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広島での2年間で学んだこと—ベトナムからの長期研修員Khoaさんにインタビュー—

2026.10.02

皆さんこんにちは。JICA中国センターインターンの國府です。インターンシップの一環として、ホーチミン市都市鉄道管理局(MAUR)計画契約課専門家のKhoaさんにインタビューをしました。
Khoaさんは広島大学大学院先進理工系科学研究科で2年間学び、修士課程を修了して、もうすぐベトナムへ帰国されます。広島での留学生活や研究を通じて学んだこと、そしてその経験を帰国後どのように生かしていきたいのか、お話を伺いました。ぜひご覧ください。

【1.広島大学への留学を決意した動機は何ですか?】

日本はホーチミン市と長年にわたり協力関係を築いており、都市鉄道開発でも、JICAによる円借款事業「ホーチミン市都市鉄道建設事業(ベンタイン-スオイティエン間(1号線))」をはじめ、さまざまな連携があります。
また、広島大学は、日本でも高い評価を受けており、私が所属するホーチミン市都市鉄道管理局MAURの先輩方も広島大学に留学しています。帰国後に副局長やリーダーとして、市の都市鉄道開発に貢献している方もいます。
入学前に研究テーマを発表した際、教授陣から学科の研究分野に合致していると評価していただき、留学に至りました。
参考リンク: ベトナム初の地下鉄 ホーチミン市における都市鉄道1号線開業

【2.広島での生活と留学生活で最も印象に残っていることは何ですか?】

学業では、研究データの方向性を見つけるのに苦労した時期もありましたが、教授が私の提案した研究の方向性に賛同し、励ましてくださったことが大きな支えになりました。
学業以外では、広島の歴史や文化、平和について多くを学びました。特に印象に残っているのは、「Hiroshima PEACE IGNITER Program」で宮島の大聖院を訪れた1泊2日のプログラムです。平和について学ぶ中で、広島は世界に平和のメッセージを発信する特別な場所であることを理解しました。
参考リンク: 被爆80年 一人ひとりが平和の灯になるべく 「Hiroshima PEACE IGNITER Program」 に参加しました

【3.日本(広島)での研究と専門知識の習得に関して、ベトナムの状況と比較してどのような違いに気づきましたか?また、どのような点が応用可能だと感じましたか?】

広島大学での私の研究は、ホーチミン市の地下鉄1号線を事例に、都市環境が地下鉄利用者に与える影響について研究しました。日本では、研究が徹底した定量的手法と長期的なデータ蓄積に基づいていることに気づきました。地下鉄システムが非常に新しいベトナムでは、この点はまだ発展途上です。さらに、日本の駅周辺のインフラ整備を直接観察しましたが、ホーチミン市が交通指向型開発(TOD)へと移行する中で、学ぶべき点が多くありました。

【4.日本での留学や研究中に、何か困難に直面しましたか?もしそうであれば、どのように克服しましたか?】

広島大学の研究環境は非常に独立性が高く、自分自身で研究の方向性を見つける必要がありました。教授から研究の課題を指摘されたり、データ分析に行き詰まったりすることもありました。
生活面でも日本での暮らしに適応する必要がありましたが、教授や友人に支えられました。困難を乗り越えるからこそ、経験に意味が生まれると自分に言い聞かせながら乗り越えました。

【5.広島で出会った人々から何か学んだことはありますか?】

教授からは批判的に考える力と、迅速かつ効率的に研究を進める方法を学びました。研究室の仲間からは、組織的に仕事を進める姿勢を学びました。
また、友人やベトナム人コミュニティからは、忍耐と助け合いの大切さを学びました。そして広島の方々は、言葉の壁があっても、いつも親切に接して助けてくださいました。

