\栄養(8/4)の日まであと3日/民間連携事業
2023.08.01
“企業からみる世界の食と栄養”
~世界の子どもたちをもっと元気に笑顔にしたい!
世界各地で行われている栄養改善プロジェクトのご紹介~
事業名:「タンザニア国 パフ大豆を使った高たんぱく食品普及・実証・ビジネス化事業」
実施企業:キッコーマン株式会社(千葉県野田市)
タンザニアでは、貧困層を中心に穀類・炭水化物に偏った食事が多く、たんぱく質の不足が見られています。キッコーマン株式会社は、幼児・子どもに対し、同社製品である大豆をパフ加工した食品(菓子、パフ大豆粉等) を供給するとともに、現地嗜好に合致した大豆食の普及と栄養教育を推進することで、発育阻害(スタンティング)の原因となるたんぱく質不足解消を目指しています。
大豆は高たんぱくで子供の成長に必要な栄養価の高い食材ですが、人間が消化吸収するためには加熱処理を十分に、適切に行う必要があります。提案ビジネスで用いる大豆のパフ加工は、原料の大豆を密閉した耐圧容器中で加熱・加圧し、一気に大気圧へ放出することで膨張させる、エネルギー効率の良い加熱処理技術です。本事業では、パフ加工をした現地産大豆を用い、食品の製造およびその受容性を実証します。同調査団は、2023年7月に第1回渡航をし、現地料理家へのヒアリングや試作等を行いました。
パフ大豆を使ったタンザニア料理(試作品①)
パフ大豆粉を主原料とした焼き菓子(試作品②)
事業名:「フィリピン国慢性腎臓病患者の食事療法用低たんぱく米導入のための 普及・実証事業」
実施企業:株式会社バイオテックジャパン(新潟県阿賀野市)
フィリピンでは保健医療水準は向上してきているものの、依然として残されている課題の一つに生活習慣病があります。生活習慣病が原因の死亡者数は増加傾向であるとともに、将来の医療費の増加も大きな懸念となっています。
(株)バイオテックジャパンは、3,000株以上の植物性乳酸菌を組み合わせ、食味等を調整する独自技術を有しています。本実証活動では、生活習慣病と深い関係があり低たんぱくの食事療法が必要となる腎臓病患者を対象とし、同社の強みである植物性乳酸菌を活用した米の低たんぱく化技術を用いて、現地の嗜好に合わせたフィリピン米の低たんぱく化製造について検証しました。また、現地医療関係者や 腎臓患者に対し低たんぱく化米の食事療法を提案することで低たんぱく米の普及を目指すとともに、同社のビジネス計画の策定を行いました。
現地米から製造開発した慢性腎臓病患者用低たんぱく米「ECHIGO」
フィリピンでの低たんぱく米製品普及のための展示会の様子
事業名:「ベトナム国病院・介護施設向け食品の基礎調査」
実施企業:株式会社タケショー(新潟県新潟市)
ベトナムでは高齢化が進んでおり、また都市部では先進国型の生活スタイル・食文化などの浸透により、医療課題は従来の感染症や交通事故から高齢者や生活習慣病(脳卒中等)へと変化しています。そのような中、高齢者や脳卒中患者が抱える深刻な問題の1つが、摂食・嚥下(えんげ)障がい(※)への対応です。
(株)タケショーは、病院・介護施設向けに粉末タイプの栄養食品を開発販売しており、摂食・嚥下障がいを持つ方でもビタミン、たんぱく質などの栄養素を手軽に美味しく補給することができます。本事業では、同社の栄養・機能性食品の提供を通じてベトナムの高齢者や被介護者の栄養改善を図ることを目指し、製品技術に対するニーズと現地適合性について調査しました。さらに、同社は本事業と並行して現地工場の稼働に至ったほか、カントー大学とメコンデルタ地域の農水産物の機能性素材開発にかかる共同研究を行っており、メコンデルタ地域の持続的発展にも取り組んでいます。
※嚥下障害とは、食べ物を飲み込む機能が弱り、食べ物をスムーズに胃に送れない状態のこと。
タケショーが開発販売している栄養食品を用いた調理例。
飲料やゼリー化することで手軽に美味しく摂取できる
事業名:「インド国 日本伝統の麹(こうじ)を活用した大豆加工産業育成にかかるビジネス化実証事業 」
実施企業:ちば醤油株式会社(千葉県香取市)
インド国内で販売されているインド産、アジア諸国産の醤油には多くの添加物、保存料、着色料が用いられています。日本伝統の麹から製造する本醸造醤油は、蒸した大豆と炒った小麦に種麹を加えて発酵させます。麹から製造した醤油には、大豆ペプチド、ギャバ、サポニン、等様々な健康成分を含んでいます。ちば醤油株式会社は、麹の発酵や手作り醤油の醸造技術を現地企業に技術移転するために、インドの気 候条件の下での麹発酵に関する実証を行います。同調査団は、2023年7月に第1回現地渡航調査を行いました。
同社は、現地で日本伝統の方法での健康志向の醤油や醤油ベースの調味料を製造してレストラン等に販売し、長期的には、インドからアフリカ等他国・他地域への健康志向の醤油・調味料を輸出することも考えています。健康成分を高めた製品の開発により、インドの住民だけでなくアフリカ等世界中の健康状況の改善を目指します。
インドの食品製造工場視察①
インドの食品製造工場視察②
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