日本の現場で学ぶ5日間!タイとラオスの研修員が、埼玉県の浄水場や水道事業に関する現場を訪れました。

2023.10.20

事業背景

埼玉県企業局はJICA草の根技術協力事業を利用し、タイ王国とラオス人民民主共和国に対して浄水処理技術向上や水道事業における人材育成に向けた技術協力を行っています。
タイにおいては安定・安全な水の供給のために自治体職員の技術向上が不可欠で、国内の環境規制の整備に伴い、水道施設の省エネ化も急務となっています。一方ラオスでは、都市給水率の向上に取り組んでいるものの、浄水場では効率的な運転管理や水質管理に苦慮しており、これらの向上に向けて研修・講師の育成が課題となっています。このような両国の水道分野の課題に対して、埼玉県企業局が持つ技術力やノウハウをもって人材育成事業を展開すること、そして両公社間の人材育成に関する協力体制の構築を行うことは、持続的な水道事業の能力向上につながります。

大久保浄水場研修風景

5日間の学び

8月28日~9月1日までの5日間でタイとラオスの研修員は、埼玉県内の水道事業について合同で講義を受け、県内の浄水場を訪問しました。浄水場には太陽光発電設備が設置されており、そこで発電された電力が浄水場で活用されています。また、水の取水や送水に用いるポンプは回転数を調整し、余分なエネルギー消費を抑制しています。研修員たちは、浄水処理技術向上だけでなく、安全な水の持続的な供給を続けながら、浄水場が二酸化炭素の排出量削減など環境に配慮した工夫を行っている様子を見学しました。
最終日の講義では人材育成について学びました。自国と埼玉県企業局の研修制度の違いに研修員全員が注目し、次々に質問がでました。「さっそく自国に戻ったら、学んだ方式を活用し人材育成に取り組んでいきたい」という研修員もいました。今回の研修では、技術や知識の習得だけでなくタイとラオスの研修員が同時に研修を受けたことにより、お互いの情報共有や研修員同士の友好関係の構築につながりました。

最終日の人材育成についての講義の様子

本邦研修を終えての感想

タイとラオスのそれぞれのチームから、研修報告がありました。

【タイチーム】
大久保浄水場で学んだ水の管理方法を帰国後にタイでも実践していきたい。そして、浄水場で使用している太陽光パネルでの発電は日射量の多いタイも注目している。また、タイで導入するには研究と分析が必要であるが、小水力発電設備でエネルギーロスを防ぐのはとても良い。そして配水区域のブロック化やコントロールバルブを活用した省エネについては、タイでも導入することは可能だと感じた。

【ラオスチーム】
大久保浄水場は、見学した中でも一番古い設備であったにも関わらず現在でも稼働している。その秘訣は維持管理であり、日・月・年単位で計画的な点検やメンテナンスである。また、ポンプのメンテナンス実習では、ポンプの正しい維持管理方法を知ることができた。そして安全教育の徹底の重要性がわかった。

今回の研修で学んだことを、自国に持ち帰りそれぞれの水道事業に役立ててくれると信じております。そして次回、どのような報告があるのか今からとても楽しみです。

閉校式後の集合写真

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