未来の国際協力の種をまく 課題別研修「感染予防と管理」

2023.11.20

風邪をひかないようにするためには、どんな生活習慣が大事でしょうか?うがい、手洗い、規則的に食べ、よく眠る・・・。私たち日本人にとって、小学校の時から教えられてきたことですよね。
研修参加者たちの国ではどうなのでしょうか?
日本の小学校の保健教育の状況を知り、また、日本の子供たちに世界の国のことを知ってもらおうと、課題別研修「感染予防と管理」コース参加中の14名の医療関係者が、世田谷区立赤堤小学校の土曜授業にお邪魔しました。

世田谷区立赤堤小学校の6年生の皆さんと:前列中央は小宮校長先生、2列目左端が担当頂いた堀江先生

健康を守るために大切なこと

11月11日(土)、世田谷区立赤堤小学校では学習発表会で土曜授業が行われていました。1時間目に到着した研修員はまず、養護教員の髙橋先生から、学校で行われる保健教育や健康診断、保健室の役割についてお話を伺いました。その後、堀江先生の案内で学校の中を見学、保健室や給食室、それから、ちょうど手洗い学習が行われていた4年生の授業も見学しました。子どもたちは「手洗いの歌」を歌いながら、正しい手の洗い方を楽しく学んでいます。研修員も一緒に歌いだしました。「こんな歌を、国の子供たちにも教えたい」と、ビデオを撮影している人もいます。

養護の髙橋先生のお話を聞く

4年生と一緒に手洗い学習 歌いながら楽しく、正しい手洗いを学びます

私の国、私の夢

研修コースには、ブラジル、コンゴ民主共和国、エジプト、エチオピア、ガボン、ガイアナ、ラオス、マーシャル諸島、タイ、ウガンダ、ベトナム、ザンビアの12か国から14人の研修員が参加しています。2時間目は、「私の国・私の夢」を、6年生の皆さんに紹介する授業を行いました。この日のために民族衣装を着た研修員もいます。国の位置や国旗、お国自慢の郷土料理や 世界遺産、豊かな動植物などの紹介に、6年生はたくさん質問をしてくれました。

エチオピア紹介 民族衣装が素敵です

ウガンダ紹介 国の誇りを詰め込んだエンブレム

「私の夢」の紹介は、6年生も真剣な眼差しで聞いていました。「子供のころ家族の病気を治してもらったので、お医者さんになるのが私の夢でした。夢がかなってお医者さんとして病院で働いていたのですが、風邪をひいて病院に来たのに、その病院で、もっと大変な病気にうつってしまう人がいます。新型コロナの感染爆発の時はとても大変でした。もう二度と、そんなことが起こらないようにするのが、今の私の夢です。」
 お礼の言葉を述べてくれた6年生のひとりが、「今まで、医療関係の仕事に特に興味はなかったけれど、今日のお話を聞いて、調べてみたくなりました。」と言ってくれた時、研修員の皆さんの顔が、ぱっと明るくなりました。

タイの紹介 小児科の先生でもある研修員は子供が大好き

ベトナムのフォーは日本でも人気

未来の国際協力の種をまく

3時間目には、体育館で行われている学習発表会を見学しました。図工と家庭科で児童たちが制作した作品が、とても美しく飾られています。何人かの6年生が案内を買って出てくれました。図工の粘土作品「将来のゆめ」で、お医者さんを見つけて、研修員はとても嬉しそうでした。
「今日、私の国の文化や大切にしているものを、日本の小学生に紹介できて、大変嬉しく誇らしく思っています。教室や、この展示を見れば、日常の学びがどのように積み重ねられているのかが分かり、日本の学校教育の素晴らしさを理解することができました。」「子供のころから衛生や健康について正しく楽しく学ぶのはとても大切なことですね。今日の経験を持ち帰って、私の国の子供たちにも是非、保健教育を広めたいです」

学習発表会 6年生の作品、将来の夢。

学習発表会 6年生の作品、将来の夢。「お医者さん」を見つけた研修員たちはとても嬉しそう

今日の交流は、日本の子供たちにも、世界各国から来た研修員の皆さんにも、とても大きな学びとなったようです。この日、研修員の授業を受けた子供たちの中から、未来のお医者さんが生まれるかもしれません。そして、研修員から日本の衛生教育の話を聞いた開発途上国の子供たちが、いつか日本と協力して自国や世界の医療の改善を図りたいと立ち上がるかもしれません。未来の国際協力の種が、大きく育っていくことを願っています。

学習発表会 会場の飾りつけのセンスに感動

報告者:JICA東京センター 人間開発計画調整課 古賀聡子

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