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【草の根技術協力事業・岩沼市×JOCA東北】 宮城県岩沼市 佐藤市長がインドネシア・パル市を訪問/災害に強いコミュニティ形成事業が完結 ~クロージングセレモニー~

2025.08.04

JICA草の根技術協力事業「パル市集団移転地におけるより災害に強いコミュニティ形成事業」(2022年9月~2025年8月)では、7月14日(月)に本事業の締めくくりとなるクロージングセレモニー(最終成果報告会)をインドネシア・パル市で実施しました。提案自治体である宮城県岩沼市の佐藤淳一市長や玉浦西まちづくり住民協議会、実施団体である公益社団法人青年海外協力協会(JOCA東北)の関係者もパル市を訪問し、セレモニーに出席しました。また、佐藤市長はセレモニーへの参加に加え、パル市のハディアント・ラシド市長(Mr. H. Hadianto Rasyid)と面談、「震災経験を通じたまちづくりの共創」に関する意見交換を行いました。

本事業では、2018年9月に発生したスラウェシ島地震の復興事業として行われている被災者の集団移転事業を支援してきました。岩沼市とJOCA東北が東日本大震災の際に集団移転先のコミュニティ形成支援を行った知見を生かし、パル市の集団移転地区での被災者生活支援や住民主体によるコミュニティ活動支援を行ってきています。

■自主防災組織の形成|避難訓練の実施

本事業では、JOCA東北が住民主体による自主防災組織(PRB)の形成に取り組みました。対象とするのは、沿岸から5kmに位置する集団移転地・トンド地区。2021年にパル市でもっとも早く移転が始まり、住民数も1,500世帯3,000人を有する大規模な移転地です。対象地域の住民と何度も対話を重ねながら自主防災組織の重要性を伝えました。結果として、36名の住民が防災リーダートレーニングを修了し、災害の基礎知識や組織的な防災の取組等について知識を獲得しました。

避難訓練実施の様子

避難訓練実施の様子

2025年7月には、自主防災組織による企画・運営のもと2度目となる防災避難訓練を実施しました。本事業期間中には実際に豪雨浸水災害が発生しましたが、その際には自主防災組織による自主的な判断のもと支援行動が実施されるなど、本事業の成果が活かされています。

■地域コミュニティの活性化|復興を目指した生業支援

集団移転地・トンド地区は、移転を希望する住民が抽選によって選ばれて移転してきていたため、ご近所同士の関係性がありませんでした。発災時にコミュニティ内で共助の仕組みが発現するには、平時から住民同士が自発的に交流し、防災に対する知識やスキルの獲得機会があることが重要であるため、本事業ではコミュニティ活動支援にも取り組みました。
自主防災組織を中心に啓発・交流イベント(チラシ配布、ドミノゲーム=通称JOCA/玉浦西杯など)や、女性グループの生業支援等を展開しました。こうした活動は、防災活動をテーマとするコミュニティ内競技会(子ども塗り絵、町内会対抗綱引きなど)が開催されるに至りました。

子ども塗り絵大会の表彰式

子ども塗り絵大会の表彰式

女性グループの製品を視察する佐藤市長

女性グループの製品を視察する佐藤市長

■住民組織同士の繋がり|姉妹友好町内組織の締結

本事業での自主防災組織の形成やコミュニティ活動のモデルとなったのが、岩沼市玉浦西地区の取組みです。これまで、自主防災組織のメンバーは岩沼市を3度訪れ、玉浦西集団移転地区におけるコミュニティ再生や自主活動、被災者支援の取組みについて視察研修を行ってきました。3年間の事業期間の最後となる今回のパル市訪問では、玉浦西まちづくり住民協議会の菊地正広会長、会計担当の宍戸一郎さんが初めて現地を訪れました。玉浦西メンバーは自主防災組織のメンバーと意見交換を行い、防災力強化や地域活性化へのアイデアについて議論を交わしました。また、今後もまちづくりや町内イベントの企画運営などにおいて協働していくことを確認し、姉妹友好町内組織として友好関係を締結しました。

協定書に署名するPRBのマジッド会長と玉浦西まちづくり住民協議会の菊地正広会長

協定書に署名するPRBのマジッド会長と玉浦西まちづくり住民協議会の菊地正広会長

玉浦西まちづくり住民協議会と自主防災組織のメンバー

玉浦西まちづくり住民協議会と自主防災組織のメンバー

■今後の取組みについて

これまでは行政が住民と連携して地域防災力を向上させるコミュニティ形成手法の確立を目標に、パル市住民による自主防災組織の形成や、災害に強いコミュニティづくりにおける行政官やコミュニティリーダーの能力向上に関する技術協力を行ってきました。一方で、パル市内には本事業の対象地区の他にも集団移転地区が複数存在します。パル市は本事業で得た自主防災組織の形成手法などのノウハウを活かし、他の集団移転地区にも同様の取組みを展開するべく、事業の計画や予算措置を承認し、パル市内への普及に取り組んでいくことが決まりました。

3年間取り組んできたこれまでの技術協力活動は、パル市の防災に強いまちづくりへの貢献に加え、そこで得た知見やネットワークが日本国内地域へと還元され、岩沼市内での外国人との共生社会の理解促進に繋がることや、国際協力活動を通じた日本の地方の活性化への貢献も期待されます。

姉妹友好町内組織に関する協定書を手にして並ぶ岩沼市・佐藤市長とパル市・ハディアント市長

姉妹友好町内組織に関する協定書を手にして並ぶ岩沼市・佐藤市長とパル市・ハディアント市長

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