感染症の危機に備え、インドネシア感染症サーベイランス体制強化に注力!


2023.07.03
2023.07.03
コロナ禍による影響を受け、「感染症の危機への備え」の重要性が改めて再認識されている今。
ようやく実現したインドネシア保健省関係者の来日研修の様子をご紹介します。
コロナの蔓延により、私たちは世界中で未曾有の危機を経験しました。感染症の発生をできるだけ早く発見し、その後の広がりや患者数の増加状況を調べ、得られた情報を集計・解析・公表し、国民が罹患しないように役立てるための感染症サーベイランス。
この度、インドネシア保健省関係者10名が6月12日から7月1日まで来日しました。2021年にJICAが立ち上げた「感染症早期警戒対応能力強化プロジェクト」のカウンターパート達です。コロナ禍の影響から、時期変更を余儀なくされましたが、今回ようやく、来日研修が実現できました。
感染症サーベイランスの専門家から講義を受ける。(於:国立感染症研究所)
国立感染症研究所の全面的な協力のもと、国レベルでのサーベイランスシステムを学ぶとともに、三重県、大阪府、広島県を訪問し、各自治体、病院、保健所、地方衛生研究所、大学、民間の検査機関、広島県感染症・疾病管理センター(ひろしまCDC)での実際の取組みや連携体制、そしてマスイベントや災害時の対応を学びました。
自然災害の多いインドネシア側から関心の高かった「災害時の感染症サーベイランス」については、広島大学公衆衛生学教授 久保先生の研究室にてワークショップ形式で学びを深めました。災害時は、被災地の当局すらも被災し、平常時の機能は発揮できないことが想定されるため、外部からの支援や連携は欠かせません。そのため、サーベイランスにおいて統一した規格を用いることで、その精度や効率性が大幅に向上することなど、多くの実践的な学びを得ることができました。
三重県にて県内の各関係機関からのサーベイランスの実際を学ぶ。(於:三重県庁前)
マスイベント時のサーベイランスについて学ぶ。(於:大阪健康安全基盤研究所)
研修員は、今回の研修を通じて制度やシステム、技術面の知見を深めたのはもちろんのこと、コロナ禍の経験と実際の対応から、多くの貴重な示唆を得たようです。特に、感染症対策には臨床医療と公衆衛生、行政機関、学校など公的機関、民間を超えて感染症にかかわる様々な関係機関の理解と協力が欠かせないこと、連携することの重要性が強いメッセージとして伝えられ、研修員にも強く響いたようです。関係者の皆様にこの場をお借りして、深く感謝申し上げます。
研修員は一旦東京に戻り、国立感染症研究所で研修全体の振り返りを行うとともに、帰国後に研修を通じて得た学びをどのように生かすか、早速具体的なアクションプランについて熱い議論を繰り広げました。インドネシアに帰国した後も、研修員からのアクションプランの進捗、活動報告を楽しみに待ちたいと思います。
COVID-19パンデミック時と平常時のラボでの検査体制について学ぶ。(於:広島市医師会臨床検査センター)
災害時の感染症サーベイランスについて学ぶ。(於:広島大学きてみんさいラボ)
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