~ラオス国 より良い浄水場運営を目指して~ 日本の浄水場管理方法をラオスの方にも知ってもらいたい!!

2023.12.13

ラオスの浄水場管理のために

埼玉県で浄水場の管理運営等を担う埼玉県企業局は、現在、JICA草の根技術協力事業「東南アジア(広域)水道事業人材育成事業(タイ、ラオス)」を実施中です。このプロジェクトは、タイとラオスの両国に跨って実施しています。ラオスでは、首都ビエンチャン水道公社に上水道の研修施設があり、ビエンチャンをはじめ全国の水道公社の職員のトレーニングを担っていますが、若手への技術伝承がなかなかできていなかったり、研修資料がアップデートされないなどの問題があります。埼玉県企業局は、若手職員をトレーナー候補とした指導を行い、研修資料のアップデートに取り組んでいます。
今年1月のベースライン調査、8月の本邦研修に続き、今回は、ラオスの首都ビエンチャンを訪問し、同市水道公社のトレーニングセンターとチナイモ浄水場で浄水場運転管理のための技術指導を実施しました。

浄水場での実地での支援

浄水場管理のための技術指導を実施しました!!

埼玉県企業局は、11月20日から12月1日にかけて、浄水場運転管理のための技術指導を実施しました。この活動には、トレーニングセンターの職員の他、首都ビエンチャンにあるチナイモ浄水場・カオリオ浄水場・ドンマッカイ浄水場・ドンバン浄水場から職員が参加しました。

11月28日は、①薬品注入の方法について、②水質検査方法について、③ポンプの切り替え時間についての活動を実施しました。①薬品の注入方法については、凝集剤や消毒剤の薬品槽を確認しました。薬品槽は、長年の酸の作用で塗装が剥げ、コンクリートの一部が崩れていました。簡単な修理方法として、酸の影響を受けないシートを貼る方法を紹介しました。お金をかけなくとも、職員自身の手であっても修繕できることを伝えていました。
②水質検査方法について、基準を満たした水道水を提供するためというだけでなく、凝集剤を適切な量で入れることで、凝集剤を節約することができコスト削減にもつながっていきます。最初に、採水方法、採水場所の確認、そのときの注意点(例えば、沈殿池で、きちんと凝集しているかを目で確認することなど)を伝えました。検査方法の指導では、「凝集剤の量をもう少し減らしても大丈夫だと思うから、少し減らした量で試してみよう」など、薬品を多く入れれば良いのでなく、適切な量を入れるようにしていくことでコストが削減できること、沈殿池の清掃の回数を減らすことができることなどを伝えていました。
③ポンプの切り替えについては、日本の浄水場では1か月1回程度行われることが多いです。しかし、チナイモ浄水場では6時間おきにポンプの切り替えが行われています。ポンプの切り替え時には、配管内の圧力変動が起こり水質の悪化や漏水の原因となります。また、ポンプの切り替え時にはポンプへの負荷が高くなり、そのためにポンプの寿命が短くなります。支援活動ではポンプの温度を1時間おきに計測し、6時間を超えて運転しても、ポンプには問題がないことを一緒に確認をしました。

薬品槽の修復方法を説明

サンプルとなる水の取り方を説明


今回の活動は、日々の業務改善を目指すものです。薬品槽にシートを貼る、水質検査の結果に基づいて薬品の量を調整する、ポンプの切り替え時間を長くするなどは、次の日からでも実践できるものばかりでした。浄水場を運営する水道公社は、十分な資金がないことが多く、必要な機材を買うことができない場合もあります。埼玉県企業局の職員からは、簡単な施設の補修方法や、日々の小さな改善の積み重ねにより、電気代や薬品代などのコストが削減されたり、ポンプなどの機器がより長く使うことができるようになることが伝えられました。

今回水質検査等の方法を伝えた宮内裕紀さんは、次のように感想を述べました。
「検査機器や検査薬品が充分でない中、水質の職員は一生懸命に業務を行っていた。私たちのサポートで業務改善が進んだり、より良い水質の水道水を作るための手助けになればいいと思う」

水質の検査方法を説明

ポンプの温度を計測し、ポンプの状況を把握

プロジェクトの今後のついて

今後、プロジェクトでは、支援活動の内容等をまとめ、首都ビエンチャン水道公社のトレーニングセンター教材のアップデートに取り組んでいく予定です。また、首都ビエンチャン水道公社の職員と、タイ地方水道公社の職員とのジョイントトレーニングが実施されます。埼玉県企業局の職員が、首都ビエンチャン水道公社の職員にアドバイス等をするだけでなく、隣国同士であるラオスとタイの水道関係の交流を通しての学び合いにも力を入れていきます。
浄水場の運転管理方法には、日本、ラオス、タイなど国を跨いでも基礎となる部分は重なる部分が多くあります。日本、ラオス、タイの水道職員が交流することで、それぞれの国の浄水場運転管理方法の改善のヒントを見つけることもできます。
日本、ラオス、タイの三か国を跨ぐ本プロジェクトにご期待ください!!

浄水場の状況を皆で確認

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