【6.都市計画と公共交通システムに関して、ベトナムと日本はどのような点で互いに学び合えると思いますか?】

ベトナムは、日本が長年培ってきた交通指向型開発(TOD)の経験や、都市計画と鉄道開発を連携させる仕組みから多くを学ぶことができます。
一方、日本にとっても、ほぼゼロから地下鉄システムを構築しているベトナムの経験は、都市化の段階や交通習慣、土地利用の違いに応じたTODのあり方を考える上で参考になると思います。両国が経験を共有し、互いに学ぶことが重要だと考えています。

【7.ホーチミン市の都市鉄道システムの将来の発展にとって何が重要だと考えますか?】

私の地下鉄1号線の乗客数に関する研究からも、駅を建設するだけでなく、その周辺の都市環境を一体的に整備することが重要だと考えています。
今後、ホーチミン市が都市鉄道網を拡大していく中で、TODの考え方を体系的に取り入れ、それぞれの駅や地域の特性に合わせた整備を進めていくことが重要だと思います。

【8.広島大学での経験をどのように現在の仕事に活かしていく予定ですか?】

TODや乗客数のデータ分析に関する専門知識をMAURでの業務に生かし、ホーチミン市の都市鉄道開発に貢献したいです。
また、将来の協力プロジェクトで日本のパートナーと直接コミュニケーションが取れるよう、日本語能力もさらに向上させたいと思っています。日本での2年間で身につけた国際的な業務スキルや研究姿勢も、今後の仕事に生かしていきたいです。

【9.将来、日本とベトナムの架け橋として、どのようなプロジェクトに関わりたいですか?あるいは、どのような夢を実現したいですか?】

将来は、日本とホーチミン市による都市鉄道やTODに関する協力プロジェクトに携わり、日本で得た知識や経験をベトナムの状況に合わせて生かしていきたいです。
また、ベトナム文化を日本に紹介するなど、専門分野での協力だけでなく、両国の相互理解を深める架け橋にもなりたいと思っています。

【10.日本の大学への留学を目指す学生に、何かアドバイスやメッセージをお願いします!】

留学生活は、決して順風満帆なことばかりではありません。研究の難しさやホームシック、慣れない環境での苦労もあります。
でも、完璧な留学生活ではなく、「思い出に残る経験」に期待してほしいと思います。研究に悩み、新しい環境に適応し、時には故郷を恋しく思う。そうした困難を経験するからこそ、人は大きく成長できます。
振り返ると、初めて日本に来た日の緊張していた自分から、どれだけ成長できたかを誇りに思います。時には、美しい経験よりも、心に残る経験の方が大切なのだと思います。

【インタビューをしてみての感想】
( 田坂)
今回のインタビューを通して、日本で培われた技術や知識が、実際のホーチミン市の発展に繋がっているということを知り、強く印象に残っています。特に、学んだ知識をそのまま持ち帰るのではなく、日本とホーチミン市の違いを考え、交通事情などに合わせて活かそうとしている姿から、国際協力では一方的に技術を伝えるのではなく、お互いの経験から学びあうことが大切なのだと改めて感じました。また、広島大学での研究や日本での生活での経験が、これからの日本とベトナムの協力にもつながっていることを知り、留学が人と人、そして国と国を繋ぐきっかけにもなるのだと感じました。貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
( 國府)
日本での生活から広島大学大学院で学んだことまで、留学されていた2年間について幅広く伺うことができました。すでにMAURで働かれている経験があり、その経験があるからこそ大学院での研究も実践的なものになったのだと分かりました。また、上司の方の中にも広島大学で学ばれた方がいらっしゃると聞き、長期研修のプログラムが長いスパンでベトナムの鉄道の発展に寄与しているのだと感じました。特に心に残ったのは、「将来研究者を目指す皆さんには、完璧な経験を期待しないでほしいと思います。思い出に残る経験を期待してください。」というメッセージです。日本に来てからの生活は常に順風満帆だったとは言えなかったとおっしゃっていましたが、困難をひとつずつ乗り越えながら、研究や海外での生活に真摯に向き合ってきたことがひしひしと伝わってきました。私自身もKhoaさんのように諦めず粘り強く目標に向かって頑張りたいと思いました。ありがとうございました。

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