障がい者の支援に取り組んだ小林義文さん(協力隊経験者)の40年にわたる取り組みが世界で評価

2023.07.21

福井県の青年海外協力隊経験者である小林義文さんが協力隊員として活動をしたマレーシアをはじめとするアジアや中東諸国の障がい者支援に携わり続けたことが評価され、世界理学療法連盟学会の「リーダーシップ・イン・リハビリテーション賞」を受賞されました。
この賞を日本人が受賞するのは初めてということで、小林さんの地元福井県でも新聞等で大きく取り上げられました。
地元では長く難病を患う方々の支援を行ってきたそうで、その活動で知り合った方々にとっては、今回の受賞のニュースで、国際的な活動もしていたことをはじめて知った人も多いのではないかと話してくださいました。

6月3日にアラブ首長国連邦のドバイ世界貿易センターで授賞式が行われました

すべての始まりは協力隊

小林さんが青年海外協力隊に参加したのは1984年。マレーシアで理学療法士として2年間活動されました。
それまではあまり世界に目を向けることもなく過ごしていたそうですが、新卒で配属された職場で、タイのスラム街を支援している人の話を聞く機会があり、そのスライドの中に障害を持った子どもがいたことから、「タイにも障害で困っている人がいる」と驚き、そのことをきっかけに世界に目を向けるようになったそうです。
大学卒業後、新潟で仕事をしていた小林さんは、農家の息子として、いずれは地元に戻ると思いながら、実家に戻る前にやりたいことをやろうと応募したのが青年海外協力隊だったと話してくださいました。
マレーシアでの配属先はサバ州にある民間の重度障がい者療護施設だったそうですが、その施設での活動にとどまらず、公立の重度障害児リハビリテーションセンターや、週末には早期療育センターなどでも活動をしていたそうです。協力隊を終えてからも当時の入所者やスタッフとの交流は続き、40年近くが経った今でも1~2年に一度は現地を訪れ、支援を続けているといいます。

帰国後は、病院勤務の傍ら、夫婦二人三脚でアジアや中東の国々を対象とした研修員受入事業で、地域に根差したリハビリテーション(Community based Rehabilitation 以後CBR)の推進に取り組まれました。中東を対象とした研修コースでは、障がい者福祉を担当する国や地方の行政官だけでなく、地域住民代表や障害を持つ子の親の会の職員なども研修員として受入れ、それまで交わることのなかった関係者をつなげ、ネットワークを構築することにつながったことが成果の一つとして記録に残っています。その他にも所属する理学療法士協会の国際部の窓口としてインドネシアの支援にも携わったそうです。

研修のフォローアップで訪れたエジプトでは社会福祉連帯省で面談も。

これからもつながりは続く!

小林さんは地元とご自身が関わってきた海外の国々を区別したことはないと言い切ります。地元で取り組んできたことが海外の取組にも役立ち、海外の方を受入れたことでそれに関わってくれた地元の方の世界を広げる事にもつながった。そうやって出会ってきた様々な人とのつながりを大切にして結びつけながら、紡がれたものの一つがたまたま国際協力という形をしていたと話してくださったことが印象的でした。

現在は福井県医療福祉専門学校で留学生に日本語を教えながら、これまでのキャリアを活かし介護福祉コースでも後進の指導にあたっています。外国人材の方々と関わることで自分の視野を広く保つことができ、自身のこれまでの経験を活かすことができる今の仕事を「天職」とおっしゃっていました。
「使えるものは何でも使ってきた自分だから、是非自分を使ってほしい。」
受賞のニュースを機に小林さんのもとには様々な方から連絡が入っているそうで、草の根の活動はまだまだその根を張り続けていくようです!

エジプトの研修員たちと再会した時の様子

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