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旭川ビースターズ外国人選手に試合前突撃インタビュー! ~なぜ彼らは日本で野球をするのか?野球熱い想いを聞いてきました~②

2025.06.10

北海道の独立リーグ、北海道ベースボールリーグ(HBL)に所属するプロ野球チーム、旭川ビースターズには、多数の外国人選手が所属しています。彼らの中には、JICAの青年海外協力隊員や、日系連携事業がきっかけで、日本で野球をすることになった選手もいます。そんなビースターズの控室にお邪魔し、6人の外国人選手たちにインタビューをさせていただきました。今回はその中でも、アフリカのウガンダ出身の選手たちにお聞きした内容をお届けします!

インタビュー第1弾はこちら

5月からチームに加入した投手のイサビレ選手

控室でインタビューを受けるイサビレ選手

まずは5/25(日)の富良野ブルーリッジ戦で先発を務めたイサビレ・ムサ・アゼッド選手にインタビューをしました。

―どんなきっかけで野球を始めましたか?

12歳の時に野球に初めて出会いました。それまではサッカーなどの他のスポーツをやっていましたが初めて野球を見たときに心が震えました。心の底から野球をしたいと思って野球を始めました。

―ウガンダの野球と日本の野球の違いは?

ウガンダでの野球は遊びでプレーすることが多いですが日本での野球はウガンダの野球より規模が大きく、スキルを磨くために取り組んでいるため練習も少し厳しく感じます。ウガンダで野球をするときは、皆が座って話し始めることもありますけど、日本での野球は仕事なので時間管理も厳しくて集中度が違いますね。北海道は少し寒いですが、旭川ビースターズは野球に集中するために最適の環境です。

―日本で野球をプレーすると伝えたときの家族の反応は?

家族の状態はあまり良くなく、申し訳ない気持ちがあります。両親はいませんが二人の姉妹がウガンダにいます。姉妹は自分の夢を応援してくれて、いつも僕のために祈ってくれています。ウガンダと日本では時差が長いため、頻繁に連絡を取るのは難しいですが、練習が休みの日は姉妹と連絡を取って普段何をしているかなどを話しています

―これからの目標を教えていただけますか

日本のプロ野球で活躍するのが夢です。アメリカや他の国でも野球は出来ますが努力して、競争が激しい日本のプロ野球(NPB 日本野球機構)のチームでプレーするのが目標です。

イサビレ選手はひとつひとつの質問に対して真剣に答えてくれて、野球に対する熱い気持ちが伝わってきました。

田中コーチとの出会いがきっかけで日本に来たカスンバ選手

控室でインタビューに答えるカスンバ選手

タイヤで筋力トレーニングなど独自のトレーニングをSNSに公開して注目を集めているカスンバ・デニス選手。明るい性格でチームのムードメーカー的存在です。

―どんなきっかけで野球を始めましたか?

8歳の時に野球を始めました。最初は木の棒を使って石を打っていましたが、ある日野球のコーチに出会いました。実はその人は今のウガンダ野球の会長です。「もし野球やりたいなら参加しなよ」と話しかけてくれました。野球場は小規模でしたがバットの使い方などを教えてくれました。最初は自分でボールを投げてバットに当てるのも大変でした。それから8年間ほど野球に取り組みました。家の状況があまりよくなかったので家族のために野球を辞めて、仕事に専念している時期もありました。そんな時、お世話になっていたコーチが毎日のように僕の仕事場まで来て練習に来なよと声をかけてくれました。最初は「仕事で忙しいし家族を支えなきゃいけないから野球はできません」とコーチに言っていました。しかし、野球で生きていきたいと決心して無我夢中で野球の練習に取り組み始めました。そこで、トレーニングの動画を撮ってSNSに載せ、チャンスを探したんです。

―どのような理由で日本で野球をプレーすることを選びましたか?

実はアメリカ行ったときに田中コーチが日本で野球をプレーしないかと誘ってくれました。わたしはぜひ日本でプレーしたいと答えて日本に来ました。たまに寒いですけど旭川ビースターズでの環境はすごくいいです。僕はタフだから日本に来た意味を思い出せばどんなことにも対処できます。

―日本で野球をプレーすると伝えたときの家族の反応は?

最初このことを伝えたとき祖母と姉妹は泣き出しました。僕がいないと家族は苦しくなるので僕にウガンダに残ってほしかったのだと思います。でも僕は挑戦したい、ベストを尽くしたい、もっとうまくなりたいと家族に伝えました。
-家族とはよく連絡しますか?

家族とはトレーニング終わった後などの隙間時間によく電話します。

―将来の夢は?

