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【実施報告】日本PTA全国研究大会での基調講演「世界で活躍する人材を育むために」

2023.10.02

日時:2023年8月25日(金)13時45分から16時50分 
場所:リーガロイヤルホテル広島 
主催:公益財団法人日本PTA全国協議会 中国ブロックPTA協議会 広島県PTA連合会

 8月25日、第71回を迎える日本PTA全国研究大会が広島県で行われました。特別第1分科会では、「世界で活躍する人材を育むために」をテーマに、JICA中国の村岡啓道所長が基調講演やパネルディスカッションに参加しました。
 基調講演で村岡所長は、国際協力に進んだきっかけやJICAでの経験から得た学びについて話しました。学生時代、沢木耕太郎の『深夜特急』をきっかけに海外への興味を持ち、さらに同人誌『旅行人』を読んで途上国の状況に衝撃を受けた村岡所長。大学生時代に1ヶ月半ネパールとインドネシアにバックパッカーをした経験が途上国への興味をさらに高め、国際協力の世界に飛び込んだといいます。このように小説や同人誌が知らない世界を知るための行動につながった村岡所長は、「心に刺さるきっかけ」さえあれば、子どもたち自ら行動するのではないかと大会に出席した教育関係者や保護者に訴えました。
 また、JICAでの学びについては、インドやインドネシアでの実際の苦労を基に、現地での信頼関係を築くコツや計画を実施するために必要なことを話しました。インドで森林保護に取り組んだ際には、薪を必要とする住民との対立があったといいます。そこで村岡所長は、住民の考えや現地の状況を知ることから始め、JICAインド事務所の現地スタッフや地方政府と信頼関係を築きました。このような現地での経験から、事業を実現するには、やる気のある仲間を見つけ、より広いコミュニケーションをとりながら実際にやってみることが大切だと話しました。
 会の後半では、JICA中国の村岡所長、AIC国際学院の横田総校長、日本PTA全国協議会の東川元会長の3人によるパネルディスカッションが実施されました。「世界で活躍するため、子どもたちに必要な力とは」というテーマで議論が進みました。村岡所長は、JICA青年海外協力隊の経験がある野球の堤尚彦監督の話を例に、人間力が必要だと話しました。また、他のパネリストからも、自分のルーツや目指しているものなどの価値観を語れることが必要だという意見がありました。海外で活躍するには、語学力だけでなく海外の人に伝えられる内容をもっていることが重要なようです。

講演を行う村岡所長

【講演を聞いての感想】「『心にささるきっかけ』を受け取る立場から与える立場へ」

 JICA中国でインターンシップをしている私は、今回の講演で、自分自身の国際協力へのきっかけは何だったのかと考えさせられました。村岡所長にとっての国際協力へのきっかけは『深夜特急』という小説だったようですが、私にとっての海外への興味のきっかけは『世界ナゼそこに?日本人』というテレビ番組や『マジックツリーハウス』という小説だったような気がします。海外に携わる仕事をされている方のお話を聞くときは、どうしても海外生活など国外での経験に注目しがちです。しかし、今回の講演を通じて、国外での経験につながるきっかけは、国内での小さなきっかけであるように思いました。
 私は、「国際協力という抽象的な概念を理解し、人に伝えられるようになりたい」という思いからJICA中国でのインターンシップに応募しました。インターンシップ前は、JICA海外協力隊に行く人たちは自分には想像できない特別なきっかけがあり、一般の人が国際協力への関心をもつのは難しいのではないかと思っていました。しかし、今回の講演やJICAで働く方のお話を聞く中で、その認識は少し違うように感じました。確かにJICAで働かれている方は、青年海外協力隊などの「特別な経験」があると思います。けれども、その経験への一歩を踏み出したきっかけは、学校での交流や人から聞いた体験談、そして本や雑誌などの「小さなきっかけの積み重ね」です。私も、その小さくとも大きなきっかけになれるようなコンテンツを生み出し、自分には関係ないと思われがちな国際協力のイメージを少しずつ変えていきたいです。

報告:JICA中国インターン生 叡啓大学 福高七海

関連リンク:JICA海外協力隊 堤尚彦監督のストーリー

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