【石川県】能登を訪ねて—復興の現場とJICAの関わり
2026.07.07
今年もJICAの新人職員4名が、JICA北陸で研修(国内OJT)を行いました。
国内OJTは、新人職員が、国内の多様な国際協力パートナーの存在と、地域と途上国の結節点としての国内機関の役割について理解を深めるために実施している研修です。
2026年6月19日、その一環として能登を訪問しましたので、新人職員の眼から能登での学びについて報告します。
「JICAと能登の関わり」と聞いて、すぐには思い浮かばない方もいるかもしれません。
しかし実際には、北陸地域の大学院に在籍するJICA長期研修員が復興や防災について学ぶ地域理解プログラムや、途上国の行政官が能登の里海の知見を学ぶ青年研修「水産ブルーエコノミー」などを通じて、さまざまな協力を行っています。
今回は、能登で活動している方々を訪ね、地域の復興に向けた取り組みや、JICAとのつながりについて伺いました。
まず訪問したのは、のと里山空港に隣接した一般社団法人能登官民連携復興センター(通称:のとれんぷく)です。
のとれんぷくには、JICA北陸の国際協力推進員として、寄さんが配置されています。
のとれんぷくのオフィスが入る「NOTOMORI」は、被災した能登各地の飲食店やカフェ、コワーキングスペースが集まる、人々の交流拠点です。
NOTOMORIに入る地域の飲食店
のと里山空港周辺には、復興に携わる関係者のための宿泊施設や住居が整備されています。コンパクトながら機能的な造りとなっており、ほとんどが満室の状態だそうです。一方で、観光客向けの宿泊施設の数は未だ限定的であり、復興が今なお続いていることを実感しました。
空港横に建てられた仮設宿泊所
また、のと里山空港内の奥能登行政センターでは、石川県創造的復興プランの策定に関わった方からお話を伺いました。施設内には震災当時の被害が残る箇所もあり、その爪痕を感じました。
震災の爪痕が残るのと里山空港の内壁
お話の中で印象的だったのは、「能登らしさ」を大切にした復興を進めているという点です。震災以前の観光政策も踏まえながら、地域の個性を活かした復興を目指しているとのことでした。また、能登にはこれまで外部支援と地域をつなぐ中間支援組織が十分ではなかったことから、その橋渡し役を担う団体として、のとれんぷくが設立されたことについても学びました。
続いて、社会福祉法人佛子園と青年海外協力協会(JOCA)が共同運営するコミセンマリンタウンBASEを訪問しました。JOCAは、協力隊経験者のネットワークを活かし、被災者の見回り支援などの活動を展開しています。
施設内には銭湯が併設されているほか、地元食材を使った加工品も販売されており、多くの人が集う温かな交流拠点となっていました。
コミュニティセンターの食堂にていただいた昼食
最後に、サモアで青年海外協力隊として活動され、現在は石川県立能登高等学校で教鞭をとる山崎航先生(2016年3次隊、小学校教育)にお話を伺いました。
サモアでの経験を振り返りながら、日本の教育現場との違いや、そこで得た学びがどのように現在に活かされているのかを語ってくださいました。特に印象的だったのは、サモアの子どもたちに比べ、能登の子どもたちは自己主張が控えめであるという気づきです。地域の魅力やアイデンティティを大切にしながら、子どもたちの自己肯定感を育みたいという思いが伝わってきました。
海外での経験が、地域の教育に新たな視点をもたらしていることを実感しました。
道中では、白米千枚田や奥能登塩田村など能登の海岸線も見学しました。美しい里山里海の風景や豊かな自然資源に触れる一方で、地震によって隆起した地形や損傷したインフラなど、震災の影響も目の当たりにしました。
今回の訪問を通じて、能登の復興には国内外のさまざまな主体が関わっており、その中でJICAも地域の一員としての役割を担っていることを実感しました。復興はまだ道半ばではありますが、今回得た学びを今後の活動に生かし、今後もできることを考え続けていきたいと思います。
田植え後の緑が映える白米千枚田
土砂崩れで埋もれた国道249号