市民二課のベテラン職員に聞く!キャリアインタビュー第2弾!

2023.10.30

新卒からこれまで、JICA一筋で働かれてきた田和さん。地域部(アジア一部)や課題部(社会保障課)、在外事務所(タイ事務所)など、幅広く豊富なキャリアを歩まれてこられました。JICAを長く、そして色んな角度から見てきた田和さんが軸としているモットーやこれからの夢について伺いました!

第二の故郷「タイ」から始まった国際協力への道

Q. JICAを目指したきっかけは何ですか?

A. 学生時代に、ギター部の先輩がたまたま紹介してくださったJICAの合宿セミナー「21世紀のための友情計画(アセアン青年招へい事業) 」というプログラムに参加したことがきっかけです。この経験から、語学力の重要性を感じ、タイに1年間留学することを決めました。
通訳のお仕事に憧れていた時期もありましたが、「自分で考えて自分で決めること」を通して国際交流に関わる仕事がしたいと思い、最終的にはJICAを志望することにしました。

Q. これまでのキャリアの中で、特に印象に残った経験はありますか?

A. タイ事務所での仕事は、JICA人生の中で一番楽しかった時期かもしれないです。もちろん大変なこともありましたが、今振り返ると楽しい思い出ばかりが蘇ってきます。
タイ事務所時代は教育と社会保障分野を担当していました。大学案件が比較的多く、日頃からカウンターパートの大学の先生たちと一緒にプロジェクトの実施管理を行っていました。当時からタイは、「他の途上国の国々をリードするお兄さん」的な立場の国だったので、カウンターパートの方々の意識がとても高かったという特徴がありました。そのため、タイの人たちの主体性をより引き出せるような企画を持ち掛けるようにしていました。カウンターパートの方から、「これまでは日本から学ぶこと一辺倒だったけれども、自らの経験を伝え、学べる立場になれてとても嬉しい」という前向きな言葉を聞けたときは嬉しかったですね。国を超えて、みんなで同じ企画を創り上げて形にしていく過程がとても楽しかったのを思い出します。

タイ事務所時代の田和さん(右から2番目)学生時代参加した合宿のルームメイトだった友人のお宅を訪問

タイで行われたオープニングセレモニーの様子

人を育て、信じるJICAの文化

Q. これまでの豊富なキャリアのご経験の中で、大変だったことはありますか?また、それをどのように乗り越えたか教えてください。

A. JICAには「人を育てよう」という文化があるので、その人の能力のレベルよりも高い仕事を求められることがやりがいでもあり、大変なことでもありました。エピソードとしては、平和構築支援室に配属されて間もない頃、「1か月後にエチオピアでCIDAとの合同ワークショップが開かれるが議長をやらないか」と頼まれた経験が印象的です。それまでは、全く異なる分野(ジェンダーや貧困など)のお仕事を担当してきたうえに、管理職として着任したばかりの状態でした。詳しくない平和構築という分野で、なおかつ得意ではない英語で議長をするという挑戦はとてもハードルが高く、正直怖い気持ちもありました。
でもその時の上司から、自分の能力を超えた仕事に対して「まずはYes!」と言ってみることの大切さを教えてもらいました。もちろん、無責任に放っておかれるわけではなくて、高い専門性を持つ職員を頼れる環境も整えてもらったので、上司からのサポートのおかげもあり、何とか乗り越えられました。
私は、これまでJICAを辞めたいと思ったことは一度もないんです。それは、いつも素敵な上司や同僚に恵まれてきたからだと思います。人のほっとした顔を見たり「ありがとう」と言われたりすることで、自分が何かしら世の中の役に立っていることを常に感じさせてくれる職場でもあるので、それが原動力になってここまで続けてこられました。


Q. 働くうえで大切にしてきたモットーはありますか?

A. 「配属された場所で自分がどのように貢献できるか」という視点を持つように心掛けています。言うまでもなく、JICAには優秀な人がいっぱいいます。なので、配属されたチーム全体の役割を見渡して、誰もカバーできていないところを自分が補うという動き方をしてきました。なぜなら仕事は一人ではなく、チームで取り組むものだと思うので、チームの中で自分が役に立てることを常に探してきた感じです。みんなで力を合わせて、それぞれのメンバーが持てる力を100%発揮できるような環境づくり・雰囲気づくり・チームワークを私は一番大事にしてきました。
あとは、チームにいる皆さんの心配事や不安なことはなるべくなくしたいと思っています。自分一人で解決するより、直接聞ける誰かがいて一緒に考える方がより良いアイディアが涌きます。なので、なるべく相談しやすいような安心して働ける職場を作れるように意識して行動していますね。

今の自分にできることを、精一杯。

Q. これから叶えたい夢を教えてください。

A. いつかはJICAを離れることになるので、できる限りの時間を使って語学の勉強をし直したり、資格試験の取得にむけて勉強したりしています。
ただ、インプットだけではなく、「自分がどのようなアウトプットができるか」を考えるようにしています。最近は、日本国内にたくさんいらっしゃる海外の方に何かできないか考えを巡らせています。ちなみに、日本国内の観光客数のうち5番目に多いのがタイ人らしいのです。そんな情報を聞いたこともあり、タイ語や日本史・地理の勉強を始めました。
さらに、「日本の地域課題に貢献したい」とも考えています。弱い立場の方々、特に、ご高齢の方々のお役に立ちたいという想いもあり、リハビリテーションの資格にも関心があります。例えば、嚥下障害を防いだり発声のリハビリをしたりする言語聴覚士のお仕事や、予防の観点から、日々の不調に対して、漢方の力で治すお手伝いをするという活動にも興味を持っています。ボランティアでもいいので、今自分ができることを模索し、そのための知識を身につけたいと思います。

Q. 国際協力に興味がある学生へのメッセージをお願いします。

A. 国際協力に興味があれば、ぜひJICAで一緒にお仕事ができればと思っています。でも、JICAではなくても色んな関わり方ができるので、どの場所にいても国際協力との接点は持てる気がしています。世界に目を向け、関心を向け続けていれば、どのような道に行ってもそこで積んだ実務経験が、国際協力における何かしらの分野で活きてくると思います。なので、ご自身が持っている関心をずっと大事にしてほしいですし、5年後や10年後になったとしても、いつかどこかでご一緒にお仕事をできる日が来たら嬉しいです。

【おまけ】
「背伸びしていくうちにその背になっていくから」という言葉は、田和さんが大変なお仕事を任されたときに上司の方がかけてくださった言葉だそうです。背伸びをすることは辛いけど、でも達成できたことは必ず自信に変わる。そっと背中を押して勇気をくれるこの言葉は、今でも田和さんのモットーであり続けています。

【感想】
常に周りの様子を見て、その時々の状況に合わせてしなやかに役割を変えられる田和さん。管理職など責任ある立場を経ても、変わらず柔らかい雰囲気をまとった田和さんは、いつもチームを和ませて安心させる力を持っています。私も将来、田和さんのように人を惹きつける柔軟なリーダーになれるよう、どのような困難に対しても謙虚な心を忘れずに向き合える大人でありたいと感じました。田和さん、本当にありがとうございました。


報告者:池田奈穂(JICA東京センター 市民参加協力第二課・インターン)

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