【岩手県】JICAと遠野市が連携覚書を締結、JICA海外協力隊グローカルプログラム開始
2023.02.01
国際協力機構(JICA)は、2023年1月17日、岩手県遠野市と連携覚書を締結しました。
また同日、遠野市で活動に取り組むJICA海外協力隊グローカルプログラム実習生2名の遠野市役所表敬訪問も行いました。
遠野市は、岩手県の内陸に位置し、柳田國男の民話『遠野物語』で広く知られています。今でも、昔ながらの風景が随所に見られ、自然と共生するくらしの中で培われてきた風習や祭りが根付いています。近年は、ホップの一大産地という強みを活かした事業や四季折々のイベントも行われています。また、遠野市では、過去10年間で200名以上の開発途上国からのJICA研修員が、①遠隔妊産婦検診、②自然災害緊急時対策・後方支援拠点整備、③博物館学、の分野で研修を行っているほか、民間連携事業においても、コンクリート長寿命化の技術を用いた事業((株)栄組)をブラジルで展開しています。加えて、東日本大震災以後、復興支援に携わった多くの元JICA海外協力隊員が遠野市に定着して地域づくりを行っています。
遠野市との連携をさらに強化するため、小林 雪治JICA東北センター所長が同市を訪問し、多田 一彦遠野市長と「連携覚書」を締結しました。三陸地方においては、2022年1月の釜石市、同2月の陸前高田市に続き三例目となります。
覚書では、具体的に以下のような取組内容を遠野市と共に推進することを確認しました。
遠野市役所の皆様とJICA関係者
連携事業の一環として、JICA海外協力隊の派遣前の地域実習「JICA海外協力隊グローカルプログラム※」(GP)を遠野市にて開始します。当プログラムの遠野市第一期生として穴井 祐介さん(派遣国:ガボン、職種:コミュニティ開発)と高橋 翼さん(派遣国:グアテマラ、職種:卓球)の2名が遠野市役所を訪問しました。GP活動受入れ先の「農事組合法人 宮守川上流生産組合」では元協力隊員(インドネシア・農業)の桶田 陽子氏が副組合長を務めています。「一集落一農場」を掲げる同組合での貴重な研修を経て、遠野市と世界との懸け橋となることが期待されます。
研修開始に先立ち、地域おこし協力隊として地方創生に6年間携わった穴井さんは、「当市の地方創生の取組について聞いており、実際に来てみて腑に落ちました。地域の魅力を感じながら活動を行っていきたい」と抱負を述べ、卓球選手として輝かしい経歴をもつ高橋さんは、「恩師は無償の愛で卓球を指導してくれました。次は自分が指導する立場になって、誰かの競技に取り組むきっかけとなればと考えています。派遣国のグアテマラでは約半数が農業従事者なので農業についても学びたい」と意気込みました。
穴井さん、高橋さんは、受入れ先での活動を中心としながら、地域の方々と繋がり、地域の伝統芸能にもふれながら3か月間の実習を行う予定です。
(報告者: JICA東北 荒屋敷、菊池)
実習への抱負を語る穴井さん(左)と高橋さん(右)
※「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
本プログラムは、帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に研修を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。
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