2023.10.02

―比治山女子中学・高等学校―

キルギス共和国の文化や言語と協力隊経験

 2023年9月7日(木)、JICA海外協力隊としてキルギス共和国(以下、キルギス)で活動していた西條結人さんが比治山女子中学・高等学校を訪問し、高校1年生の生徒220名にキルギスの文化や言語、協力隊での経験、協力隊経験を通じた多文化共生について紹介しました。
 はじめは、キルギスの紹介です。現在キルギスで流行っている音楽のミュージックビデオを流し、キルギス語の歌や景色の綺麗な観光スポットの動画に夢中になっていた生徒のみなさん。その後、実際の日本語能力試験の問題やキルギス語の挨拶など、生徒のみなさんと楽しく対話をしながらキルギスのことを紹介。また、協力隊としてキルギスで日本語教師をされていた西條さんですが、最初は、言語や文化の違いにより、生活することも大変だったというお話がありました。その後は、「頼まれたことは基本断らない」、「朝一番に来て、夜は最後まで残る」、「書籍を読む」等、キルギスの人や文化に慣れる努力をしたというお話もあり、『情報は自分で取りに行く』ことが重要だということを強調されていました。

生徒のみなさんにキルギス語の挨挨拶を紹介する西條さん

協力隊経験から見えてきた多文化共生とキャリア

 協力隊生活において、西條さんは「(異)文化」を理解するため心掛けていたことを紹介してくださいました。その一つが、社会常識、マナー、エンターテインメント情報から配属先の歴史まで広く深く学ぶこと。目に見えやすい文化・目に見えにくい文化の両面から「(異)文化」を理解するよう心掛けていたそうです。そのため、自ら情報を取りに行き、実際にやってみていたという西條さん。その際に購入したキルギスの伝統的な帽子を見せながらお話してくださいました。西條さんの中で「ことば」、「文化」、「人との出会い」が、多文化共生とキャリアキーポイントとなっていく過程が垣間見えました。
 こうして2年間の協力隊生活を終え、西條さんは2つの価値観が変わったといいます。一つ目が「就職・仕事がすべてではない」ということ。就職も仕事も、人生を豊かにするための1つの方法・手段でしかなく、大学は「自分(らしい生き方)を創造する学び」の場であると気づいたといいます。
 二つ目は、「遠く離れた日本語学習者のために、一人の教師としてできることは何か」を考えることができたこと。様々な興味関心から日本語を学んでいたキルギスの学生たちに教える中で、「日本語教育でキルギスと日本をもっと近づけたい!」という思いが沸いたといいます。現在、西條さんは広島大学森戸国際高等教育学院の准教授として日本語教育学、社会言語学をご研究され、大学院進学を目指す留学生などを指導されています。キルギスでの協力隊経験から生まれた志が、西條さんの現在のキャリアにつながっていました。
 さいごに、「いろいろな分野で世界に新しい風を吹かせられるのはみなさんです!」とおっしゃった西條さん。「自分の知らない国があり、文化がある」ということを高校生のみなさんが知り、今後いろいろな分野で羽ばたいていかれることを願い、出前講座を終えました。

キルギスの伝統的な帽子を見せる西條さん

報告:地球環境部防災グループ防災第一チーム 政本 未織
   安全管理部安全対策第二課 澤田 ちひろ

関連リンク:
西條さんのご紹介(研究社ガイドブック(広島大学))
JICA国際協力出前講座

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