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【日系社会連携】 「オキナワ・沖縄の過去・現在・未来~教員・若者の交流を軸に未来を作ろう」 (通称:ウチレガ!) ボリビア派遣プログラムの実施報告

2025.11.04

JICA沖縄では2025年度、沖縄移民の歴史と価値を次世代へ継承し、ウチナーネットワークの絆を強化することを目的としたプログラム「オキナワ・沖縄の過去・現在・未来~教員・若者の交流を軸に未来を作ろう~」(通称:ウチレガ!)を実施しています。
7月27日から8月7日の12日間、ボリビア派遣プログラムとして、沖縄県の高校生・大学生9名、教員3名を含む14名がボリビア国サンタクルス県に赴き、オキナワ移住地で現地の方々と交流しました。

オキナワ移住地は、1954年当時の琉球政府の集団開拓移民計画によって移住した沖縄出身者が開拓した移住地であり、第1移住地~第3移住地があります。
1986年より沖縄県事業およびJICA事業により沖縄県教員が移住地内にある第一日ボ学校、ヌエバ・エスペランサ校に派遣されており、隔年で当該校の学生が沖縄ボリビア協会の招待により沖縄訪問を果たす等、ウチナーネットワークの維持や強化に取り組んできた地域です。
現地でたくさんの方々と出会い、意見交換や交流を通じて「歴史を知る」(過去)、「今の移住地を知る」(現在)ことが、2つの “おきなわ” の「これからを考える」(未来)機会となりました。

[ ボリビア派遣プログラムの概要]
・2025年7月28日(日)~8月7日(木)
 (ボリビア滞在 7月29日~8月5日)
・参加者:沖縄県内高校生6名、大学生3名、教員3名
     (株)うなぁ沖縄(業務委託先)1名、JICA沖縄1名

・現地の活動日程

[ 主なプログラム報告・成果]
1.移住地の歴史を知る
移民1世の方々が集うデイサービスを訪問し、沖縄からオキナワ移住地に来た時の事、ボリビアでの暮らしや沖縄への想いについて話を伺い、移民の歴史の背景には「一人一人の生活があったんだ」という視点を持つことができました。
また同行した教員たちが「あなたは何を選択する?」というワークショップを実施。戦後沖縄からボリビアへ渡る決意をしたウチナーンチュたちが遭遇する数々の困難を、現地の青年たちや地域の方々と一緒に追体験することで、自分ごととして考える機会となりました。

デイサービスでお話を聞く場面

現地青年と一緒に実施したワークショップ

2.今の移住地を知る・伝える
現在のオキナワ移住地の産業を知る場として、日系三世の青年が小麦やさとうきびの農業経営している農場や、産業の拠点となるコロニアオキナワ農牧総合協働組合(以下、CAICO)を訪問しました。
広大な畑を持ち、人を雇いながら経営している話を聞きながら、自分達と年齢が近い青年が実施している事業規模の大きさと責任感に感銘を受けました。そしてその農作物が集まるCAICOにおいて、農場で育てられた作物が国内外に出荷され、現在のオキナワ移住地の経済の要になっている状況を学びました。

小麦・ソルゴを育てている日系3世の青年の農場

CAICO訪問

教育面では、オキナワ第一移住地の第一日ボ学校、第二移住地のヌエバ・エスペランサ校を訪問しました。いずれも日系移住者のコミュニティによって移住者の子ども達が通う学校として設立されましたが、第一日ボ学校においては日系人の生徒数は全体の1/4程度、その他はボリビア人家庭の生徒になっているなど、今は変わっている部分もあります。学校では、オキナワ移住地の経済の中心となっている農業に関する授業、日本語や、三線やエイサーなど沖縄文化に関するカリキュラムもあり、現在のオキナワ移住地に暮らす若者たちの状況を知ることができました。そしてウチレガ!参加者からも芸能披露や書道を教える活動を行い、若者同士の交流を深める場になりました。

第一日ボ学校訪問

ヌエバ・エスペランサ校で習字の授業

3.交流を通じて2つの“おきなわ”の未来を考える
現地青年会が実施しているエイサーの練習に参加し、沖縄と同様に担い手不足の課題があることがわかり、文化継承について共に考えていくことの重要性を認識しました。
そして交流におけるさまざまな場面で「おかえりなさい」という言葉に触れました。過去にオキナワ移住地で活動した教員の方々に向けた「おかえりなさい」や、初めてボリビアに来たはずなのに、沖縄からオキナワに到着し、最初にかけられた言葉である「おかえりなさい」。この言葉に感動し、今度ボリビアから来た方々に、沖縄で「おかえりなさい」と声をかけて、どちらのおきなわも故郷であるような関係性を作っていきたい、と参加者たちが考えるようになりました。

現地青年会のエイサー練習に参加

学校に飾られていた「おかえりなさい」

4.成果発表
最終報告会では、ウチレガ!参加者が「暮らし班」「歴史・文化班」「ハート(気持ち)班」に分かれ、それぞれの観点において、学んだことや気づきについて実体験を交えながら報告を行いました。

「暮らし班」からは、2つの “おきなわ” の文化が尊重しあいながら生活に溶け込んでいる点の気づきや驚き、「歴史・文化班」からは、デイサービスの参加者からの話を聞いて自身の知識がアップデートされた話や、沖縄文化の継承者がいないという沖縄・オキナワ共通の課題に対して、沖縄側ではどんなことをしないといけないと考えているのか。「ハート班」では、沖縄に残る精神として伝えようと準備していたが、伝える必要がないどころか、沖縄よりそれらの言葉を体感する機会が多かったこと等の報告がありました。発表会には現地の方々125名が参加し、その後の壮行会では伝統芸能やダンスの披露、歌の発表など、2つのおきなわの繋がりと、その温かさを実感する報告会となりました。

最終報告会の様子

福祉部の皆さんと壮行会でダンス

[ 今後の取り組み]
帰国後は、参加者それぞれが、自身の経験や学んだ内容、沖縄移民について発信し、ウチナーネットワークの歴史と価値を発信していきます。それら発信事業を踏まえ、2026年1月には事業の最終報告会を開催いたします。


【関係ファイル】

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