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「伝える力が、世界とつながる力になる」 JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト2024優秀賞受賞者インタビュー

2025.12.01

JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテストは、今年度で64回目を迎え、その長い歴史に幕を下ろします。

このコンテストは、国際協力や世界が抱える課題に関心を寄せる中高生が、自分自身の言葉で想いを綴る機会として、これまで多くの声を届けてきました。最後の年を迎えるにあたり、このコンテストに寄せられた数多くの作品の中から、ひとつをご紹介します。

昨年度、北陸地域から高校生の部で優秀賞を受賞したのは、金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校2年(受賞当時1年)の中村嶺治さん。今年度、副賞としてインドネシア研修に参加した彼の言葉からは、「未来は自分たちの手でつくっていくんだ」という力強い思いが伝わってきました。中村さんがエッセイに込めた想い、研修でどのような世界を見てきたのか、お話を伺いました。


金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校2年(受賞当時1年)

中村 嶺治 さん

「何かにチャレンジしたい!」から始まった一歩

「夏休みの終わり、何かにチャレンジしてみたいとインターネットでいろいろ調べていた時、最初に目に入ってきたのがJICAのエッセイコンテストでした。」その何気ない思いつきが、人生の大きな転機に。歴史あるコンテストの存在を知り、「挑戦してみようかな」という気持ちから応募を決意。ご自身の関心と想いを綴った結果、優秀賞という輝かしい結果を手にしました。

きっかけは”海岸に転がっていたペットボトル”

受賞したエッセイのタイトルは『未来の海を守るために』。
中学2年生の夏、家族で訪れた海岸がプラスチックごみであふれていた光景に目を疑ったことがすべての始まりでした。以来、バイオプラスチックの分解実験をコツコツと継続し、金沢大学の設備も活用しながら、自宅と大学を行き来して分析を進めています。授業で耳にした「2050年には海のプラスチックごみが魚の量を上回る」という衝撃的な予測が、彼の行動をさらに後押ししました。

研究の先にあった出会いと広がり

研究を支えてくれたのは、学校の先生やお母さんの知人の先生でした。さらに、企業に自ら連絡し、試料提供を受けて、実験に活かすという行動力も光ります。「僕のデータが“貴重だからほしい”と言ってもらえたので、企業に送りました」と嬉しそうに話す中村さん。年齢を感じさせない積極性と探究心に、聞いているこちらまでワクワクします。
また、昨年2週間の語学留学で訪れたイギリスでは、現地のゴミ事情にも着目。「なぜ分別ルールが日本と違うのか」など、自ら観察・聞き取りを重ねて比較し、学びを深めてきました。

インドネシアで見た”国境を越えた信頼”

このコンテストの副賞として、全国の受賞者13人とともに訪れたインドネシア。MRT(鉄道:“オールジャパン”が都市交通を変える インドネシア )の工事現場で目にしたのは、日本人と現地の方が汗を流しながら笑顔で協力し合う姿でした。オランダ植民地時代の軍人墓地を改修して作られたカリバタ英雄墓地では、かつて独立戦争に協力した日本人の存在を知り、「国境を超えて信頼を生み、未来をつなぐ」という国際協力の本質を実感したそうです。
中村さんは、 “違いを知ることは、自分の世界を広げること” だと語ります。インドネシア研修を通して宗教や文化の背景が異なる人たちと笑い合い、時には違う考え方に触れることで、「立場の違う人の声を聞き、受けとめることが国際協力の原点なのかもしれないと感じた」と話してくれました。

現地の小学生と環境について一緒に考える中村さん(右)

言葉がなくても通じ合える瞬間!

インドネシアの家庭であたたかいおもてなしの心に触れるひととき(中村さん:左から5番目)

未来へのバトンをつなぐのは、私たち

一つのきっかけや出会いが、自分の思い描く未来にそっと光をともすことがあります。
「正直、これまでは海外にあまり興味がなかったけれど、この経験が大きな転機になりました」と話す中村さん。同じ受賞者の中には、アメリカの大学を目指す人や研究者を志す人もいて、『自分も負けていられない!』と刺激を受けたといいます。
「今回の出会いが未来への架け橋になると信じて、次は私たちが動き出す番です。」
中村さんは自分の言葉でしっかりと伝えてくれました。また、将来は医師の道を志しながら、「環境と医療、両方の視点から世界に貢献できたら」と語る姿には、国際協力の未来を担う一人としての頼もしさも感じられました。

JICA北陸は、これからも中村さんの活躍を応援していきたいと思います!

ワークショップでの一場面。語る眼差しは、すでに世界を見つめています。

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