将来はMLB(アメリカメジャーリーグ)でプレーすることが目標です。しかし、今は日本の野球に集中しています。もしNPB(日本プロ野球)のチームでプレーすることが出来たら更に一生懸命練習に取り組むつもりです。そして大谷翔平選手のように次のステージを目指していきたいです。上のリーグに行けば良いコーチやトレーナーに出会えて更に力をつけられると思います。いつも自分なら目標を達成できると信じて野球に取り組んでいます。

普段は明るくムードメーカー的存在のカスンバ選手ですがインタビュー中は真剣に野球のことを語ってくださり、野球に対する強い気持ちが伺えました。

お互いの繋がりで道を切り開いてきたチャッゼ選手とカベンゲ選手

インタビューを受けるチャッゼ選手とカベンゲ選手

最後に、来日間もないというチャッゼ・フレッド選手と、日本在住6年目のカベンゲ・アラン選手にもお話を伺いました。

―日本の野球の環境はどうですか?

チャッゼ選手: すごく良いです。レベルの高い場所でプレーするための多くのチャンスがあると感じています。施設も素晴らしく、チームメイトたちも非常に助けになってくれています。ただ寒さは大変ですね。

カベンゲ選手:私も野球の環境には満足しています。気候の他には、食事面でもウガンダとだいぶ違うので少し苦労していますが、適応する努力はしています。今は野球に集中していますし、いつでもウガンダに帰ることもできるので、故郷が恋しくはありません。

―お二人はいつから日本で野球をしているのですか?

チャッゼ選手:私はちょうど今月(2025年5月)に来日して、今は3週間目です。

カベンゲ選手:私は2019年に日本に来て、兵庫ブルーサンダースというチームでプレーしていました。旭川ビースターズにはあと1年間は在籍する予定です。

―日本に行くことに対してご家族の反応はどうでしたか?

チャッゼ選手:母は私の決断をとても応援してくれました。彼女はトップレベルで野球をすることが私の夢だと知っていたので、素直に受け入れてくれましたね。

―お二人が最初に野球を始めたきっかけは何だったんですか?

チャッゼ選手:実は、私が野球をはじめたのはカベンゲ選手のおかげなんです。ある日、カベンゲ選手がピッチャーをしているところを目にしたのですが、それにとても興奮しました。それまで野球のことは何も知らなかったのですが、彼がボールを投げている姿に感銘を受けました。その日がきっかけとなって、私は野球を始めたんです。

カベンゲ選手:私は小さい頃はサッカーをしていました。しかし、あるとき野球をプレーしている人たちを見て、自分もやってみたところから、野球にはまっていきました。ウガンダではサッカーよりも野球の方が成功するチャンスがありますしね。

―ウガンダではどのような環境で野球をプレーしていましたか?

チャッゼ選手:野球をするときは、たいていの場合1つのボールと1つのグローブしかありませんでした。それを交代で回しながらプレーするんです。

カベンゲ選手:すごく大変ですよ。多くの選手は目標もなくただ遊びでプレーしています。強い心を持っていないと成功できません。

チャッゼ選手:私には目標としていた選手がいました。「彼のようになりたい」と強く思っていたからこそ、自分を鼓舞して努力することができました。

―なぜ日本に来て野球をすることになったんですか?

チャッゼ選手:あるとき、カベンゲ選手が私に電話をしてきて、日本でプレーしないかと言ってきたんです。彼はよくジョークを言うので、最初はまたふざけているだけだと思いました。しかし、田中さん(旭川ビースターズのコーチ)が私に日本でプレーしてほしいと言っていると聞き、夢を追いかける絶好の機会だと思ったので、日本に来ることにしました。

カベンゲ選手:私が日本に来た時も、田中さんが全て手配をしてくれました。今も他の仕事をすることなく、野球に集中する環境を作ってもらっています。

―最後に、将来の夢についても聞かせてください。

チャッゼ選手:まずは日本でより高いレベルでプレーしたいです。そのあとは、ウガンダの野球少年たちのために貢献したいです。ウガンダでは野球をプレーする若者は増えていますが、高いレベルでプレーするチャンスはほとんどなく、それが理由で多くの人が野球をやめてしまいます。なので、私は自分と同じようにウガンダの子供たちが成功できるよう、彼らのサポートがしたいです。それから、今まで育ててくれた母にも何か恩返しがしたいですね。

カベンゲ選手:私も現時点では日本で良い契約を勝ち取ることにフォーカスしています。野球をするために自分の国を離れましたし、家族からの期待もあります。選手としてのキャリアを終えたら、アカデミーを作って若い選手を育てるのが夢です。私は日本に来る前にもウガンダで子供たちを指導していましたしね。それ以外のことについては、まだあまり考えていません。今は野球が全てなので、まずは野球に集中したいと思っています。

選手入場でハイタッチをする旭川ビースターズ

お二人とも真剣なまなざしで野球や母国に対する熱い思いを語ってくれました。大きな志を持つ両選手の今後のご活躍を期待したいです!

今回は旭川ビースターズでプレーをするウガンダ出身の4選手にお話を伺いました。それぞれの夢や葛藤を抱えながらも、成功を掴むために必死に努力を重ねている選手たちの姿に胸を撃たれました。今後彼らが日本で夢を叶えることで、より多くのウガンダの子供たちが希望を持てるようになることを願っています。

■関連リンク
旭川ビースターズホームページ
旭川ビースターズ外国人選手に試合前突撃インタビュー! ~なぜ彼らは日本で野球をするのか?野球にかける熱い想いを聞いてきました~①

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