ベトナム現地レポート 母子の未来を支えるセミナー

2023.12.13

ベトナム戦争時に散布された枯葉剤の影響により、濃厚汚染地区では今なお母乳からダイオキシンが検出され、低体重出生児の割合が高くなっています。JICAは城戸照彦客員教授をプロジェクトマネージャーとする金沢大学とともに、現地の地域医療スタッフの育成を通じて、低体重児の発育改善を支援する草の根技術協力プロジェクトを行っています。
このプロジェクトでは、ベトナムのフーカット県において、ダイオキシンの影響をふまえた母子保健活動が自立的かつ継続的に実施されることを目標としています。2023年10月17日~19日にフーカット医療センターで行われた研修について、JICAベトナム事務所の担当者から紹介します。

医療スタッフの知識向上と地域貢献

ベトナムのビンディン省フーカット県内全18コミューン(注:コミューン=村の下級単位にあたる行政区画)の助産師と健康推進員(ヘルススタッフ)を対象に、母乳中のダイオキシン分析、出産後の母子のケア、母乳や離乳食の与え方、帝王切開とその後のケア等に関する研修が実施され、計177人が参加しました。これらの研修内容は、実施団体が行った各コミューンへの家庭訪問を通して、助産師や健康推進員が知識を深め、コミューンに広げるべきだと考えた項目です。実施団体に加え、現地協力機関が講義を担当しました。今後、研修に参加した助産師と健康推進員は、研修で得た知識を各コミューンの母親に伝達していくことになります。

研修に参加した地域医療スタッフ 

講義の様子

JICAベトナム事務所の担当者より

(左から)JICAベトナム事務所のLinhさん、伴場さん、Thuyさん

JICAベトナム事務所市民参加協力班に着任した伴場と申します。ビンディン省フーカット県の研修に同席しました。
ベトナムの地方では、健康推進員と呼ばれる方々が地域住民に対して健康維持・改善に関する知識を広げるのに重要な役割を担っています。
今回の研修では、フーカット県の様々なコミューンから助産師と健康推進員が参加し、研修中には積極的に意見を述べるほか、休憩中も他のコミューンの方と意欲的に交流する様子が見られました。

案件情報

■JICA草の根技術協力事業(パートナー型)
「ベトナム国・枯葉剤/ダイオキシン濃厚汚染地区における低体重児の発育改善プロジェクト」(金沢大学)
案件概要表

■プロジェクトマネージャーへのインタビュー
国立大学法人金沢大学 城戸照彦客員教授
向き合い続けること | 「人」明日へのストーリー | JICA北陸 - JICA

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