長期研修員地域理解プログラム:世界自然遺産やんばるの森で生物多様性について学びました
2025.08.14
これまでJICA沖縄では、琉球大学で学ぶJICA長期研修員(留学生)の地域理解を深めるため、歴史・文化や平和をテーマに地域理解プログラムを実施してきました。今回新たに沖縄の自然・環境をテーマとするプログラムを企画、2021年7月にユネスコ世界自然遺産に登録された「やんばる(沖縄県北部の熱帯性森林地帯を含む地域)」に焦点を当て、琉球大学の大島先生、一般社団法人やんばるビジョン代表理事の久高氏にご協力いただき7月12日~13日の2日にわたるプログラムを実施しました。6か国7人が参加し、世界自然遺産やんばるを通して、世界遺産にとどまらず、広く自然・文化・環境・自然と人々の共存などを考えるプログラムとなりました。
①講義・ディスカッション
世界遺産とは何か、世界遺産条約誕生の経緯、何のために設けられ、どのような活動が行われ、現在それらがどのような状況にあるのかを学びました。“人類共通の遺産”として保護・保全し、過去から現在へ、そして未来の世代に引き継いでいくべきかけがえのないものである世界遺産が、昨今では観光地化の傾向など、多くの問題も抱えていることを知ることもできました。
やんばるの自然、文化、自然と人々の暮らしの関わり、開発と環境の変化などについても学びました。日本全土の0.1%ほどのやんばるエリアに、多くの希少種を含む多種の生きものが共存していることに驚くとともに、自然とともに生きてきた地域住民の生活や文化、開発や密猟による自然への影響や変化、保護活動や保護する意義についても学ぶことができました。
参加者には事前学習課題として「自国の世界遺産調べ」が課され、プログラムの中で、それぞれ自国の世界遺産について、なぜそこが世界遺産に登録されたのか、現在どのような状態か、抱える問題や自身が考える解決策などを発表してもらいました。自国に世界遺産があることは知っていたものの、登録された理由や現状、問題点など、今回の課題で調べることで初めて知り、自国の世界遺産に対する意識も高まったようでした。
②フィールドワーク
2日間のプログラムの中では、いくつかのフィールドワークを行いました。世界自然遺産登録エリアの林道や、開拓・建設されたダムなど、現存する自然環境と開発された地域を視察したり、実際に自然遺産登録エリアの森の中を歩いて生物多様性にじかに触れることにより、やんばるの貴重な生態系や保護・保全の大切さや、抱える問題について実感できました。
参加留学生コメント(抜粋)
・沖縄の自然、ヤンバルクイナ、沖縄の動物、沖縄の木々、沖縄の水道施設、そして沖縄の歴史の一部についてなど、多くのことを学びました。
・文化遺産と自然遺産の両方の重要性、生物多様性、環境保全など、主要なポイントが明確になりました。参加者がそれぞれの考えや経験を共有し、多様な視点に触れることができ興味深かったです。今回学んだことを自国でどのように活用できるか考えるきっかけにもなりました。
・世界遺産について学び、その保護の重要性を理解しました。世界遺産を危険にさらす可能性のある行動と、それらを救うための方法についても学びました。 帰国後は、自国の世界遺産を訪問し、私たちの歴史についてさらに学ぶよう努めたいと思います。
・これらの場所を未来の世代のために保護することがいかに重要か、改めて実感しました。自国の遺産を保存するために何ができるか考えるようになりました。
ゆいゆい国頭やんばる展示室
辺野喜ダムにて北部5ダムの説明を受ける
参加留学生の事前学習課題発表
夜間環境モニタリング
講義・ディスカッション
自然遺産登録エリアトレッキング
総括セッション・ディスカッション
参加者集合写真
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