~緒方貞子さんから何を学び、どう生きるか~連続出張講座 Part4~

2024.02.16

今年度最終回!浦和第一女子高等学校にて実施

パネル展と出張講座

JICA東京では緒方元理事長の「ことば」をパネル化し、埼玉県内の女子高にパネルの巡回展示と「高校生として何ができるか」を一緒に考える出張講座を行っています。
今年度最終回となる第4回目を、埼玉県立浦和第一女子高等学校にて実施しました。
今回の登壇者はJICA広報部 竹田幸子部長兼JICA地球ひろば所長。竹田所長はNGO、コンサルタント、コンサルティング会社の立ち上げ、国際協力銀行(JBIC)、そしてJICAと、多岐に渡る経歴があります。それぞれの過程での印象深かった出来事や課題、そこから得た気付きを生徒に共有しました。
1学年の356名の生徒は公演中、生徒達は誰一人下を向かず、興味深く話を聞いていました。時には問いかけながらお話をされ、生徒達も「自分だったらどうするか?」とトピックに対し、自分事として考えながら講座に参加していました。

自分に合った国際協力への関わり方を求めて

竹田部長が国際協力に関心を持ったきっかけは、近くに韓国の人が住んでいたり、インドシナ難民のクラスメイトがいたり等、自然と日本以外の文化と触れ合う機会があったことです。その中で、日本に対するアジア諸国の見方も学びました。
高校生の時にはアメリカでホームステイも経験し、南アフリカのアパルトヘイト政策に関する映画を見て衝撃を受け、ジャーナリストを志すようになりました。
学生の時は日本のNGOでインターンをしていましたが、NGOでの活動の範囲は団体の理念に合致するもので、状況に応じて柔軟に拡大・変更できるものではないことや、人々の善意がないと継続できない体制であることを知り、日本と海外のNGOの違いに疑問を持ち、NGOの経営について学ぶためにアメリカの大学院へ進学することを決断しました。

NGOでのインターンでは、フィリピン農村部でインタビュー調査を行い、フィリピンのリアルな現状を知ることができたそうです。都市部とどのような違いがあるのかを深く知り、そして何故格差が生まれるのかについて、深く考えるきっかけになったとのことです。

そして、課題解決のためには行政レベルで物事を変えていかなければならないと感じ、NGOではなく、国際機関や援助機関向けにコンサルティング業務をしているアメリカのコンサルティング会社に就職しました。その会社が日本法人を作ることになったため、急遽帰国し、手探り状態で日本法人を設立。小さな法人であったことから、コンサルタント業務を遂行しながらも、会社経営を同時に行い、学びの日々になったそうです。

そして更に広い分野で国際協力に挑戦してみたいという気持ちから、国際協力銀行(JBIC)(2008年にJBICの経済協力部門がJICAに統合)へ入行しました。出会う仲間が素晴らしく、この業界で国際協力に携わりたいと思ったそうです。フィリピン事務所では、防災や災害復旧・復興支援に携わり、「本質を見極めて判断」すること、「課題の解決に向けた政治的判断にどのように繋げていけるか」と、仕事を通じて大切にしてきたことを体験談と共に話していました。

講座に参加している高校生へ「国際協力は色々な形で携わることができる」「国際協力に携わっている人々の間にも、様々なバックグラウンドがある」「国際協力の中にも、多様な選択肢があることを知ってもらいたい」と呼びかけました。

信頼され、尊敬される国

緒方貞子元理事長の動画を視聴後、6つの言葉で緒方元理事長について振り返りました。
(「研究者」「実業家」「人道支援」「開発協力」「現場主義」「本質とは」「現実主義」)
国際協力を進める上で本質を見極め判断することの重要性についてふれ、タイムリーな話題である難民問題についても、緒方元理事長の「人の生命を守ることが一番大事なことで、そのことに従来の仕組みやルールがそぐわないのならルールや仕組みを変えればよい。」ということばを紹介し、何が一番大事でそのためには何が必要なのか、当事者に直接還元される方法を考えることの大切さを高校生達に伝えていました。
竹田部長は最後に、自身が大切にしていることとして「信頼される人になる」「日本が信頼され、尊敬される国になるよう尽力する」という2点を上げました。JICAのビジョンは『信頼で世界をつなぐ』ですが、「信頼」される人、国にするにはどうすればよいのか。どのようなアクションが必要なのか。先の目標を見つめながら、今何をすべきかを考える機会に繋がった講座となりました。
生徒の感想では、「考えることは大切ですが、行動に移して初めてその考えが形になるのだと思いました。日頃から身近なことについて疑問をもち、考えて行動に移していけるようにしたいです。」と行動の大切さというメッセージを受け取った生徒や、「JICAをはじめとして多くの日本人が世界の平和のために活躍してきたことを知って誇らしく思うと同時に私も世界のために何かしたいと強く思いました。もっと国際理解を深めたいです。」と国際理解について、より知ろうとする意欲を示した学生もいました。そして「今後は総合探究の時間だけでなく、様々な課題解決の際に本質を見極めることを大切にしていきたいです。」と探究の時間に留まらず、様々な本質を見極める意欲を示すなど、『自分に合った国際協力の関わり方』を生徒達は早速考えていました。
今回の出張講座の他にJICA東京では、世界の国々や国際協力に関する様々な教材の提供や国際協力出前講座を実施しています。
ご関心がございましたらJICA東京ホームページまたはJICA埼玉デスクにお声がけください。

◆関連リンク 【平和構築】開発途上国支援に人生を捧げた緒方貞子のことば

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