「教育の国際デー」に改めて考える、教育の大切さ ~Part3

#4 質の高い教育をみんなに
SDGs

2024.01.24

 1月24日は国連で制定された「教育の国際デー」です。JICA東京で行っている教育分野の取組のご紹介を通じて、世界の平和と開発のために教育が果たす役割や、すべての人にとっての教育の大切さについて、改めて考える機会になればと思います。

4年前に参加した研修員から今年の研修員にメッセージ

 2023年11月16日から12月16日まで課題別研修「乳幼児ケアと就学前教育」が実施され、2019年にこの研修に参加したマダガスカルのボラさんが、日本で学んだこと、帰国後の活動や成果について、今年の研修員に向けて現地からオンラインで報告してくれました。

 まず、マダガスカルの就学前教育の現状と取り組むべき課題について、
(1)乳幼児期と遊びの大切さを関係者が十分理解していないこと、
(2)就学前教育を受けられない幼児が多く、都市部と農村部で格差があること、
(3)就学前教育のカリキュラムが画一的であること、
(4)特に農村部は、質の高い教員と教材・おもちゃ等が不足していること、
(5)乳幼児の発達に関係する様々な分野間での連携が不足していること
などを説明し、これらの課題解決に向けて日本の研修で学んだ知識や技法を用いて取り組んでいることを報告してくれました。

マダガスカルからオンラインで報告する帰国研修員ボラさん

ボラさんの報告を熱心に聴く今年の研修員

日本で学んだことを積極的に取り入れて

 具体的には、乳幼児のケアや保護、就学前教育、遊びの意義や役割、重要性について理解を広めるため、認知度の向上のためのワークショップやキャンペーン、マスメディアで取り上げてもらうなど様々な活動を行ったり、これらの活動で利用、配布するためのコミュニケーション・ツール(ポスター、ドキュメンタリー映画、横断幕、リーフレット、チラシ、帽子・Tシャツ)を作成したとのことです。
 その結果、マダガスカルでは2022年に幼児教育の義務化を国会で採択されたり、教育省予算のなかで幼児教育の予算は2019年にわずか0.33%であったものが、2023年には1.03%に増額されたり、幼稚園への就園率が、2016年には28.1%であったものが2022年度に38.4%まで改善するなど、具体的な成果に結びついたとのことです。
 また、教育内容を理論より実践を重視したものとするため、日本での研修で学んだ紙芝居を導入したそうです。教材として紙芝居を作成し、4年間で135の幼稚園に配置し、幼児に読み聞かせを行いました。紙芝居の題材は、「手洗い」、「挨拶・礼儀」、「お手伝い」、「一人でできるよ」、等で、保護者からは衛生観念、生活習慣、礼儀などが良くなったとの意見が聞かれました。
 さらに、教員向けの研修教材などを作成し2年間(1年目は座学、2年目は教育実習)の教員研修制度をつくり、教員100名を育成したそうです。2025年までにはさらに700名の教員を育成する計画とのことです。

日本で学んだ紙芝居をマダガスカルで導入

先輩研修員の取り組みを参考に

 ボラさんは教育省の就学前教育課長であり、またJICAの技術協力プロジェクト「みんなの学校:住民参加による教育開発プロジェクト(フェーズ2)」と共に取り組んでいることから、多くの成果をあげることができたとも考えられますが、ボラさんは日本の研修で学んだことをよく理解して、帰国後にそれらの実現に結び付けています。
 先輩研修員の帰国後の取り組みを知ることで、今年参加した研修員は日本で学んだことをどのように実現してゆくのかイメージをつくることができたのではないかと思います。今年の研修員たちも、日本で学んだことを帰国後にどのように実践していくか活動計画を作っており、研修員の中には既に所属先の上司や同僚、また現地のJICA事務所に活動計画を報告し、実現に向けて取り組みを始めた人もいます。
 JICA東京は今後も研修員の帰国後の活動を支援してゆきたいと考えています。

乳幼児ケアと就学前教育の改善に向けた研修員の今後の活躍に期待しています!

◆関連リンク
技術協力「みんなの学校:住民参加による教育開発プロジェクト(フェーズ2)」
今年の研修員の帰国後の活動計画の報告

◆参考リンク
教育がつくる 人の未来 社会の未来 | JICA Magazine | 広報誌 JICAマガジン

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