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見えない攻撃から社会を守るために

2023.09.12

デジタル化が進み続ける昨今、個人から企業、大きな組織まで、私たちは常に「サイバー脅威に脅かされて」います。見えない脅威からの被害を最小限に留めるのが、サイバーセキュリティ。サイバーリスクは世界中で高まっており、当センターでも先月、その対策強化のための研修が実施されました。

多様な国から

「サイバーセキュリティ対策強化のための国際法・政策能力向上」と題した本研修では、アルメニア、インドネシア、バルバドス、ルワンダ、ウクライナなど、世界中から19か国22人の研修員が集い、5日間のプログラムに臨みました。サイバーセキュリティの現状や課題意識、組織体制、バックグラウンドは各国で千差万別。そうした環境の中、株式会社富士通ラーニングメディア受託のもと、NISCをはじめとする政府・民間企業のサイバーセキュリティ担当者、湯淺墾道教授(明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科)による講義や、民間施設の視察、研修員同士のディスカッションなど、アクティブラーニングを重ねました。
研修を通しての目標は、日本の施策や各国の状況に関する学びを経て、自国のサイバーセキュリティ対策の改善に向けた提案ができるようになること。研修員たちにとって、どのような研修になったのでしょうか。

研修初日のカントリーレポート発表会。各国の課題や目標を発表しました。

現場を知り見えてくるもの ~民間企業視察~

研修3日目には、日本でサイバーセキュリティ対策に携わる株式会社ラックとそのセキュリティ監視・運用センターJSOC(ジェイソック)の視察を行いました。まず、社員の方に企業の概要・特徴や、近頃のサイバーインシデントの傾向についてご説明いただき、続いてセキュリティ監視・運用の現場を見学しました。

ラックの皆さんとの一枚。

施設見学中には、近未来的で洗練された雰囲気のオフィスに驚きの声が上がったほか、専門的な内容を含む多くの質問が飛び交いました。途上国においてはまだまだ民間のサイバー人材が限られていることや、民間の信用度が低く政府との連携が難しいこと等の現状があるようで、日本における民間連携のグッドプラクティスから、研修員たちが新たな視座を得た様子が窺えました。
最後に研修員から謝辞が述べられ、「研修員はそれぞれ異なる立場や状況にあるが、今回興味深く見聞きした事を、帰国後それぞれ活かしたい」と話していました。

謝辞を述べてくれたのは、モルドバの研修員でした。

会社の屋上から眺める都心の景色。栄えゆく社会を守るには…。

22人のこれから

異なる背景や状況を背負い、様々な国から来日した22人の研修員。期間は5日間と短いものでしたが、共に熱心に学び合う様子、更に他愛ない会話で笑い合う仲睦まじい様子も見られました。
密度の濃いプログラムを通し、サイバーセキュリティ対策における各国の状況や国際的な動向を知り、日本の対策の仕組みや取り組みに学び、改めて自国を見つめてきました。日本の知見をそのまま当てはめようとするのではなく、どうすれば上手く自国に適応できるかまで考察する姿勢が印象的でした。JICAが鍵としている“Knowledge Co-creation・共創”の大切さを、身をもって実感できる研修であったように思います。
今後、世界中でますます重要となるであろうサイバーセキュリティ対策。彼らの自国での更なる活躍にご期待ください!

あっという間の5日間でしたが、東京の雰囲気も味わえました!

(JICA東京インターン ウ ジンユアン、金井 綾花)

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