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『JICA課題別研修「障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化」を実施して(前編)』

2023.12.25

ルワンダ、スリランカ、南アフリカ、ウズベキスタンから異なる障害の研修員が集まり、3年ぶりに対面研修を実施しました。様々な日本の障害者リーダーと出会い、誰一人取り残されない社会を目指して熱い議論が交わされました。

当事者の声を力に変える

国連の人権条約と聞くと、皆さんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか?「人種差別撤廃条約」、「女性差別撤廃条約」、「子どもの権利条約」等、国連がその人権を保障する条約は様々です。障害がある人に対しても同様に「障害者の権利条約」というものがあり、その権利を守るために2008年5月に発効されました。WHOによると、世界人口の15%の人々には何らかの障害があり、彼らは障害があるという理由だけで教育、雇用、移動他、様々な差別や偏見を受けています。

JICA東京では、開発途上国の障害当事者が、障害者の権利を保障するために自国で障害者権利条約をどう実践していくかを学ぶ研修「障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化」を実施しています。過去3年間はコロナ禍の影響によりオンラインで研修を実施しましたが、今年は11月27日~12月15日にかけて来日研修が実現しました。ルワンダ、南アフリカ、スリランカ、ウズベキスタンから、それぞれ異なる障害の4名の研修員が参加し、無事研修を修了することができました。

4カ国それぞれの研修員たち。右からスリランカのプラサナさん、南アフリカのタミーさん、ウズベキスタンのナフォさん、ルワンダのジャックさん。

私たち抜きで私たちのことを決めないで

本研修の委託先であるDPI日本会議は、日本での権利条約批准と批准後の実践について様々な取り組みを行っています。日本では2014年1月に同条約が批准されましたが、発効から批准まで6年の歳月を必要としたことには理由があります。多くの開発途上国では、条約を批准したにもかかわらず国内の法律が未整備であるため、障害がある人たちの権利がいまだに守られていないのが実情です。しかし、日本ではDPI日本会議を中心に、異なる障害者団体が団結し、まず国内の法律を整備するよう政府に働きかけ、様々な法律を整備した後に条約を批准しました。

日本で初めての電車移動。自国との違いを知る良い経験となりました。

「私たち抜きで私たちのことを決めないで」というのは、DPI日本会議のスローガンであり、この言葉の通り当事者の意見を取りまとめ、日本政府を巻き込んで国内の法律を整備し環境を整えてから条約を批准したのです。例えば、2008年に制定され2018年に改正された「交通バリアフリー法」では、駅のエレベーター設置を義務化しました。それまで多くの車椅子ユーザーは人の手を借りないと自由に電車にも乗れませんでしたが、駅にエレベーターが設置されたことで電車の利用がしやすくなりました。駅に設置されたエレベーターは、今では障害がある人だけでなく、ベビーカーを利用している方やお年寄りにも有益に活用されています。

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