【福井県】世界とつながる宇宙技術
2025.10.20
2025年9月16日(火)~9月18日(木)、JICAは主に宇宙分野を学んでいる留学生を対象に、福井でリトリートを開催しました。日本の大学院で宇宙分野の研究に取り組んでいるアジアなどの行政官8名が参加し、福井県工業技術センター、福井工業大学あわら宇宙センター、セーレン株式会社などを訪問しました。これら機関における宇宙開発の現場を視察するとともに、宇宙工学の有識者や民間エンジニアとの意見交換を行いましたので、その様子をご報告します!
福井工業大学の宇宙研究施設を視察する行政官
近年、宇宙産業をめぐる国際競争が激化する中で、日本が宇宙空間利用に関する研究や実用化を進めるためには、世界各国政府との連携強化が不可欠です。JICAは2014年にJAXAと連携協定を結んで以来、JICA宇宙分野協力方針 の下、開発途上国の宇宙分野の人材育成と共創を通じたネットワーク構築を目的として、「宇宙国際頭脳循環プログラム」を実施しています。これは、宇宙行政、衛星開発や衛星データ利活用を担う中核人材を育成するプログラムで、現在5ヶ国の政府機関で宇宙産業に従事する中核人材8名が、日本の大学院修士・博士課程に在籍しています。各国と日本の宇宙関連機関のネットワーク強化に向けて、日本の当該施設への訪問や交流会も開催しています。
2015年、福井県と県内の教育・研究機関、企業の連携により、福井県の宇宙産業開発の歩みが始まりました。その後2021年には、福井県で製造された超小型人工衛星「すいせん」が宇宙へと打ち上がりました。現在、「すいせん」が撮影した衛星画像は、福井県内における農作物の収穫時期の予測、湖の水草繁茂のモニタリング、大雨被害の把握など、県内のさまざまな分野で活用され、日々の暮らしを支えています。(参考:県民衛星「すいせん」について | 福井県ホームページ)
今回の研修では、このような福井県の宇宙開発の取り組みを学ぶため、福井県の「すいせん」開発の歴史と県内での衛星データの利活用や、セーレン株式会社による人工衛星開発の取り組みに関する講義を受けたり、福井県工業技術センターの施設や、衛星電波を受信するために回転する福井工業大学あわら宇宙センターの巨大なパラボラアンテナを観察したりしました。
福井工業大学が取り組む宇宙研究について講義を聞く行政官(講師:福井工業大学・村田教授)
セーレン株式会社による人工衛星開発について説明を聞く行政官(講師:セーレン株式会社・横溝氏)
参加した行政官からは、「大学にこのようなパラボラアンテナがあることに驚いた」、「宇宙産業に関わる県内の技術者が一体となって、各機関の人材・施設を有効活用した宇宙開発が行われている点に関心を持った」などの感想がありました。今回の研修で得られた福井県と各国の行政官とのネットワークにより、福井県の宇宙産業の更なる発展に繋がることが期待されます。
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