~ラオス国 より多くの人にラオスの自然と文化を知ってもらいたい~
2024.01.30
再生林を歩くエコツアーとラオス文化・ものつくり体験ツアーを実施しました!!
高尾グリーン俱楽部は、現在、ラオス国でJICA草の根技術協力事業「FTC(森林研修センター)を拠点にした森林エコツーリズム事業による雇用創出」を実施中です。(2022年10月27日~2024年3月29日)同団体は、ビエンチャン県北部の焼き畑農業により失われた森林を回復させるべく、本事業が始まる前の2011年から植林活動を行ってきました。また、FTC周辺には、1990年代から植林されてきた森があり、それらの木々が大きく育っています。そして、本草の根技術協力事業により、森林資源を活かした地域住民の生計向上のため、森林を歩きながらラオスの自然や森林再生について学ぶエコツアーと、そこで採取できる植生を活用した体験活動の充実を図っています。
1月18日に、FTCは、高尾グリーン倶楽部の協力のもと、農林省やラオス国立大学林学部の職員、在留日本人を招いて、試行的なエコツアーを実施しました。このトライアルツアーは、高尾グリーン俱楽部とFTCだけではなく、FTCの所在地であるファイパーモン村の住人などの協力の下で、実現されました。
参加者は2つのグループに分かれ、FTC職員と村のガイドがそれぞれを先導しました。FTCの職員は「この黒い実を使って子どもたちはゲームをするんだ」「植林してから20年くらいで森はここまで回復するんだ」など、要所要所で植生の説明をしました。またコースには、FTCと高尾グリーン倶楽部の事前調査を踏まえて、急な坂で転倒の危険がある箇所には階段や手すりを設置し、子ども等でも安心して参加できるようにしました。また、見晴らしの良い場所には展望台を設置し、周辺の景色を楽しみながら休憩できるようにしました。これらの手すりや展望台はファイパーモン村の住民の方が協力して設置しました。
ツアー後半では植林活動を行い、森林保護の大切さを参加者に伝えました。ツアーの締めくくりにはファイパーモン村と近隣の村民が民族衣装を着て参加者を出迎え、ラオス文化体験が始まりました。
昨年5月にも現地を訪れたことがある参加者からは、「昨年に比べてとても歩きやすくなり、眺望の良いところで休憩も取れるようになっていて、いろいろ改善されていた。多くの方に楽しんでもらえるようになっている」「自然林が減り、元焼畑地がゴムの木だらけになっていくので、将来どうなるのだろうと考えていた。今回のツアーに参加して、焼畑から再生した土地が気持ちの良い森に復活しているということに、正直感動しました」という声がありました。
FTC職員が森の植生について説明しました。
急な箇所には手すりを設置しました。
見晴らしの良い場所には展望台を設置しました。
植林を体験してもらいました。
エコツアー後には、昼食を含むラオス文化体験がありました。このプログラムは、ファイパーモン村の住民が意見を出し合い、自ら企画を考えました。また、ファイパーモン村の村長が隣のターフワ村、シビライ村の村長に呼び掛け、3つの民族(ラオ族、モン族、カム族)がそれぞれの民族衣装をまとい、楽器演奏や歌などを披露しました。お正月やお祭りの場でないとなかなか接することができないラオス文化を体験することができる、ツアーの見どころのひとつです。
ラオス料理体験
モン族の伝統楽器の演奏
カム族の歌を歌唱
FTCではこれまで、紙漉きやうちわ作り体験のプログラムを提供してきました。高尾グリーン俱楽部は、これらのプログラムに加え、FTC周辺の森林資源の活用として、「線香作り体験」を提案しました。周辺の森林にはタブノキがあり、その葉から作られるタブの粉は、他の材料を繋ぎ合わせる役割を担います。線香作りは、このタブの粉に、香りの良い植物の粉を合わせて作成します。今回は、FTC職員からの発案により香りの良いレモングラスに、虫よけの効果のあるユーカリの粉を混ぜ合わせた線香を作成する体験プログラムも実施しました。
参加者たちは、FTCの職員から説明を受けながら、まずレモングラスとユーカリ粉を鉢に入れて混ぜ合わせ、その後、タブの粉を入れてさらに混ぜ、最後に水を加えて練りこんでいきました。線香の材料ができたところで、皆が好きな形の型を使って切り抜いて線香が完成しました。皆、こんなにも簡単に線香ができるのかと驚きつつ、オリジナル線香作りを楽しんでいました。
FTC職員が線香の作り方を説明します。
線香作りのために粉を混ぜる参加者
完成した線香
今回のエコツアーとラオス文化・モノづくり体験では、FTCの職員だけでなく、ファイパーモン村の多くの方の協力があって実施することができました。このように多くの方を巻き込むことができたのは、高尾グリーン俱楽部が、草の根技術協力事業を開始する以前から、10年以上に渡って、活動をしてきた実績があるためです。
高尾グリーン俱楽部の山本勇さんは次のように話してくださいました。
「短い準備期間で、トライアルツアーまでこぎ着けることができたのは、10年以上に及ぶFTCや村人と結んできた絆のお陰だと考えています。昨年10月には、カウンターパートであるFTC職員2人を日本に招き、植樹や間伐体験、お線香作りを学んでもらいました。今後も、ラオスサイドで自律的に取り組めるように何らかの形でバックアップしていければと思う次第です。」
FTCから車でほど近いところには、国内外から多くの方が訪れる観光地バンビエンがあります。今後はバンビエンからも多くの方にFTCに足を運んでもらえるよう、さらに事業を発展させてくれることと思います。
scroll