旭川藤星高校の授業モニタリングに行ってきました!
2025.10.31
小野先生が授業のポイントを解説。水の課題に注目します
教師海外研修とは、開発教育/国際理解教育の実践と推進に意欲のある小中高校と特別支援学校の先生が、JICAが支援する開発途上国に赴き、現地で得た知見を活かして教材を作り、日本国内での授業実践を行う研修です。
2025年度はモンゴルで現地研修を行いました。授業実践モニタリングリポート二回目は旭川藤星高校で行われた小野瑞貴先生の授業風景をお届けします。
都市と草原、暮らしの違いをスライドで確認
2025年10月7日(火)、旭川藤星高校で小野瑞貴先生の授業を参観しました。テーマは「モンゴルの水の課題」。地理総合の科目として全3時間にわたって行われる授業のうち、今回は最終回の3時間目でした。
これまでの授業で、生徒たちはモンゴルの首都ウランバートルについてしっかり学んでいます。授業前のモンゴルへのイメージは「遊牧」だったそうですが、実際のモンゴルには遊牧民だけでなく、都市部や郊外など、地域ごとに異なる暮らしがあります。さて、モンゴルは乾燥地帯で降水量が少ないので、人々はどのように水を確保しているのでしょうか。その謎を、ウランバートル市内・郊外・遊牧地域の3つの視点から探ります。
プロフィールカードを読みながら、モンゴルの暮らしを考える生徒たち
授業では、3〜4人で1組のグループに分かれ、それぞれの地域で暮らす人のプロフィールカードが配られます。生徒たちは役になりきり、水に対する思いや生活の違いを語り合います。
例えば、市内に住むチンギスくんは朝からシャワーを浴びられますが、郊外や遊牧地域に住むゲレルトヤーさんやナランさんは、水を汲みに遠くまで行かなければなりません。水は決して当たり前にあるものではないのです。
机に並ぶモンゴルの文化アイテム。ゲルの模型や装飾品も
この教材は、小野先生がモンゴルでの現地研修で得た体験から生まれました。研修中、雨が降った際、現地の人々が「これが今年2回目の雨だ」と話していたことに、参加した教員の皆さんは驚いていました。モンゴルには地下水があるので、生活に必要な水をそこから利用していますが、雨が降ることで水資源の持続性、牧畜や農作物の成長、人々の生活・環境のすべてにプラスの影響があります。特に今年は乾季で、雨がひときわ少なかったとのことです。こうした経験をもとに、小野先生は水の課題をテーマにしたロールプレイ形式の授業を考案しました。生徒たちは、同じモンゴルでも地域によって水の事情が異なることを、体験を通して学びました。単なる知識ではなく、現地の人々の感覚に近づく学び――とても印象的な授業でした。
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