ラオスのお母さんと赤ちゃんの健康を守るために 琉球大学の挑戦

2023.08.25

 琉球大学はJICAから草の根技術協力事業を受託し「貧困僻地郡における女性のエンパワーメントによる母子保健強化プロジェクト」をラオス国サワンナケート県セポン郡で実施しています。

 同地域では、出産時等における母子の死亡率が依然高い状態にあります。この状況を改善するため、本プロジェクトでは、男女ペアの「村落保健ボランティア」が、巡回活動し、母子を取り巻く環境の改善に取り組みます。
 ラオスでは一般的に女性が村落保健ボランティアになることが多いですが、セポン郡では、女性が十分な教育を受けられない環境があることから、ほとんどの村落保健ボランティアが男性です。しかし、文化的に男性が妊産婦に直接話しを聞いたりすることは難しく、これまで母子に対してボランティアが効果的に関わることは困難でした。

 本プロジェクトでは、女性の村落保健ボランティアを育成し、既存の男性ボランティアと男女ペアを作ることで、妊産婦との対話がしやすくなり、支援を強化できると考えています。また、男性村落保健ボランティアに対しては、妊産婦と生活する夫や家族達へ母子に対する理解を深める指導法を教え、世帯でのサポート体制を強化する役割を担ってもらう予定です。

 8月18日には、サワンナケート県セポン郡でプロジェクトのオープニングセレモニーを実施しました。午前に行われたオープニングセレモニーには、サワンナケート県副知事、サワンナケート県保健局長、小林賢一駐ラオス日本国大使に参加していただいた他、JICAラオス事務所所長も参加しました。

 カウンターパートであるサワンナケート県保健局のセンダオ・シダレイ局長は、次のようにプロジェクトへの期待を述べました。「多くの女性が妊娠したときに定期検診を受けていない。更に人によっては、出産時に初めて病院に行ったり、あるいは自宅で出産を行ったりしており、何か問題が生じたときに対処することが非常に難しい。本プロジェクトを通して、村落保健ボランティアの活動が活発になり、より多くの女性が安全・安心な妊娠・出産ができるようになって欲しい」

 午後からの研修では、サワンナケート県保健局母子保健課から講師を招いて、妊婦・家族に対する健康教育の内容を中心に、報告書の書き方やヘルスセンターとの連携について研修を実施しました。村落保健ボランティアが活動で使用する健康教育教材は、ラオス国の母子健康手帳に記載されている内容をもとに作成されました。村落保健ボランティアにも馴染みのある内容で、教材も使いやすいと好評でした。研修は、活発な意見交換や質問がなされ、とても盛り上がりました。研修はラオス語で行われましたが、少数民族の言語も話せるプロジェクトスタッフが彼らの言語で補足し、参加者の理解を助けていました。

 来月から各村での活動が始まります。男女ペア村落保健ボランティアの活躍を期待します! プロジェクトを通して、より多くの女性が安全・安心な妊娠・出産ができる環境を作っていきます。是非、このプロジェクトにご注目ください。

研修風景1

研修風景2

セレモニー参加者

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