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【草の根技術協力事業】ウズベキスタンから革職人を招き、本邦研修を実施 ― 地域産業と雇用を育てる人材育成の取り組み ―

2026.04.03

北海道大学大学院経済学研究院地域経済経営ネットワーク研究センターは、JICA草の根技術協力事業「フェルガナ州におけるマハッラバイ政策支援事業」の一環として、2026年3月2日から10日に本邦研修を実施しました。
本研修には、ウズベキスタン共和国フェルガナ州で地域工房を支える革職人やマーケティング担当者等、計4名の研修員が参加し、札幌と東京で、革製品づくりを通じた人材育成と地域産業の発展を目的とする研修が行われました。
参加者は、帰国後に研修で得た技術や知識、試作品に対する助言等を活かし、製品開発や品質向上に取り組むことで、新たなビジネスおよび雇用の創出を目指します。

地域に根ざした「仕事」を育てる国際協力

研修参加者4名

フェルガナ州では、地域コミュニティである「マハッラ」を基盤に、小規模ビジネスや起業を促進する取り組みが進められています。本事業は、同国の伝統的な刺繍や布文化を活かしつつ、現代の暮らしに適した製品を作り、地域に新たな価値と雇用を生み出すことを目指しています。
今回の本邦研修は、その中核を担う革職人の技術力向上と、ウズベキスタン国内におけるブランド形成に向けた基盤づくりが主な目的でした。

KEETSでのバックパック制作

研修の前半は、札幌で行われました。
研修参加者は、日本の革製品ブランドである株式会社KEETSの工房で、職人と共に革製バックパックの制作に取り組み、実践的な技術指導を受けました。
限られた日程の中で、構造が複雑なバックパックを完成させるため、事前の入念な調整に加え、現地での革素材の調達・加工工程の役割分担を工夫しました。その結果、わずか2日間で、今後の主力商品となり得る試作品が完成しました。
研修参加者にとって、本体験は単に技術を学ぶにとどまらず、日本の職人が品質や工程にどのように向き合い、ものづくりを進めているのかを、肌で感じる貴重な機会となりました。

研修参加者が発信する、国際協力の“成果”

研修の後半は東京に舞台を移し、東京大学駒場キャンパスで公開セミナー「ウズベキスタンの文化と国際協力 ― フェルガナの現場から未来へ ―」が開催されました。
当日は、駐日ウズベキスタン共和国特命全権大使、JICAウズベキスタン事務所次長をはじめとする関係者が登壇し、ウズベキスタンの文化や人々、同国が直面する課題が紹介され、またJICA草の根技術協力事業による具体的な成果が広く市民に共有されました。
会場では、今回の本邦研修で制作されたバッグや、フェルガナ州の工房で制作された試作品が展示され、参加者は実際に製品を手に取り、素材感や仕上がり、デザインを確かめました。
「色づかいが美しい」「刺繍に物語性を感じる」といった市民目線での率直な感想や意見は、今後の製品改良につながる貴重な市場からの助言となりました。
また、本セミナーは研修成果の共有にとどまらず、国際協力が決して「遠い国の出来事」ではなく、私たちの日常や価値観とも結びついていることを、市民の方々にも実感いただける機会となりました。

ウズベキスタンの伝統的な生地と革を組み合わせた製品

今回の研修を通じて、フェルガナ工房では、新たな革製品づくりへの道筋が明確になり、習得した技術を地域内で共有・展開していくための基盤が着実に整いつつあります。
今後は、観光地での販売やSNSを活用した情報発信などを通じて、地域の魅力を国内外に発信し、持続可能な事業展開につなげていくことが望まれます。
国際協力とは、一方的に「支援する・される」関係ではなく、人と人とが知恵や経験を持ち寄り、共に学びながら未来を描いていく営みです。革製品という身近な「もの」を介して始まった取り組みが、地域の自立や誇り、そして雇用創出へと結びつき、フェルガナの地に根を張りながら、新たなビジネスの芽として育っていくことを期待しています。
今後は、現地の金融施策や制度も活用しながら、地域に持続的な活力を生み出す取り組みを継続していきます。

◆関連リンク
【草の根技術協力事業】本邦研修(第2回)
案件概要表


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