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福井県の観光スポットといえば、福井県立恐竜博物館、東尋坊、永平寺が有名ですが、それ以外の福井県の観光スポットには、どういった場所があるでしょうか?福井県のキャッチフレーズ、“地味にすごい福井”の観光分野を取り上げた研修についてご紹介します。
研修は、8月に東ティモールを対象に実施しました。観光振興政策に関わる中央政府や地方の行政官に加え、観光分野のNGOの職員、合計9名が参加しました。

地域の資源を地域の課題解決に!

福井県では県の北部、南部を指し示す言葉として、嶺北(れいほく)、嶺南(れいなん)という言葉を使います。嶺南地域は、自治体でいうと敦賀市、小浜市、美浜町、高浜町、おおい町、若狭町を含む地域を指します。今回の研修ではこの嶺南の自治体のうち敦賀市・小浜市・若狭町で、地元の資源を生かした観光振興の取り組みを学びました。

地域にある農業資源、水産資源、歴史文化資源などを地域の方々がどのように地域振興、観光振興に役立てているのか、現地を訪問し、関係者と意見交換することで東ティモールの観光振興に役立つヒントを見つけることを目指しました。

数々のプログラムの中でも、この研修の目玉は、小浜市の田烏(たがらす)地区でのプログラムでした。小浜市といえば、米国のオバマ元大統領にあやかって知名度を上げたことを覚えている方もいらっしゃると思います。ですが、田烏地区と聞いてもすぐにピンとくる方はかなり少ないと思います。

田烏集落には、百人一首の舞台にもなった棚田があり、棚田からは素晴らしい眺望が望めます。
しかし、地方の小さな集落ですので、少子高齢化の影響は色濃く、小学校や保育園は閉まり、活気を失いつつありました。そんな集落に活力を取り戻したいという思いから、住民有志が「たがらす我袖倶楽部」を立ち上げ、様々な活動を行っています。

美しい棚田からの眺望!

研修員の皆さんが目を輝かせた取り組みの一つは、この地に受け継がれている保存食で、福井県の有名な伝統食材であるサバのへしこを使った「なれずし」の継承活動です。廃校施設を活用し製造・販売も行うことで、活動費を捻出することにもつながっています。この活動を知った研修員は、東ティモールでは魚の保存といえば“干す“ことしか行われておらず、発酵保存という方法は考えもしなかったと話していました。その作り方、使う道具など細部にまで関心を示し、熱心にメモを取っていました。

棚田の水源の管理について話を聞く研修員

なれずしづくりに興味津々!

また、海に面した美しい棚田にキャンドルを並べライトアップする“棚田キャンドル”というイベントにも研修員は関心を示していました。当初、地域に活力を取り戻す活動の一つだった取り組みは、試行錯誤を繰り返し、現在では市外からもたくさんの方々が訪れる人気イベントとなっています。
棚田では、キャンドルのイベントの詳細に加え、水源の管理、草刈、芝桜の植え付けなど、住民みんなで取り組む棚田の管理についても話を伺いました。実際に水源や棚田に足を運び、棚田に水を張るためのバルブを開けてみてもらったり、草刈り機を使わせてもらったりもしました。
また、研修員は海岸清掃活動にも参加し、強い日差しの中、住民の方々にまじって海岸のごみ拾いを行い、日ごろの活動の一端を体験させてもらいました。

こうして住民の皆さんと交流を深めながら、地域に昔からあるものを資源として生かした活動に理解を深め、最後は研修員、田烏の皆さんそれぞれがお互いの地域の課題について考え、解決策のアイデアをまとめるワークショップを行いました。
研修員はプログラムを通して学んだことを踏まえて田烏が抱える課題について考え、田烏の住民の皆さんは研修員の発表などを通して知った東ティモールの課題について考え、最後には自分たちの経験や知識を活用してお互いの課題解決のためのアイデアを発表しあいました。

研修員にとって、田烏への訪問は、課題解決のヒントを得ただけでなく、アイデアやヒントをどのように実践に移すか、その過程やコツについても身をもって学ぶ機会になったと思います。今回の研修での経験が刺激となり、東ティモールと田烏双方の活動がさらに活発になり、それぞれの観光振興に繋がることを願っています。

田烏の皆さんとはとても密度の濃い時間を過ごしました

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