「教育の国際デー」に改めて考える、教育の大切さ ~Part1

#4 質の高い教育をみんなに
SDGs

2024.01.22

 1月24日は国連で制定された「教育の国際デー」です。JICA東京で行っている教育分野の取組のご紹介を通じて、世界の平和と開発のために教育が果たす役割や、すべての人にとっての教育の大切さについて、改めて考える機会になればと思います。

ラオスってどんな国? ラオスの教育環境について

 サバイディー!(ラオス語で「こんにちは」)
 皆さん、ラオスと聞いて何を想い浮かべますか?
 深い山々に囲まれたラオスの古都、ルアンパバーンは、町全体が世界遺産になっています。町には雄大なメコン川があり王宮が佇んでいます。早朝には托鉢が行われ、橙色の袈裟を身に纏った僧侶たちが静かに行き交う姿は、ラオスを代表する風景の1つとなっています。
 ラオスは東南アジア内陸に位置する多民族・社会主義国家です。近年では経済的成長を遂げ、首都近辺では多くの商業施設やレストランが立ち並ぶ、都会的な風景も印象的なラオス。しかし、首都を一歩離れると、都市部と農村部、民族間での格差は顕著であり、それは教育分野でも大きな課題となっています。

「本」の力で、未来をつかみたい子どもたちをサポート!~誰もが成長できる社会を目指して~

 特定非営利活動法人ラオスのこども(以下、ALC)は、学校図書室の設置・拡充や本を通じた活動を通して、ラオスで長年活動を続けている国際協力NGOです。日本の学校には当たり前にある「図書室」。しかしながら、ラオスでは、いまだ多くの学校に設置されていないのが現状です。また、ラオスは口承文化の伝統が強く、文字文化が発達してこなかったため、読書が習慣化されていません。多くの地域では、家庭にはもちろん、町の中にも書店や図書館がなく、「絵本」や「本」を通じて、子どもたちが文字に親しむ機会は非常に少ないのです。
 小学校で初めて文字に触れる子どもたちにとって、学校の授業だけで文字を習得することは非常に困難で、中には進級ができず、そのまま学校をやめてしまうケースも。文字に触れる機会が限られ、文字習得が遅れる環境は、子どもたちにとってもその後の人生を左右する大きな壁となっています。
 そのような中、ALCは現在、JICA草の根技術協力事業「中等学校における学校図書室の役割拡充を通した教育改善事業」を実施中。本事業では、より深い教科学習を行う中等学校を対象に、「図書室」の整備活動を行っています。また、子どもたちが「本」に触れることだけではなく、授業で図書室を活用できるよう、教員への指導サポートも行います。現在は、教員とボランティア生徒へ図書室の運営・管理方法を指導しながら、各学校が主体的に図書室を運営できるよう、毎日活動中!子どもたちが「図書室」という居場所を通して、世界を知り、自分たちの力で未来を考えていくことができる社会づくりをサポートします。

図書室担当のボランティア生徒たち

図書室の整備状況を伝えるALCスタッフ

図書室では、活用状況の把握のため、一日ごとの利用者数をしっかりカウント!

整備された学校図書室の様子

◆関連リンク
 ・特定非営利活動法人 ラオスのこども ウェブサイトはこちら!
 ラオスのこども (Action with Lao Children) (deknoylao.net)

“障害のある子どもも学校に通えるようにしたい” 指導教官の子ども達に対する想い

 特定非営利活動法人アジアの障害者活動を支援する会(ADDP)は、現在、ラオスにて、知的・発達障害を持つ子供たちが、社会で自立できるように、インクルーシブ教育と就労支援のプロジェクトを実施しています。
 ラオスでは知的・発達障害を持つ子供達は、公立の小学校以外に教育アクセスの道はありませんが、多くの場合、知的・発達障害の子供は学校判断で就学を拒否されたり、途中で退学させられてしまう現状があります。学校の校長や教員に知的・発達障害児をクラスに受け入れるための、障害理解や指導のノウハウがないことがその原因です。
 そこで、このプロジェクトでは、就学期の知的・発達障害を持つ子供たちが就学し卒業できるよう、
ビエンチャン都、サワナケート県の2つの教員養成学校において、インクルーシブ教育指導のできる指導教官の育成に取り組んでいます。インクルーシブ教育指導とは、知的障害、発達障害、聴覚障害、視覚障害等を持つ生徒が、障害をもたない生徒と一緒に教育を受けることができる教授法のことです。研修後、指導教官の方々は、“障害のある子どもも学校に通えるようにしたい”と熱い想いを語っていました。
 近い将来、障害が理由でこれまで小・中学校で教育を受けることができなかった子ども達が、インクルーシブ教育の科目を履修した教員達の下、学校で教育を受けることができるようになることが期待されています。

実際に歩いてもらい、障害の状況を一緒に確認。

サワナケート県教員養成校の実習の様子。

子供たちはみんないい笑顔!

◆関連リンク
・特定非営利活動法人 アジアの障害者活動を支援する会(ADDP)ウェブサイトはこちら!
NGO | ラオスの障害者スポーツ支援 ADDP | ―「障がい者自身の自立と社会参加」をめざして―

◆参考リンク
教育がつくる 人の未来 社会の未来 | JICA Magazine | 広報誌 JICAマガジン

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