帰国研修員の活躍を追え!ウガンダで帰国研修員の活動をインタビューしました。

2023.10.20

帰国研修員は数週間を日本で過ごした後、どのように自国で活躍しているのでしょうか?気になる研修後の様子についてインタビューすべく、ウガンダへ行ってきました!

課題別研修「JICA世銀連携プログラム」と帰国研修員Marisさん(ウガンダ財務省)

JICA東京では、途上国の債務管理能力の向上を目的として、世界銀行(以下:世銀)との共催で課題別研修「JICA世銀連携プログラム:債務関連財政リスクの評価と管理」を実施しています。
2022年度は29か国31人がJICA東京に集まり、世銀講師によるワークショップや日本の財務省による講義、JICA地域部担当者との個別面談セッションを通し、密度の濃い3週間を過ごしました。
ウガンダからは、ウガンダ財務省内の債務管理局より、Wanyera Maris局長(Marisさん)が来日。ウガンダは現在、公的債務額が年々増加しており、2023年度はGDPに対し約53%を占める規模となると予想されています。Marisさんは局長として忙しい日々を送る中、ウガンダの厳しい現状を改善しようという強い使命感の下、本研修へ参加しました。日々の講義でも積極的に質問をし、最終日の閉講式では研修員代表スピーチをするなど、誰よりも研修員を引っ張ってくれた存在でした。

レポート発表会にて、自国の課題を他の研修員に説明するMarisさん(中央)

閉講式にて、修了証を手に笑顔を見せる31名の研修員

JICA新卒入構2年目職員が行く!海外OJTで果たす、帰国研修員との再会

皆さま、突然ですが、本記事を開いてくださり、ウェバレニョ(ルガンダ語でありがとうございます)。JICA新卒入構2年目職員の舩越陽香と申します。
私は、本研修の主担当を務めており、Marisさんの来日した2022年度は、私にとって社会人1年目の年。初めて担当を任せていただいた本研修を実施するにあたり、国内外の協力機関の皆さまに多大なるご協力をいただきながら試行錯誤を繰り返す日々を送っていました。

そんな私ですが、今回、新卒入構職員に対する職員研修の一環で、JICAウガンダ事務所にて3か月のOn the Job Training (OJT)に参加してきました。OJT先にウガンダを選んだ背景は様々ありますが、Marisさんとの再会はその中でも最も重要な目標のうちの一つでした。JICA東京では日々多くの研修員が来日し、たくさんの研修員と充実した日々を送っています。ですが、私たちJICA東京職員が身近で見ることが出来るのは、日本での研修員の活躍のみ。帰国後の活動の様子をこの目で見られる機会は非常に貴重です。
ウガンダでのOJTが始まると、Marisさんへのインタビューに向け、ウガンダ事務所と相談しながら質問内容を練り上げていく作業がスタートしました。ウガンダ事務所にとっても、局長のMarisさんに会う機会はとても貴重なもの。この機会を最大限に活用しようと、研修の有効性や研修環境に関する多数の質問が用意されました。

研修で得た知見を基に、自国で羽ばたくMarisさん

ついに迎えたインタビュー当日。私はMarisさんと感動の再会を果たしました。海外を飛び回りながらも忙しい日々を送るMarisさんですが、しっかり私のことも覚えてくれていました。
Marisさんに帰国後の業務の様子や、振り返っての研修の感想を聞く中で、本研修で得た知見や経験を多方面で活かしていることが分かってきました。

Marisさんはこの日、主に2つの講義内容について、深く語ってくれました。
1つ目は、世銀より提供された企業の信用リスク分析ツールについてです。Marisさんの所属する債務管理局は、ウガンダ国内の各企業の信用リスクを計る役割を担っています。その中で、今回の研修で提供されたツールをウガンダに持ち帰り、これまで債務管理局で使っていたツールと統合させ、より良いツールを作成しようと取り組んでいる、と話してくれました。
2つ目は、日本の地震保険に関する講義です。ウガンダでは地震は滅多に起こりませんが、なぜMarisさんの印象に深く残っているのでしょうか?実は、現在ウガンダ国内では急激な人口増加を受け、農村部は特に収入が不安定となり、国民の収入格差が深刻な問題となっています。これらのイシューについて、財務省は、政府主導のサポート体制の構築が必要だと分かってはいるのに、ウガンダ国内のリソースがなく、何から手を付けてよいか分からない状態が続いているようです。そんな中、政府主導の日本の地震保険システムについての説明を受け、まさにウガンダがお手本にしたい事例に出会えたとのことでした。

ウガンダ財務省にて、インタビューに応じてくれたMarisさん(左)と舩越(右)

帰国研修員の声を活かして、今年も研修員を迎えていきます!

コロナ禍の影響が残り、東京以外の都道府県を訪問することが出来なかった2022年度。Marisさんも、「講義は全て有用だったが、せっかくの来日の機会を活かし、日本の発展した産業や地方の様子も見てみたかった」と話してくれました。
2023年度は2024年2月中旬からの実施を予定している本研修。世銀と共催のワークショップはもちろん、日本の様子からもより多くの学びを得てもらえるよう、来日研修実施に向けて準備していきます!

JICA東京 産業開発・公共政策課 舩越陽香

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