授業実践紹介vol.10「手洗いを通して世界とつながろう!」(東京都東久留米市立第三小学校)

2023.01.26

JICA地球ひろばが主催する「2022年度 国際理解教育/開発教育指導者研修」に参加された東久留米市立第三小学校の養護教諭である片倉みなみ先生は、研修での学びを道徳・総合の授業に取り入れ、展開しています。

今回は片倉先生ご自身がJICA海外協力隊時代に派遣されていたマダガスカルの事例を使って「手洗いを通して世界とつながる」をテーマに展開した授業をご紹介します。
さあ、小学校5年生の教室をのぞいてみましょう。

日本とマダガスカルの手洗いの共通点・相違点はなんだろう?

「マダガスカルで流行っている手洗いソング『sasao ny tananao(ササオニタナナオ)』を聴いてみましょう!」
この歌は、JICAボランティアが現地の人気歌手と協力して作りました。

子どもたちは歌を聴きながら(1)何を使って手を洗っているのか、(2)手を洗うタイミングは自分たちと同じかどうか、(3)手の洗い方は自分たちと同じかどうか等、いくつかのポイントをワークシートに記入していきます。

「石鹸や水を使って手を洗っている!」
「ご飯の前やトイレの後に手を洗うのがおなじ!」
「マダガスカルでは洗った手を風で乾かすって言ってたけど、日本は違う!」
「石鹸がないときは、代わりに灰で手を洗っていた!」
教室には活発な意見が飛び交いました。

片倉先生は手洗いソングからマダガスカルの水や物の不足についても取り上げ、ペットボトルの水を使ったり、石鹸の代わりに灰を使ったりする理由についても伝えました。使える水や物が限られている中で、手洗いソングを普及させているマダガスカルのことを知り、手洗いが世界共通の病気予防の方法であることにも気づいたようです。

マダガスカルの手洗いソングを見る子どもたち

真剣にワークシートに記入

子どもたちのワークシート

同じ人間だから!

手洗いソングの次は、マダガスカルの子どもたちに手洗いを教えるときに使っていた紙芝居『Vahiny tsy iraina(招かざる客)』を紹介しました。手洗いをしないとウイルスが体に入り、具合が悪くなるというお話です。

「紙芝居をみてどんな感想を持ちましたか? 日本とマダガスカルの手洗いは同じだと思いますか?」という問いかけに、「ほとんど一緒。日本人もマダガスカルの人も同じ人間だから!」と声が上がりました。

子どもたちにとって距離的にも心理的にも遠いマダガスカル。
今回の授業を通じて日本と世界の共通点を知ることで、世界のどこかの課題も自分たちが抱える課題と似ていることや関係していることを学んだのではないでしょうか。

紙芝居をみる子どもたち

学校での取り組み

片倉先生は保健委員会の生徒たちと「保健委員会の活動×SDGs」というSDGsに関する取り組みを行っています。

具体的には、SDGsの健康、福祉や環境に関するゴールについて、「自分たちの生活の中でできることは何か?」など問いかける掲示物を作成しています。

片倉先生は「JICAの研修では、国際理解教育/開発教育の授業実践の方法について学ぶことができた。また、ほかの先生がたの取り組みからも学びが多かった。授業だけではなく、保健室からも学校全体にSDGsを普及させていけたらうれしい。まずは私から始めていきたい」と語ります。

片倉先生と保健委員会の児童によるSDGsに関する取り組み1

片倉先生と保健委員会の児童によるSDGsに関する取り組み2

子どもたちの関心を高めるために~片倉先生の工夫~

東久留米市立第三小学校には、バングラデシュ、スリランカ、ブラジル、ネパール、フィリピンなど外国につながる児童が学年に1人は必ずいるそうです。

外国につながる子どもとそうでない子どもが共に学び生活をする中で、互いの違いや共通点を知り、世界とのつながりに気づくことが大切です。片倉先生は、自身の途上国での経験を授業に生かすことで、子どもたちの想像力を引き出す工夫をしていました。
片倉先生のさまざまな工夫が、子どもたちの世界への関心を引き寄せ、地球規模の課題やSDGsに対する取り組みをジブンゴト化することにつながっているように感じました。

(報告:地球ひろば推進課 笹川千晶)

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